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九州大学附属図書館医学分館
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<情報管理ツールとしてのパソコン>編 |
□序
さて、すでに、パソコンは、現代に生きる社会人にとって、必要不可欠な道具ですが、医系・生命科学系の情報リテラシーでは、やはり、すこし特別な使い方を求められます(リテラシーとは、読み書きなどの<能力>を意味する言葉です。この場合、パソコンをいかに使いこなせるか、という程度の意味だと考えてください)。
現在、医系キャンパスで働く普通の事務職員(特別なカリキュラムで教育を受けた専門の医療従事者以外の人たち)でさえ、それなりの専門的知識を必要とされますし、また、これは一般事務員と同様でしょうが、現在では、ある水準以上のパソコン関係のスキルを要求されます。
以下、そうした人たちのための、「医療・医学に関係したパソコンの使い方」について、略述することにします。
ただ、まず、パソコンをどう使うか? という問題を先に考えておかないといけません。
こうした件に関してしは、市販の参考書なども多々、出ていますので、くわしくはそれらをお読みいただくとして、とりあえず、医系の職員が、職場のパソコンと、どう向き合うか、について述べてみたいと思います。
なお、本稿で扱うのは、Windowsマシンが中心です。
医系の部局では、ある理由からMacユーザが多いことは承知していますが、現在の市場におけるシェアから、Windowsマシンを優先的に論じる方がビギナーにはよいであろうとの判断により、以下で云うパソコンは、Windowsに関するものであることを、ご承知ねがいます。
□デスクトップはスッキリと
パソコンは、名前の通り、パーソナル(個人的)な機械ですから、本来、一人に1台で使うものです。しかしながら、実際には、職場においては、1台のマシンを複数の人間が使用することも多々あると思われます。
こうした場合、自分一人で使う時とは、異なる対応が求められるのは、しかたないことでしょう。逆にいえば、自宅のマシンを使うようには、職場のマシンを扱ってはいけないことが多い、ということです。
自宅の個人のマシンならば、いかようにでもカスタマイズして、自分なりの(自分にしか判らない)使い方でも結構なのですが、職場のマシンを、特定の一人が、そのように使用するのは、はっきり云って、まわりが迷惑します。
下図は、あるマシンのデスクトップ画面です。
WindowsXP機種ですが、今のところ、現役です。
一見して、何がどうなっているのか、初めての人には判らないでしょう。いわゆる「汚い画面」です。
自分だけが使うぶんには、これでも構わないのですが――それを使っている人は、自分では、判っていて、それなりに使い勝手はいいわけですから――他人は、困惑するしかありません。
この画面が、なぜ汚く見えるのか、最大の理由は、デスクトップ画面にファイルやショートカットを置いているからです。
では、なぜ、デスクトップにファイルを置くのか?
これは、簡単なことで、便利がいいからでしょう。
なにしろ、PCを起動させると、文字通り、一番最初に目に入る画面です。マイドキュメントの深い階層などに格納して整理したつもりでいても、いざ探すとなったら、いちいち、ファイル管理ユーティリティ(Windows標準では、エクスプローラや、あるいは、マイコンピュータ)を開いて、該当ファイルを探し、それをクリックしたり、あるいは、ソフトを起動させてから、「ファイル→開く」で、該当ファイルを開くよりか、はるかに簡単に、求めるファイルを起動させることが出来ます。そして、WindowsというOSに、そうした需要にこたえる仕掛けがしてあります(後述の注※1 「ファイルの関連づけと拡張子」参照)。
しかし、見た目が悪い、という以前に、ファイルやアプリケーションソフトのショートカットをデスクトップ画面に置くのは、あまり、お奨めできないことなのです。
まず、Windowsマシンでは、デスクトップというフォルダは、見た目ほど、近いところにはない、ということがあります。
そのため、万一、マシンが深刻な故障に見舞われた際に、デスクトップに置いたファイルは、その救済が非常にむずかしいのです。
マシンの故障時には、かなりベテランのPCユーザでも、データのサルベージには苦労します。そして、デスクトップ・フォルダ内に格納されたファイルは、そうした時、非常にめんどうな場所にあることを再認識するのです。
いくらか不具合が生じても、Windowsが動いていれば、まだ、セーフモードで立ち上げて(これは、必要最低限の動作で、Windowsを起動するモードです)、そこで、壊れかけたマシンから、必要なデータだけ、サルベージ(救済)して、別な媒体に移す、といったことが可能なのですが、さらに悪い状態ですと、Windowsが起動しない、ということになります。
Windowsが起動しなくても、Windows9X系(95、98、98SE、Me等)では、まだDOSモードが残っていた場合、DOS起動(FDから起動したり、起動画面でDOSモードを選択したりしてマシンを動かす)ができます。これさえ出来ない時は、HDDがクラッシュしたり、といった、最悪の状態ですので、どだい、どのような復旧作業も不可能で、OSのリインストール以外にリカバリの手だてはありません。云うまでもなく、それでは、いかなるデータのサルベージも無理です。
しかし、DOSモードでは、さまざまな制約があります。その一つに、このモードでは、日本語入力が出来ない、ということがあります。
ところで、デスクトップというのは、ふつうには画面に見たままに有りますので、ユーザから見ると、まるで、一番近いように思いがちですが、現実には、これは、わりあい階層の下のほうにある、特別なフォルダです。
Windows9X系では、通常、Cドライブが起動ドライブなので、「C:\Windows\デスクトップ」というフォルダでした。「デスクトップ」の部分が半角カタカナ表記だったのです。
XPなどのNT系(NT、2000、XP)だと、アドミニストレータ権限でログインしているか、一般ユーザでログインしているかによって、異なりますが、Cドライブの「Documents and Settings」フォルダ内の、ログインしたユーザの固有フォルダごとに、これは(反省もあったのでしょうか)全角カタカナで、「デスクトップ」というフォルダが作成されています。
問題は、このフォルダが、Windows9X系では、「デスクトップ」という半角カタカナの日本語の名前が付いたフォルダであることです。上述したような、深刻なエラーで、日本語入力が出来ない状況に陥った場合、これでは、どうしようもありません。MS−DOSモードのコマンドプロンプトで、チェンジ・ディレクトリコマンドを打ち、このフォルダ名を入力しようとしても、不可能です。つまり、フォルダ名が入力できない、ということは、このフォルダの中に入れない、ということを意味しますから、「デスクトップ」フォルダ内のデータを救済することが出来ないのです(→注※2)。
マックユーザは、ファイルをクリックして、そのファイルと関連づけされたアプリケーションソフトを起動する、というのが、普通のスタイルでしょう。マックでこれが可能なのは、マックで作成されたファイルには、特殊なヘッダが付いており、ここに、作成したソフトの情報などが付加されているからです(=いわゆる、マックバイナリ形式)。
Windowsでも、「関連づけされたファイルの拡張子」によって、同じことを実現しています。あらかじめ関連づけされた拡張子のファイルをクリックすれば、対応するアプリが起動して、当該ファイルを読み込む仕組みです。ですから、デスクトップに、例えば、拡張子が、「.xls」というワーキング・ファイルを置いて、それをクリックするだけで、Excelが立ち上がる、ということになります。これは、これで便利ですが、上記のように、思わぬ落とし穴もある、ということは、頭のなかに入れておく必要があります。
この危険を回避するには、デスクトップではなく、(できればDドライブの)ドライブ直下の任意のフォルダ内(半角英文字名が推奨)に、データ類のファイルを別途、保存しておくことです。起動ドライブのCドライブがアクセス不能な状態でも、パーティションを切って、Dドライブにデータを保存しておけば、サルベージの可能性は高まります。
では、スッキリしたデスクトップにしたとして、それでは仕事がしにくいではないか、と思われるかも知れません。
しかし、ファイルやソフトを起動させるのならば、いくらでも他に方法はあります。
上記の、Windows ボタン+Dキーによる「最近使ったファイル一覧」などもそうですが、これは恒常的に特定の同じファイルを利用するユーザ向きで、それ以外の方には(毎回、新しいファイルを作成するような作業スタイルの人)には不向きです。では、どうするか?
