26日に発足する安倍晋三政権が、来月中旬にも大型の経済対策を打ち出す。国費で10兆円規模の2012年度補正予算案を編成し、金融緩和の強化に動く日銀とともに景気を下支えする方針だ。
だが不要不急の公共事業をばらまき、経済対策の規模だけを膨らませるのでは困る。徹底的に無駄を排除し、成長力の強化やエネルギーの安定供給に資する施策を選別しなければならない。
日本の実質成長率(前期比)は4~6月期から2四半期連続でマイナスを記録した。世界経済の減速や日中関係の悪化、エコカー補助金の終了などが原因だ。
中国経済の底入れや円安・株高といった追い風も出てきたが、楽観できる状況ではない。景気を確実に回復させ、14年度からの消費増税につなげる必要がある。
肝心なのは経済対策の中身だ。安倍政権は防災・減災対策や震災復興の公共事業を中心に据える公算が大きい。自民党の「国土強靱(きょうじん)化計画」や、公明党の「防災・減災ニューディール」の具体化が想定される。
老朽化したインフラの補修や公共施設の耐震化に、一定の投資が必要なのは確かだ。これを口実に無駄な公共事業を膨らませる動きには首をかしげざるを得ない。
自民党は経済対策の財源を賄うため、民主党が財政運営の指針としてきた44兆円の新規国債発行枠を見直す考えも示している。大盤振る舞いで財政規律を損なわないよう注意してもらいたい。
重視したいのは新産業の育成や新技術の開発を促すような施策である。再生エネルギーの普及に欠かせない送電網の整備や蓄電池の開発などを後押しすべきだ。
予算や税制、規制緩和といった政策手段をうまく組み合わせ、こうした事業を支援してほしい。公的資金に頼るだけでなく、民間資金の活用を検討してもいい。
メリハリと規律が問われるのは13年度予算案も同じである。成長と財政再建の両立という大きな目標を忘れず、ここでも経済の底上げに役立つ施策に予算を重点配分しなければならない。
もちろん中長期的な成長戦略も欠かせない。自民党が公約した法人税の大胆な引き下げや不断の規制緩和を具体化する必要がある。環太平洋経済連携協定(TPP)には慎重だが、日本の貿易や投資を活性化する効果は大きい。一刻も早く参加を表明すべきだ。
安倍晋三、エネルギー、日銀
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