会見場を退席する日本未来の党の嘉田由紀子代表(手前)と飯田哲也代表代行=16日午後9時39分、東京都千代田区、小川智撮影 |
「卒原発」を旗印にした日本未来の党は、選挙前の61議席から大幅に勢力を減らした。代表の嘉田由紀子滋賀県知事は東京都内のホテルで開票を見守り、「日がない中で十分に訴えきれなかった」と振り返った。
嘉田氏は、自民が圧勝したのは「日本中、自分の目の前の『安定』が欲しいということ」と分析。そんな中、次に原発事故が起これば日本の自然と未来が無くなるという危機感に人々が心を動かさなかったのは「大変ショックです」と話した。一方「ここであきらめない。大義はどこにあるのか。前進しましょうと申し上げたい」とも語った。
知事として、隣県の福井県で原発事故が起きたら「琵琶湖が放射性物質で汚染される」と危機感を抱いてきた。大飯原発の再稼働問題では当初、大阪市の橋下徹市長と同調して関西電力に圧力をかけた。だが橋下氏が原発に肯定的な石原慎太郎氏と合流を決めたため「仲間を失った」と失望感をあらわに。脱原発の受け皿となる政治勢力結集を勧める小沢一郎氏に説得され、公示日の1週間前に結党を表明した。
第一声の場所は全村避難が続く福島県飯舘村。「10年で全原発を廃炉。再稼働はゼロ」と訴えた。だが準備不足は最後まで響いた。
環境エネルギー政策研究所の代表で、橋下氏の「脱原発ブレーン」として大阪府市特別顧問を務めた飯田哲也氏(53)も、山口1区で自民前職に敗れた。
脱原発でぶれ始めた日本維新の会と袂(たもと)を分かち、未来の党の代表代行に就任。原発政策を進めた自民の政権復帰を批判し「原発のない未来を」と訴えた。だが何もかも急ごしらえ。ミニ集会では「小沢氏と組んだのはなぜか」と質問が相次ぎ、主張は広がらなかった。
「小沢王国」といわれた岩手県でも、小沢氏は早々と当選を確実としたが、1区では、自ら立候補を口説いた達増陽子氏(47)が接戦の末敗れた。前回民主で政権交代の風に乗り当選した後、小沢氏と共に党を渡り歩いた「小沢チルドレン」も、相次ぎ小選挙区で落選した。