まず、ファイルを扱うには、ファイル管理ユーティリティの使用をお奨めします。
文字通り、ファイルを管理するユーティリティ(ツール)ですから、ファイルのコピー、移動、削除、リネーム(名前の変更)、属性の変更など、GUIで簡単にできます。定番としては、Windows標準のエクスプローラが一番ですが、これは、使い勝手が悪いため、筆者は、オンラインソフトの「卓駆★」を使っています(この使用法やカスタマイズについては、後述)。
他に、エクスプローラライクな作りのものでは、「ファイルヴァイザー」などがあります。これらは、高機能ですが、シェアウェアですから、気に入って長期間、利用するには、対価を払わねばなりません(卓駆★は、シェアを払って、正規ユーザにならなくとも、機能制限はありませんが、起動と終了ごとに、メッセージが出ます)。大体、4000円程度です。
これらのファイル管理ユーティリティをカスタマイズして、起動時に表示するフォルダを、Cドライブのマイドキュメントに設定しておきますと――そして、あらゆるワーキング・ファイルの置き場所を、マイドキュメントに決めておけば――いつでも、ファイル管理ユーティリティを起動して、マイドキュメントに置かれたファイルを、クリックすることで、開くことが出来ます。
マイドキュメントも、表面上はデスクトップ画面にありますが、実は、これも下の階層のサブフォルダのショートカットです(Windows9.X では、C:\My Documents というフォルダになります。XP では、ログインによって、少し違います)。しかし、Windowsの中でも特別なフォルダですから、とりあえず、全部のファイルを(デスクトップ上の)マイドキュメントに格納しておけば、いざという時の避難もできますし、画面が汚くもなりません。むろん、My Documents 内でサブフォルダを作って、細分した階層化することも出来ます。
最近の市販ソフトによっては、Windows標準の(全てのユーザ作成ファイルの置き場である)マイドキュメントではなく、そのソフト独自に作成したフォルダに、勝手にファイルを格納して、結果、行方不明、というケースも多々ありますが、そうした場合でも、ファイル保存時のダイアログボックスのメニューで、保存先のフォルダの変更が可能なはずですので、とりあえず、全てのファイルの格納場所を、マイドキュメントにしておくのが、便利でしょう。
なお、このマイドキュメントは、ショートカットがデスクトップにも置かれていますが、これをCではなく、Dドライブに移すことも可能です。
HDDを2つ(以上)にパーティションを切って、アプリケーション類は、Cドライブにインストールし、ファイルなどのデータ類は、Dドライブに、という使い方をしている方も多いと思います。その場合は、マイドキュメントごと、Dドライブに移すのが、よいでしょう。
ファイルではなく、いつも使うアプリケーションソフトは、では、どうするか?
これも、そのソフトの(実行ファイルの)ショートカットをデスクトップに置くのは、毎日使うソフト(ブラウザやワープロ、表計算など)に止めておく方がよいと思われます。1ヶ月に1度、必ず使う、としても、スタート→プログラムをたどって目的のソフトを起動するのは、それほどの手間ではないはずです。
それも面倒だ、と云う方には、ランチャーをお奨めします。
ランチャーとは、ソフトの起動メニューで、フリーソフトでいくつも出ていますが、起動するソフトを、あらかじめ登録しておき、そのランチャーだけ、スタートアップに入れておけば、PC起動と同時に、タスクトレイに常駐して、いつでも呼び出すことが出来ます。
スタートアップに登録せず、ランチャーのショートカットをデスクトップに作成しておいてもよいでしょう。
しかし、こうしたメニューソフトは、たいてい、キーボードからのホットキーで呼び出しが可能です。ともあれ、いったん起動して常駐した後は、ホットキーやタスクトレイのアイコンをマウスでクリックすることによって、このランチャーを呼び出し、その中に登録された各種ソフトのアイコンをクリックすることで、目当てのソフトを起動する。デスクトップにあるアイコンをクリックするより1つ手間なだけで、それほど頻繁に使わないフリーソフトなども登録できますので、より効率的ではないか、と思われます。
こうしたランチャーは、登録画面が数ページに分かれてタブ構成になっており、タブをクリックすることで、最大100程度までの起動ソフトの登録が可能です。通常は、タスクトレイに常駐していますから、それほどメモリもリソースも消費しません。
いずれにせよ、こうした方法で、デスクトップをシンプルでスッキリしたものにすれば、PCの使い勝手をよりよくし、また、複数で使用するマシンの場合、個人の好みに合わせて、他の人が(あるいは、後任の人が)困惑する、といった事態も避けられるでしょう。
(→注※3 「ランチャー」)
□ファイル管理ユーティリティ「卓駆★」
ファイル管理ユーティリティとは、文字通り、ファイルを管理するツールです。
しかし、ファイルを管理すること、結構、これが難しかったりします。ビギナーでなくても、作成したファイルが、どこかに行ってしまったり、作ったはずのファイルが行方不明になる、あるいは、何という名前で作ったのか忘れてしまったりとか、経験がない人は、いないでしょう。
特に、最近のスィートなどで巨大化したアプリ群は、(前述したように)そのメーカやソフトごとに、勝手な場所に自前のフォルダを作って、そこに自分のソフトによるファイルを集めたりしますので、いつも、マイドキュメント(=C:\My Documents )にファイルがある、とは限らない。
そればかりではなく、ファイルの管理とは、そのファイルのコピー、移動、削除、リネーム(名前の変更)、属性の変更など、いっぱい、あります。
実際は、そのうち最もよく使うのは、ファイルのコピー、削除、移動くらいでしょうが、業務によっては、煩瑣な作業が多くなってきますし、フォルダごとのファイルコピーなど、さまざまな使い方が必要になることもあります。
それら全てを、まかなってくれるのが、ファイル管理ユーティリティなのです。
筆者は、MS−DOSからWindowsへの移行組なのですが、MS−DOS時代には、市販製品では、「エコロジーII」や、オンラインソフトでは、「FD」を使っていました。他にも、「FILMTN(ふぃるめんて)」等、優秀なオンラインソフトがありました。MS−DOSの世界では、コマンドによって作業をするのが基本ですが、これらのツールのおかげで、筆者はMS−DOSのコマンドを忘れても、不都合はありませんでした。少なくとも、こうしたファイル管理ツール(当時は、ヴィジュアルシェルとかファイラーとも呼んでいました)によって、PCの使い勝手は、はるかに良くなった、と思います。
くわしくは、後述しますが、ついでにエディタにも言及しておきます。
テキストエディタ、これは、要するに、ワープロ・ソフトから文字装飾機能と印刷機能を省いたようなものです。しかし、その分、高速・高機能に出来ており、ファイル管理ユーティリティと組み合わせて使うと、これまた、PCの使い勝手は良くなります。MS−DOS時代の定番は「Vz エディタ」でした。
さらに、これに加えて、LHAなどのアーカイバ(圧縮ツール)を「FD」に組み合わせると、ほぼ、PCでやれること全てが、整って、ひとつの環境として完成していました。
