秋田・クマ牧場閉鎖:引受先に県が3億円負担
毎日新聞 2012年12月22日 21時27分
秋田県鹿角(かづの)市の秋田八幡平(はちまんたい)クマ牧場で4月、従業員2人がヒグマに襲われ死亡した問題で、残されたヒグマ20頭の受け入れ施設建設を巡り県議会は今月、設計費2000万円を全額補助する補正予算案を可決した。3億円余の新施設建設費も来年度予算案に計上する見通し。県議会では「なぜ公費負担か」と異論も出たが、最後は苦渋の決断となった。
クマ牧場は事故後に閉鎖されたが、ヒグマの引受先が見つからず、県は、財政支援を前提に引き取りを表明した同県北秋田市の阿仁(あに)熊牧場に委ねる方針を決めた。ところが県議会では「公益性はあるのか」「現状の県財政で妥当な支出か」などと異論が噴出する事態に。
県によると、施設閉鎖後の危険動物の取り扱いについて法規定は整っておらず、動物愛護団体などから殺処分回避を求める意見が多く寄せられた。このため佐竹敬久知事は「動物愛護の観点から、扱いを間違うと大変な批判がくる」と県議会を説得。今月21日、「このままでは風評被害で観光にダメージが出る」などとして県議会は全会一致で可決した。
佐竹知事は環境省に財政支援を要望しているほか、施設の飼育許可基準の厳格化や経営破綻に備えた積立金制度の創設などを求めている。
ヒグマが入居する新施設は自然の地形を生かして電気柵で囲い、高架式遊歩道なども備えた最新の展示方式とする予定。「教育の場、観光資源として活用したい」(県生活衛生課)としている。【坂本太郎、小林洋子】