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転生編
プロローグ1 呆気ない人生
 
 人生をやり直したい、誰でも一度は思うことじゃないだろうか。
 
どんなに成功を収めている人だってどこかしらで苦闘や挫折を経験しているだろうし、そうじゃなくてもただ漠然とこんな人生じゃなくてもっとおもしろい人生が良かった思うことは普通の事だろう。
もちろんそんなことが起こるとは誰も思ってはいない。馬鹿馬鹿しい妄想、だからこそみな気軽にそれを望むのだ。

 だが、世の中にはどんなことにも例外というものはあるらしい。
 
 長ったらしく前置きした理由、もう察している方もいるかもしれないが、それはオレがその人生やり直しを経験しているからだ。現在進行形で。
 前世の記憶は高校三年、十七歳のところまである。はっきり言って特筆して語るべきことは何もない高校生活であり人生だった。

 その日、数ヶ月後に大学受験を控えたオレはいつも通り学校への道を自転車で通っていた。中学からやっていたバスケもベンチを温めるだけの役で少し前に引退していたので朝練の早い時間ではなく通常の登校時間だった。いつも通りの道にいつもの景色、変わるはずもなかったところで俺は一瞬にして命を落とした。

 大きなクラクションが右方向から聞こえ、そちらを見た時には既に遅かった。目の前に迫る大きなトラックはその速度を一切緩めることなくオレの体を押しつぶした。走馬灯と言う奴のおかげか自分の体が吹き飛ばされて壁に激突して全身の骨が砕ける音も、そこに追い打ちを掛けるように突っ込んできたトラックに肉がすり潰される音も他人事のように聞いていたぐらいだ。もちろんそんな状態では痛みすら感じる暇はなかったのである意味幸いと言えば幸いだったのかもしれない。一瞬の事で視界がブラックアウトして気付いたらその事件現場のすぐ隣に立っていた。

 今、経験したことは白昼夢だったのかと期待したがそんなことはなくオレの体はトラックの下でピクリともしない状態であった。ほとんど潰れてしまっていて原型をとどめていないが唯一はみ出している左手にある傷は間違いなく自分の物だ。

 では今の自分はなんなのかと思って体を触ろうとしたらその手は何にも触れることはない。周りからも見えていないようだし救急車の人が今のオレの体をすり抜けて、下敷きになっているオレの体に近づいていくのを見るところどうやら幽霊になってしまったらしかった。幽霊と言うことはもう死んでいる、その考え通りに救急隊の人の口から手遅れとかそれらしき言葉が聞こえてくる。

「そっか、オレ、死んだんだ」

 突然だし突拍子もなさ過ぎてオレはいまいち実感が無かった、だから取り乱すこともなかったしその運転手に向かっても恨みは抱かなかった。

 幽霊になったといえ意識ははっきりしているしこれからどうしたものかと考えていたらその半透明の体がだんだんと更に薄くなっていく。感覚的に自分が消えようとしているのがなんとなくわかった。

「行くのは天国か地獄か」

 死んでも意識が残るところ見るともしかしたらそんな今まで信じてなかった世界もあるかもしれなんてことを考えながらオレは掻き消えて行った。
読んでいただいてありがとうございます。初めてなんでバンバン意見を言っていただけるとうれしいです。よろしくお願いします!


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