MS−DOSでは、原則的に一度に一つのアプリしか起動できない、何か他の作業をしたかったら、今やっている作業を終了させなければならない、ということになっていましたが、「FD」では、これにアプリの実行ファイルを登録しておくことで、例えば「一太郎」とか「ロータス1-2-3」などを使っている最中に、フロッピーの初期化が必要になれば、一度、アプリを終了することなく、「FD」の「子プロセス」という形で別の作業ができて、また元の作業に戻れたのです。これは、もうPCの使い方の一つ、というより、環境そのものでした。
Windows時代になっても、同じです。PCの(HDDの)中身は、たいそう複雑になり、フォルダ(MS−DOS時代にディレクトリと呼んでいた階層構造)のツリーは、さらに深く、多岐におよんで、ファイル管理ユーティリティがないと訳がわからなくなっています。
むろん、Windowsには、標準で、エクスプローラというファイル管理のためのツールがあるのですが、これは、ちょっと機能が低すぎて、使い勝手がよくありません。そして、もちろん、Windows用のワープロソフトとして、一太郎やWordがありますが、エディタに較べて、カスタマイズの余地が狭く、使い勝手があまりよくありません。Windows標準で、メモ帳というエディタがあるには、あるのですが、大きな容量のファイルが扱えない、文字コードの自動判別が出来ないなど、非常に機能面で劣り、現実には、使い物にならないでしょう。
MS−DOS時代から、そうですが、当時、なぜ、みんなが「Vzエディタ」に手を出したか、というと、その頃のPCはスペックが低く、メモリを大量に消費するワープロが重かったことが、理由の一つでしょう。
エディタは、余計な文字装飾機能や印刷機能を犠牲にした分、とにかく速く書くということに関しては、抜群に高機能でした。
ここで、「書く」ということは、ただ単に、コトバを連ねるだけではなく、文字列の処理(特定の文字列の検索や置換など)まで含みます。正規表現を使った一括置換や、複数の文字列の論理演算による検索=「GREP(ぐれっぷ)」 、さらにはその検索結果のあるファイルの該当行へジャンプする「タグジャンプ」などの機能のことです。これらは、とうていワープロソフトには真似できないことでした。
当時の代表的なワープロはジャストシステム社の「一太郎3」か、管理工学研究所の「松6」でした(ともに、FD起動が可能なほど、ソフト自体のサイズは小さかったのです)が、とにかく、置換機能ひとつにしても、地獄のように遅かった。エディタが数十秒で出来ることに1時間かかっている、なんてことはザラでした。
そのころの代表的なエディタは、先述したように、ビレッジセンターから販売されていた「Vzエディタ」が有名です。ファイル管理機能の「ファイラー」まで備えた高機能なエディタで、印刷機能がない分は、初期には技術評論社の「プリント専科」、後期にはオンラインソフトの「PRT」を組み込む仕様で補っていたと記憶します。日本語変換ソフトもないので、各人、当時「FEP」(ふぇっぷ=Front End Proccessor)と呼んでいたそれを自由に組み合わせて、ATOKやWXII などと一緒に使っていました。当時、スノッブなライターの間では、VzとWXII+とPRT++ を組み合わせて物を書くのが流行したものです。
このソフトは元来、パソコン通信の中から発達して商品化されたものです。おそらくオンラインソフトで最初に商品化されたものの一つでしょう。ベータ版を作者が公表し、ユーザがそれを試して、検証し、バグ報告をする。作者は、それに応じて改良を重ねる、という具合でした。GREP や、その検索結果に直接とべる「タグジャンプ」などの機能強化は、ユーザのニーズに応えて、パソコン通信上で培われたものです。そして本来、プログラマ用であったテキストエディタによって文章を書く、という技術やノウハウは、この時代に蓄積され、その設計思想や成果は現在のWindows用エディタ(WZや秀丸)にまで至ります。
今では、メモリは積み放題だし、ワープロの制作会社も、少しは考えて、例えば「一太郎ライト」などがリリースされていますが(筆者は、ルビを振る必要がある文章を書くときと、印刷の時は、もっぱら、これを愛用しています)、ただ単に文章を書くだけ場合や、小さなテキストファイルを一瞥する時など、いちいち、ワープロを起動させるのは、面倒です。そういう時、エディタに優るものはありません。他にも、いろいろと理由はあるのですが、そういうわけで、エディタは必需品なのです。そして、ユースウェアの観点からすると、このエディタとファイル管理ユーティリティを組み合わせることが、PC環境を最適化することである、と思っています。
筆者は、だから、いつも、新しいPCを前にすると、卓駆★とWZエディタをインストールすることにしています(それに、圧縮/解凍ツールのファイルである、UNLHA32.DLLとUNZIP32.DLL を)。
卓駆★は、Windows3.1時代からあるファイル管理ユーティリティの一つで、名品とされています。他に、同じ開発者が別会社で作ったと云われる、「ファイルヴァイザー」などもありますが、筆者は、これを愛用しています。なんだって構わないのですが、自分に合ったツールを選んで使えばよいでしょう。これらのソフトはシェアウェアで、試用が出来ますから、気に入った製品を、長く使うことになったら、ユーザ登録すればいいと思います(中には、フリーソフトもあります。これは無料で使えますが、その分、サポートの点などで、どうしても甘い部分が出てきます。ヴァージョンアップを重ねた、定番を推奨する所以です)。
エディタも同じで、筆者は、MS−DOS時代、ヴィレッジ・センターのVzエディタを使っていましたので、そのまま、Windowsになってからも、同社のWZエディタを使っています。一度、エディタを使いはじめると、トロくて、ワープロソフトは(提出書類など、定型で、体裁を整える必要がある場合をのぞいて)、使えません。
また、これをお読みのユーザには、必要ないかも知れませんが、筆者は、Webページ制作も仕事のうちですので、これには、どうしても、エディタがないと作業になりません。ライターをしている知り合いなどは、オンラインソフトの「秀丸」のユーザが少なくなく、縦書き編集が可能な「QXエディタ」も、愛好家が多いようです。また、SED という正規表現による一括置換をエディタ上で可能にした、「LightWayText 」などもあります。以上は全てシェアウェアですが、フリーソフトにも、名品がたくさんあります。
最終的には、好みの問題と、必要な機能が何か、ということになります。
どれでも構いませんが、とにかく自分に合った、1つのエディタを選んで、その機能を知りつくすことが大事でしょう。目移りして、いくつも使っていては、結局、どのソフトも、中途半端になってしまいますから、どれかを選んでください。
ともあれ、ファイル管理ユーティリティとエディタです。
残念ながら、卓駆★にせよ、ファイルヴァイザーにせよ、有名どころのファイル管理ユーティリティの市販マニュアルは、どれも現在、絶版です。卓駆★のそれは、Windows3.1時代のものが1冊あるきりですが、現在、古書肆でも入手は困難でしょう。いずれも優れたソフトだけに、惜しまれます。
