富山・放火殺人:夫婦殺害で警部補逮捕 2年前の事件、容疑認める
毎日新聞 2012年12月23日 東京朝刊
10年に富山市の不動産会社経営、福田三郎さん(当時79歳)方から出火し、首を絞めて殺された福田さん夫婦の遺体が焼け跡で見つかった事件で、富山県警は22日、同県警警部補の加野猛(かのたけし)被告(54)=同市森1、地方公務員法(守秘義務)違反の罪で起訴、休職中=を殺人と現住建造物等放火などの容疑で逮捕した。【成田有佳、大森治幸】
逮捕容疑は、10年4月20日、富山市大泉の3階建てビル内の福田さん方で福田さんと妻信子さん(当時75歳)の首を絞めて殺害し、灯油をまいて放火するなどした、とされる。県警によると、加野容疑者は「私がやったことに間違いない。申し訳ない」と認め、放火の動機について「証拠を隠滅したかった」などと供述しているという。
加野容疑者の逮捕を受けて、富山県警トップの新美恭生(にいみやすお)本部長が22日午後9時から会見。「(容疑者が)県警職員であったことは慚愧(ざんき)の念に堪えない。被害者のご冥福を祈り、ご遺族におわび申し上げる」と謝罪した。
県警によると、福田さんは加野容疑者の近所に住んでいたことがあり、30年以上前から顔見知りだった。県警は事件後、加野容疑者からも事情を聴いたが、関与は裏付けられなかったという。
しかし、今年8月に寄せられた情報から加野容疑者の関与が浮上し、捜査していた。加野容疑者は事件当時、消費者金融などに二百数十万円の借金があり、遊興費に使っていた。福田さんは貸金業も営んでいたという。
加野容疑者は77年に採用され、警部補に昇進した08年3月から高岡署留置管理課に勤務。今年10月、知人に捜査情報を漏らした地方公務員法違反容疑で逮捕され、不起訴となったが、別の同容疑事件で再逮捕され、富山地検に同罪で今月7日に起訴された。