ここでは、そういうわけで、卓駆★とWZを例に、ファイル管理の実際を述べることにします。
まず最初に、卓駆★をインストールします。
卓駆★はオンラインソフトですから、Vector などのサイトでダウンロードするか、雑誌の付録などからゲットすることが出来ます。WZは市販ソフトですから、PCショップや、パソコンコーナーがあるような大きな書店で購入します。最近では、Amazon のようなオンラインショップでも廉価で販売されています。
ちなみに、卓駆★のシェア(=使用料)は税込で4200円。WZエディタの価格はパッケージ版が1万290円です(Amazon では7,557円(税込))。そう高い買い物ではないでしょう。卓駆★はシェアウェアとしては高額な方ですが、同じファイル管理ユーティリティであるファイルヴァイザーも、また、秀丸も同程度の価格です。QXエディタが3150円。長く使うことを考えると、妥当な対価だと思います。
大勢の従業員のいる事業所に対する大量のサイトライセンス契約もあり、公的機関向けの会計書類にも対応しています。
これらのオンラインソフトは、上記にリンクした「Vector 」や窓の杜サイトから自由にダウンロードが出来ます。
卓駆★は、デフォルト(初期値)では、使いにくいです。エクスプローラと同じ作りで、まず、アイコンが大きい。これは、Windows95になってから、MS社が、マックを意識して、そうした、としか思えないのですが、とにかく、あの大きなアイコンでは、困ります。だから、まず最初にやることは、卓駆★のカスタマイズですが、このアイコンを小さくして、「詳細表示」に換えてやります。
ツールバーのメニューの「表示」から「ファイルリストの形式」を選んで、さらに「詳細一覧」に表示形式を換えます。これで、アイコンは最小になります。次に、同じ「表示」メニューから、「表示する項目」を選び、(デフォルトでは「名前」だけですが)、そこにある全て――「サイズ」「日付」「属性」にチェックを入れます。
「表示ファイルタイプ」も、全部にチェックを入れます。Windowsのデフォルトでは、(これはエクスプローラも同様ですが)、「隠しファイル」や「システムファイル」は非表示になっています。これでは必要なファイルが見えませんので、表示させます。
さて、さらに「表示」メニューで、「並び替え項目」を「日付」にチェックを付け換え、「並び替え方法」を「降順で並べる」にチェックを付け換えます。
これによって、ファイルは、全部、(隠しファイルにいたるまで)表示され、しかも日付順に降順(昇順の逆で、この場合、昇順だと、古い順から並び、降順だと新しい順に並びます)だから、最新のファイルが先頭に表示されます。ファイルが行方不明になった時など、これは? と思ったフォルダを開くだけで、一番、新しく作ったファイルが、真っ先に見つかることになります。
もちろん、これは、筆者の例であり、他の表示方法がよい、という方もいると思いますが、少なくとも、筆者には、これが一番、自分に適した方法ですので、こうしています。それぞれに好きな方法で、カスタマイズしてください。
なお、卓駆★は、最近のヴァージョンでは、少し、設計思想が変わり、横の水平スクロール・バーがなくなったことがありました。その代わり、縦の垂直スクロール・バーで、全部のファイルを縦長に一覧する方式です。筆者としては、昔の縦横のスクロール・バーがあった方が視認性の観点から、よかったように思いますが、同じようなユーザの声があったのか、現在の最新ヴァージョンでは、元に戻したようです。
さらに今の卓駆★は、「設定」→「動作環境の設定」で「ウィンドウ」の項目に「卓駆★を複数起動する時は自動で並べる」というものがあり、今までは手動のオプションで並べていたものを、自動的に横に並べることが出来るようになっています。ディスプレイ一杯に、2つの画面が並びます。これは便利な機能です。
というのも、卓駆★のファイル操作では、この2つ(複数)の画面を並べる、ということが重要なのです。エクスプローラやファイルヴァイザーと異なり、卓駆★は1画面1ドライヴの設計思想です。ドライヴのアイコンをクリックして(あるいは、キーボードから、L→ドライヴレター文字を押下して)、ドライヴを移してやらなければ、任意のドライヴに移行できません。だから、2つのドライヴ間で作業をする場合、どうしても2つの卓駆★を起動することになります。
と、いうより、それが卓駆★の設計思想なのです。2つの卓駆★を同時に起動させて、2つの画面を出し、その間で作業をするために、こういう作りになっている、と云ったほうがいいでしょう。2つの画面の間でファイルをドラッグ&ドロップすることで、ファイルのコピーや移動が可能になります。
これが、卓駆★と、エクスプローラやそれに近いルック&フィールを持つファイルヴァイザーとの一番大きな違いで、これを理解していないと、かえって操作がしにくくなります。
先般、ネットでブログを眺めていたら、ある人が、ふだんは「ファイルヴァイザー」を使っていて、たまたま「卓駆★」を使った際に――、
「ドライブバーにドライブアイコンがあるだけで1画面で全ドライブを表示できない、こんなんでは使いづらい」
――との的はずれな意見を書いておられて、まるでソフトの設計思想を理解しないで、特定のソフトの悪口を書く、という非常識さにあきれたことがあります。
ファイルヴァイザーには、ファイルヴァイザーの、卓駆★には卓駆★の使い方と良さがあるわけです。
設計思想と異なる使い方をして、的はずれな意見をネットに垂れ流す、というのは、ソフトの作者や、大勢のユーザに対して礼を失しているのではないでしょうか。
筆者は、たまたま「卓駆★」を好んで使っていますが、知人には「ファイルヴァイザー」のユーザもいます。だからと云って、互いの愛用するソフトの優劣など論じたことはありません。
ちなみに、ファイルヴァイザーは、卓駆★の開発者の方が、独立して、別な会社を興し、異なる設計思想で作った、という話を聞いたことがあります。つまり、元は同根なのです。
エクスプローラ・ライクなファイル管理ユーティリティには、それなりの使い方があり、卓駆★には別の操作体系がある、というだけの話です。
筆者は不器用なせいか、同一画面で、別のサブフォルダから別のサブフォルダに、ファイルをコピーさせるのが苦手で(ちょっと間違うと、一つ上のサブフォルダなどにコピーしてしまいがちです)、ですから卓駆★の方が使い勝手がよいのですが、これは、もう好みの問題ですから、わざわざブログで悪口を書くようなことではありません。
好みの問題であると同時に、それに即した設計思想の問題なのです。
これに関連したカスタマイズとして、最後に、一つだけ加えておきます。
「設定」→「コントロールキーの設定」で「コマンド名」に未使用の(なぜか、卓駆★では「CTRL」キーは全部、未使用なのですが)「N」を選び、下段の「設定」キー押下。「コントロールキーのコマンド設定」画面で「卓駆★のコマンド」タブを開き、「ウィンドウ」系のメニューを展開します。一番上の「新しい卓駆★を起動」をクリックして、OKボタン押下すると、「CTRL キーの設定」画面で、「N」キー(CTRL + N)に「新しい卓駆★を起動」の機能が追加されます。「閉じる」ボタン押下で完了です。
このショートカットキーの追加によって、ボタン1つ(厳密には2つ)で、新規の卓駆★が起動し、先の設定により、2つの画面が横に並びます。「CTRL + N」キー同時押下は、Windows標準で、あるアプリをもう一つ起動させるキーですから、この組み合わせが憶えやすいでしょう。
余談ですが、すでに立ち上げているアプリから、もう一つ同じアプリを起動させるには、この「CTRL + N」キーで立ち上げた方がいいようです。IE などを別に立ち上げるために、デスクトップ上のアイコンをもう一度クリックして起動させると、余計なリソースを食う、という話で、複数の同じアプリを起動させるには、このコマンドを使った方がフリーズを回避する一手段である、ということです。
それはともあれ、先にカスタマイズの方を片づけておきましょう。
すでにWZエディタをインストールしていることを前提にしていますが、ここで、卓駆★とWZを連動させます。
メニューバーの「ツール」から「外部ツールの設定」を選び、「テキストエディタ」の項目に、WZを登録します。右側にある「参照」をクリックして、WZをインストールしたフォルダを選択します(デフォルトでは、C:\Programm Files\WZ フォルダに格納されているはずです)。マイナー・ヴァージョンアップしている場合、wz_main.exe という実行ファイルが、WZの本体なので(していなければ、wzeditor.exe です)、これをクリックします。左側の空欄に、C:\Programm Files\WZ\wz_main.exe が入力されたら、OKをクリックして登録完了です。
これで、卓駆★で、テキストファイルをWクリックすると(あるいは、Eキーを押下すると)、自動的にWZエディタが起動するようになります。
次に、「設定」→「動作環境の設定」で、「起動」タブを開き、「起動時のフォルダ」を自分のよく使うフォルダに変更します。筆者は、あるフォルダに指定していますが、多くの人は、全てのファイルを「マイ・ドキュメント」に格納することが多いと思いますので、そこを「参照」から選択して、指定します。
「ファイルリスト」のタブでは、「スモールアイコン表示の拡張子の扱い」を「◎ 拡張子を詰めて表示」にチェックを入れておきます。
「ウィンドウ」タブでは、先述のように、「卓駆★を複数起動する時は自動で並べる」の項目にチェックを入れ、筆者は、左右に並べるのが見やすいので、「横に並べる」にチェックを入れています。
全て終わったら、OKをクリックして閉じます。そして、以上のカスタマイズを終えたら、いったん、卓駆★を終了させます。次に起動する時には、今、おこなった設定の変更が活きます。
先に、ちょっと触れましたが、特にインターネットの世界では、ファイルは圧縮(アーカイヴ)されていることが多いため、その圧縮ファイルを解凍(展開)するために、UNLHA32.DLL と UNZIP32.DLL という2つのライブラリ・ファイルを、PCにインストールします。これも、上記にリンクした「Vector 」サイトからダウンロード出来ます。
ちなみに、この2つのDLL ファイルでは、LHA に関しては、解凍/圧縮が可能ですが、ZIP は解凍のみになります。ZIP 圧縮のためには、別途、ZIP32J.DLLが必要です。※
ダウンロードの仕方は、サイトの「ダウンロードはこちらから」といったページに移って、通常は、ftp転送の箇所をクリックすると、「ファイルのダウンロード」というダイアログボックスが開きます。その中の、「このファイルの処理方法」で、「◎ このプログラムをディスクに保存する」にチェックが入った状態で、OKをクリックすると、デフォルトでは、ふつう「マイドキュメント」に落ちます(ダウンロード・ツールなどを入れている人は、別の場所が表示されるか、それ以前に、そのツールが起動するでしょう)。学内LAN環境であれば、それぞれ、数秒で、ダウンロード出来るはずです(ダイアルアップの環境でも、1分もあれば、落ちます)。
落としてきたファイルを、これは、卓駆★を起動して、C:\Windows\System フォルダにコピーします。
方法は、2つの卓駆★を起動させ、片方の卓駆★は、C:\My Documents フォルダを開き、先ほど落としたファイルにカーソルを合わせます。もう1つの卓駆★は、C:\Windows\System フォルダを開いておき、ここでは、UNLHA32.DLL と UNZIP32.DLL の2つをクリックすると、赤い★マークが付きますので、これをドラッグ&ドロップで、もう1つの卓駆★の画面の中に――つまり、C:\My Documents から、C:\Windows\System フォルダに落としてやります。これでコピーされます。
これにより、卓駆★で、圧縮ファイル(LHA および ZIP だけですが)を扱うことが出来るようになります。
この2つのアーカイバは、LHA が主に日本で、ZIP が、ほぼ世界中でデファクト・スタンダード(事実上の標準)の圧縮ツールであるため、これだけあれば、インターネットで流通しているファイルのほとんどに対応できます。それ以外の特殊なもの(MSのCAB とか、RAR など)は、別途、それに対応したツールとライブラリ・ファイルが必要ですが、ふつうは、そんなものは要らないので、一般的なユーザであれば、これで充分でしょう。
もし、どうしても必要なら、そうしたアーカイバを集めているサイト「統合アーカイバプロジェクト」がありますので、そこでダウンロードして下さい。
※注) XPマシンまでは、上記の方法でOKだったのですが、現在、最新のOSである Vista マシンでは、OSのセキュリティ上の制限から、システム関連へのフォルダ内への特定の拡張子のファイル(.dll や.exe 等)は、通常のドラッグ&ドロップや編集メニューでのコピーが不可能になっています(これは、Vista 独自の「仕様」です)。
ですから、Vista マシンへの上記 dll ファイルのインストールは、コピー機能ではなく、Vector サイトなどにアップされているインストーラ付きの実行ファイル=ulh3263i.exeやunzp542.exe で行なってください(Vector では、これらの最新のヴァージョンは全てインストーラ付きになっています)。
ZIP32J.DLL については、Vector にも、インストーラ付きのものがないため、圧縮も必要な方は、「caldix」という汎用性の高いDLLファイルのインストーラを推奨いたします。
また、現時点では、卓駆★は、Vista マシンへの公式対応ヴァージョンは出ていませんが、公式サイトにおいて、「過去の互換性の範囲で動作する」旨、アナウンスがなされています。
方法としては、インストール後、アイコンを右クリックして、プロパティを選び、「互換性」のタブから「互換モードでこのプログラムを実行する」にチェックを入れ「XP」で動作するようにして、さらに、「管理者としてこのプログラムを実行する]」にチェックを入れておけば、問題なく使えます。
ちなみに、卓駆★で、ドラッグ&ドロップによるコピーは、上記の方法ですが、移動の場合は、SHIFT キーを押下しながら、同じ操作をやると、移動(すなわち、コピー+削除)になります。むろん、卓駆★の編集メニューから、コピーと貼り付けで行ってもいいのですが、せっかくですから、マウス操作をすることにします。
矛盾するようですが、これらの操作以外では、卓駆★では、キーボードからの操作体系が主体であるように設計されています。これは、MS−DOS時代のデファクト・スタンダードであったファイル管理ユーティリティの「FD」が、頂点を極めた観がありますが、その設計思想を受け継いでいるものです。「FD」では、キーボード操作だけで、ほとんど全てのファイル操作が可能でした。
Eキーで、エディタ起動、Vキーで内部ヴューア起動、Cキーでコピー、Mキーで移動、Lキーでドライヴ移動、Rキーでリネーム、Kキーで新しいフォルダ(ディレクトリ)作成Aキーで属性変更、といった具合です。
それぞれ、操作コマンドのイニシャルであることが多いので、憶えやすく、使い勝手がよかったのです(Eは Editor、Vは Viewer 、Cは Copy、Mは Move 、Lは Logdisk 、Rは Rename 、Kは maKe directory Aは Attribute です)。
卓駆★も、この設計思想を受け継いでおり、ほぼ、「FD」と同じ操作体系です。筆者が卓駆★を愛用しているのも、MS−DOS時代からの延長線上にあるからです。人間、いったん憶えたことは、たとえ環境が変わっても、そのままの操作体系で続けていたいものですから。
ともあれ、そういうわけで、卓駆★の操作は、キーボードから出来る、というメリットが大きい。これは理由として、マウス操作は、便利ですが、どうしても、操作のたびごとに、いったん、手がキーボードから離れます。指をホームポジションに置いてタッチタイプが出来る人でも、一度、キーボードから手を離した後、ふたたび指先をホームポジションに置くのは、一呼吸おかねば、不可能です。それを嫌って、連続して操作が可能なように、このキー操作体系はあるのです。いかな WindowsがGUI環境とはいえ、マウス操作というのは、連続して集中的にデジタル・ライティング作業を行う作業においては、あまり効率的ではない、というのが、パワーユーザ一般の意見です。
もちろん、圧縮ファイルの操作も、キーボードから可能です。Uが解凍、Pが圧縮です(Uは Unpack、Pは Pack の略の由)。
圧縮の場合、1つだけでなく、いくつか複数のファイルも一連の操作で出来ます。マウスを利用する時は、1個のファイルにカーソルを当てておき、SHIFT キーを押しながら、任意の場所までカーソルを運べば、その間の全てのファイルが指定状態になります。また、1つ飛ばして指定したい場合は、CTRL キーを押下しながら、カーソルを移動して、クリックしてやれば、可能です。そうして指定した複数のファイルを、Pキー押下によって、いっぺんに圧縮できるのです。もともと、アーカイヴ(原意=古文書館)というのは、圧縮というより、1つの書庫にまとめる、という意味ですから、圧縮はそのついで、のような機能です。しかし、パソコン通信時代からインターネット時代まで、電話料金やアップロードとダウンロードの時間の節約のために、圧縮のテクノロジーは不可欠だったので(ブロードバンドが当たり前の時代になれば、なぜ、そのようなことが必要だったのか、判らなくなるかも知れませんが、今は、まだ、必要な技術と云えましょう)、アーカイヴ=圧縮、というふうに理解されています。
そうして圧縮されたファイルは、Uキーで解凍(展開)されます。
ところで、これまた卓駆★には、勝れた機能があり、まず、Vキーで圧縮ファイルを見ると、内部ヴューアで中身が判ります。複数のファイルがあった場合、それらのファイル名が一覧されるのです(これは、あくまでも、ライブラリ・ファイルをしかるべきフォルダに格納されてからのことです。それ以前は、圧縮ファイルの中身は不可視です)。
そうすると、複数のファイルがある場合、さらにその1つにカーソルを当てて、ふたたびVキーを押下すると、解凍する以前にそのファイルの内容が見えます(これを「直視」と呼んでいます)。テキストファイルであれば、そのまま内容が判りますし、画像ファイルであれば、JPEG、GIF、BMP、PNG、TIFF などは、やはり内部ヴューアで直視できます。
他のファイルであれば、「ファイルの参照」というダイアログボックスが開き、「このファイルはバイナリの可能性があります。表示方法を選択して下さい」と問い合わせてきます。「テキスト表示」と「バイナリ表示」が選択できます。テキスト表示だと、対象がバイナリ・ファイルであっても、強制的にエディタ(この場合、WZです)で開きます。またバイナリ表示を選ぶと、卓駆★に内蔵されたバイナリ・ヴューアが内部を表示します。バイナリ・エディタと違って、編集機能はありませんが、16進法と文字列の内容が判りますので、対象のファイルの中身が不明の時など、便利です。また、圧縮ファイル以外にも、Bキー押下によって、バイナリ表示されます。
この時、複数のファイルの中で、特に1つだけ、解凍したい場合は、そのファイルをクリックして(あるいは、スペースキーを押下して)、赤い★マークを付けて選択指定してやり、その上で、ツールバーのメニューから解凍を選ぶか、あるいは、Uキーを押下すれば、解凍先を問い合わせてきますので、そのフォルダでよければ、そのままOKを押せば(あるいはリターンキー押下すれば)、選択したファイルだけ、解凍できます。
さらに、内容がテキストファイルだった場合は、内部ヴューアを起動した段階で、そのツールバーのメニューから編集→全てを選択/解除をクリックし、コピーすることで、内容がWindows標準のクリップボードに転写されます。しかる後に、エディタを起動して、CTRL + V キー押下で、ペーストしてやれば、解凍しないファイルの中身がエディタに渡されるのです。なかなか便利な機能です。
内部ヴューアにも、いくつかの機能が付いています。検索や行数表示も可能ですし、もし文字コードが異なっていた場合――インターネットの世界(というより、UNIX環境)での標準であるEUC だったりします――文字化けしますが、「表示」→「漢字コードを変換して再表示」を選ぶと、きちんと見ることが出来ます。
これらは、MS−DOS時代に、「FD」と連動する「MIEL 」などというツールで実現されていたものと同じですが、Windowsでも、同様のことが可能になっています。テキストならば、全範囲指定あるいは部分指定し、指定した範囲を CTRL + C キーでコピーして、外部のエディタに渡すこともできます。圧縮ファイルの全部を解凍する必要がなく、そのうち一部だけ、覗きたい時や、利用したい時など、こうした機能が役に立ちます。また、エディタ起動によって、まるごとエディタで読み込むことも可能です(この場合、編集結果は上書きでは書き戻せませんので、名前を付けて、圧縮ファイルの外に保存します)
なお、これらの操作は、ヴューアのメニューバーやツールバーだけでなく、マウスの右クリックでのコンテキスト・メニュー内にも有ります。
解凍や、全選択/解除だけでなく、その書庫内での削除も可能です(危険だし、必要もないので、筆者はやったことはありませんが(^^;))。
また、ソートの項目から、卓駆★の表示の並び替えにある項目すべてで、ソートが可能になっています。大量のファイルを含んだ圧縮ファイルなどの場合、拡張子別や名前順でのソートは便利でしょう。
検索機能では、全検索でファイル内の文字列すべてを検索して結果を表示します。いたれり尽くせりの出来と云えましょう。
卓駆★の終了は、ESCキー押下で可能になっています。むろん、アイコンやファイルの「閉じる」、または、右上の×をクリックするWindows標準の操作も可能ですが、ESCキー一発で終了できる簡便さは、非常にユーザフレンドリーと云えるでしょう。こみいった作業をしていて、デスクトップ画面がいっぱいになった時、ALT + F4 キーを押下しまくって、作業を終了させなくてはならないのに較べると、1つのキー操作で、簡単に終了できるツールはありがたいものです。
□WZエディタ
さて、卓駆★とWZエディタの連動については、前の項目で述べましたが、ここでは、肝心のWZエディタのカスタマイズについて述べます。
これは、むろん、筆者の、自分にとって使い勝手がいい、と思われるカスタマイズですから、当然、他の人には、それぞれ違ったカスタマイズの仕様があると思います。しかし、とりあえず、以下に述べることで、その方法論は、ご理解いただけると思われるので、自分に合ったカスタマイズを、どうぞ、お試しください。
注※
なお、以下の記述は「WZエディタ4」に即したものです。
すでにver.5 も発売されて久しいのですが、なんだかまだバグフィクスが終わってないようですので、あえて旧版での記述を残しています。
ver.5 のバグが完全に除かれたら、そちらに即した記述に差し替える予定ですので、不悪、ご承知おき下さい。
●文書の設定
1)文字数・行数
1行の文字数(85)
□ 右端で折返すにチェック
1ページの行数(0)
2)整形
整形の1行の文字数(83)
3)表示
フォント Fixed Sys (12)
行間 (2)
□ 行番号 表示行(チェック)
□ 見出番号(チェック)
□ 制御文字(チェック)
4)色分け
検索文字列(任意の色に変更)
テキストの種類に応じた色分け
□ 引用(チェック)
□ URL と Email アドレス(チェック)
●表示→オプション
1)表示
横書き時に上端を (3) ドット空ける
縦書き時に両端を (5) ドット空ける
□ アウトラインを左側の表示(チェック)
2)色
文字色→黒、背景→明るいグレイ、行番号→濃緑、制御文字→青、URL →青(or 橙)
この背景色をカスタマイズする意味は、白い画面だと、長時間の作業で眼が疲れてくるためです。筆者は、一太郎ライト2も、同様に画面をグレイにカスタマイズしています。
もっとも、長時間、作業すること自体が、眼にはよくないので、むしろ、適当なインターヴァルを空け、区切りのいいところでブレイク・タイムを取ることをお奨めします。
3)キー
キー定義のカスタマイズ →My Key を追加
□ Alt キーにコマンドを割り当てる(チェック)
□ コンボボックスを拡張(チェック)
4)その他
クリッカブルURL
サービス NSShell(=Nesc 4.X)
5)編集
アンドゥバッファの最大サイズ 128 → 256KB へ変更
6)バックアップ
□ 自動保存を行う(チェック)
(1)回目の編集を行った時、 (300)秒後に自動保存する
7)ファイル
□ 文字コードの自動判別(チェック)
□ 改行コードの自動判別(チェック)
●ツール→ツールバーのカスタマイズ
1)追加→コマンド[.....] をクリックし、コマンドを選択
アイコンを選ぶ(標準、ビュー、WZ標準より)
印刷スタイルの設定
印刷プレビュー
置換
慣用句の挿入
日付・時刻の挿入
文書の先頭へ
文書の末尾へ
●ツール→キーカスタマイズ
^I(CTRL + I) で、引用__★__
^D(CTRL + D) で、日付・時刻の挿入
^K(CTRL + K) で、慣用句の挿入
●挿入
1)日付・時刻
追加 xxxx年 %yyyy
xx時:xx分 %hh:%tt
2)慣用句
template.dic を直接、書き換える(メールのヘッダ、署名、HTML のスタイルシートなど)
★ 書式→引用符で、引用符の挿入・引用符を付けて(クリップボードから)貼り付けの両方を「 >> 」(半角)入力のこと
これは、Macユーザでは普通のことですが、Windowsでも、ファイルの関連づけ、ということがあり、たとえば、Excelのファイルをクリックすれば、Excel本体のソフトを起動しなくても、Excelが起動して、そのファイルを自動的に読み込む、という仕組みになっています。
Macでは、ファイル自体に(その中に)Macバイナリと呼ばれるファイル定義の部分があって、Excelで作られたファイルならば、Excelと関連づけされていますから、クリック一つで開くのが当たり前です。Windowsでは、「拡張子による関連づけ」ということで、同じことを実現しています。
拡張子というのは、Windows以前のMS−DOS時代にさかのぼる、ファイル名の付け方の要素です。MS−DOS時代や、その後の短いWindows3.1 時代には、「8.3 原則」と云われるファイルの名前付けのルールがありました。
これは、「hogehoge.xls 」というファイルがあったとして、最初の半角英数文字8文字をベースネームといって、その後、ピリオド(ドット)を打って、次に半角英数文字3文字を付けます。この後者の3文字の部分が、拡張子で、これがソフトと関連づけの対象になります。Excelなら、「xls」、Wordなら、「doc」という具合に、ソフト(とヴァージョン)ごとに決まった名前になっています。
ちなみに、マイクロソフト社では、どのヴァージョンのExcelもWordも、すべて、同じ拡張子です。これは、一見、便利そうでも、困ったことを引き起こします。つまり、Word2002 で作成されたファイルは、Word97 では開けないのです。これを上位互換といって、上位のヴァージョンのソフトでは、下位ヴァージョンのファイルは開けますが、逆が出来ません。しかも、それがどのヴァージョンで作られたファイルなのか、見ただけでは判らないのです。
日本産のワープロソフトの一太郎では、ヴァージョンごとに異なる拡張子を採用しており、こうしたトラブルを避けていますが、マイクロソフト社では、独自の理念があるようで、いまだに、混乱のもとになっていて、解決策はありません。結局、最新のヴァージョンが出たら、それに乗り換えることになります。企業の販売戦略なのですが、あまり誉められた態度ではないでしょう(戦略はともかく、作成ファイルが、どのヴァージョンのものなのか、見ただけでは判らない、というのが、一番、困った点です)。
まあ、回避する方法は、あることは、あります。Windowsからではなく、MS−DOS時代からPCを使っているユーザにとっては、「なぁんだ」と思われるような方法ですが――あらかじめ、FD内に、バッチファイルを作っておき、そのバッチを利用して、フォルダ内にたどり着く、というやり方です。
バッチファイルの内容は――、
c:
cd \
cd c:\windows\デスクトップ
むろん、このバッチファイルの作成は、マシントラブルがあった後では、無事な別なマシンで行い(テキストファイルですから、ワープロでも、エディタでも何を使って作っても構いません)、FDにコピーします。バッチファイルの名前は適当でいいです。例えば、desk.bat としておき、これを、MS−DOSモードで復旧中のマシンにマウントします。
MS−DOSのコマンドプロンプトから――、
A:\desk.bat
と打ち込んでやれば、そのフォルダ内に到達できます。あとは、コピーコマンドを使って、デスクトップ・フォルダ内のデータを救済する、というわけです。
しかし、こういった方法は、MS−DOS時代からのユーザにとっては、判りやすいかも知れませんが、WindowsからのPCユーザや、ましてマックユーザには、面倒このうえないと思われます。
であれば、やはり、デスクトップに、ファイルや、ショートカットを置くのを、止めておいた方が無難である、という結論になります。
ここでは、一例として、「ぷちらんちゃ」というフリーソフトを使ってみます。
Vector のサイトからファイルをダウンロードして、LHA 圧縮されているので、解凍して使います。
任意のサブフォルダにファイルを展開してやれば、それで、インストールが終わります。
スタートアップに登録しておくか、それが嫌いな方は、ショートカットをデスクトップ上に作っておけば、便利でしょう。
起動すると、次のようなランチャーが表示されます。
いったん起動した後は、常駐するのが、この種のソフトの特徴です(起動させた後、終了すれば、常駐は解除されます)。
とりあえず、最初は、何も登録されていませんので、いくつか、試しに登録してみます(8つのタブに、各々最大40個までアプリケーションソフトの登録が可能なので、合計320個の登録ができます。まぁ、そんなに沢山、登録する人はいないでしょうけれど)。
ここでは、画面キャプチャーソフトの「clipsaver」を登録してみます。
下の図は、ファイル管理ユーティリティの卓駆★と、ランチャーとを並べてみた画面です。
登録するには、何もないボタン(青い四角いボタン)を右クリックすれば、登録画面が出ます(下図参照)。
「登録・編集」メニューをクリックすると、次の入力画面になります。
ここで、「登録名」が、ランチャーの表示するソフトの名前になります。
「プログラムパス」は、そのソフトの実行ファイルの場所です。「絶対パス」とは、フルパスのことで、たとえば、「C:\Program Files\WZ\wz_main.exe」といったものです。
「起動オプション」は、とりたてて、何も入力しないでも結構です。MS−DOS時代からのヘヴィユーザで、そのアプリを起動させるのに、毎回、決まった操作をさせる(特定のファイルを開くとか)といったことでもないかぎり、さわらなくてよいでしょう。
「作業フォルダ」は、そのソフトが動作する際に、使うワーキングファイルなどを一時的におく場所です。通常は、そのソフトを格納したフォルダか、その直下のサブフォルダですが、これらのことは、パソコンに詳しくないと、ちょっと入力しづらいでしょう。そこで、下記の方法で、登録することを推奨します。
各項目に、フルパスで登録するソフトの実行ファイルを入力する方法もありますが、フルパスで入力するのは、Windowsユーザには、面倒なことだと思われます。ですから、すでにある市販ソフトのショートカットならば、それを、フリーソフトなどであれば、ファイル管理ユーティリティ上で実行ファイル(たいてい、拡張子が.exe のもの)を特定できれば、それを、「プログラムパス」の項目に、ドラッグ&ドロップしても、登録できます(この場合、自動的にパスやソフト名が入力されます)。
後者の場合、万が一、間違って、アンインストールの実行ファイル(同じフォルダにあることがあります)などを登録しないように、あらかじめ、目星をつけた実行ファイルを一度、起動させて、きちんと目当てのソフトが起動することを確認してから、この作業は行った方が無難でしょう。
左上のタブパネルボタンをクリックすると、パネルが変わります。1つのタブで示される1パネルに、最大40個のソフトが登録できますから、用途ごと、あるいは、ジャンルごと(MS製品とか、ワープロや、画像処理とか)に分けて、登録すると便利でしょう。
ここでは、いつも使うソフトを第1パネルの第1ページに、といった具合です。ページは、「[<<] [<] 1/5 [>] [>>] 」とある真ん中の項目で、「[<]」や「[>]」をクリックすれば、改ページされます。
登録ボタン、タブパネルボタン以外の部分、またはタスクトレイにあるアイコン上でマウスを右クリックし「設定」を選択すると設定画面が現れます。設定画面には3つのタブがあり、それぞれの設定を行なうことができます。1ページに設定するボタンの数などは、ここで設定変更が可能です。くわしくは、ヘルプを参照してください。
以下は、筆者が(3.1時代からWindows98マシンまで)愛用している画面キャプチャーツール「ClipSaver」をランチャーに登録する例を示します。
最近、これは32ビット対応となりましたが、WindowsXPでは、JPEG とBMP をスウィッチしてキャプチャ可能なフリーソフトの「T's Capture」や「WinShot」の方が使いやすいかも知れません。ここでは、一応、「ClipSaver」で話を進めます。
ランチャーの登録画面と、ファイル管理ユーティリティを同じ画面上に並べておきます。
こうしておいて、ClipSaver の実行ファイル「clipsave.exe」ですから、これをドラッグ&ドロップで、登録画面のプログラムパスにコピーします(下図参照)。自動的に、「登録名」「プログラムパス」「作業フォルダ」に、しかるべき文字列が入力されます(登録名は入力したままが名前として登録されますので、ここで、変更しても構いません――拡張子を省いたり、「クリップセイバー」のように日本語名にするなり――)。
すると、下図のように、ランチャーのボタンに登録されます。
次に、ランチャーを使った、ソフトの起動の仕方を示します。
とりあえず、登録しておいた、「Photoshop」を起動します。
下図で、(画面キャプチャの性質上)見えませんが、カーソルを「Photoshop」の位置に置いています。すると、下のボックスに登録した際のソフト名が表示されます。
ここで、カーソルをおいたボタンをクリックすると――、
下図のように、指名したソフトが起動します。
Windowsアプリ標準で、右上の[−]印をクリックすると、最小化され、タスクトレイに格納されます。下図は、印上にカーソルを置いた際の、表示です。
下図は、そのようにしてタスクトレイ内にアイコン化(最小化)したところです。ここから、いつでも、クリック一つで、呼び出すことが出来ます。
終了も、Windows標準で、右上の[×]印をクリックすれば、ランチャー自体が、終わります。下図は、カーソルを置いた際の、表示です。
他にも、いくつも、ユニークなランチャーがあります。
多くはフリーソフトで、使い勝手も、練り込まれたものが多く、多機能な(クリップボードを拡張したりとか、コマンドラインが使えたりとか、といった)ソフトがあります。ぜひ、試してみて下さい。
デスクトップが、すっきりすること、請け合いです。
なお、この文中において特に詳細に紹介した、シェアウェアの「卓駆★」を制作・販売している「株式会社コム」より、ソフトの紹介内容および使用した「卓駆★」の画面キャプチャ画像に関しての使用許諾願いに対し、快諾を得られた。同社のご好意とご厚情には記して感謝したい。
また、同様の許諾とご厚意は、シェアウェアの「ClipSaver」の作者・平山 桂氏からも先に戴いており、これまた、記して感謝に換えたい。
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