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生活保護のリアル みわよしこ
【政策ウォッチ編・第7回】 2012年12月21日
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みわよしこ [フリーランス・ライター]

自民圧勝で生活保護受給者は絶望の淵に
元公務員ワーキングプアが語る貧困世帯の悲惨な現場
――政策ウォッチ編・第7回

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平田さんの住むアパート。築33年、木造。住人の多くは、生活保護当事者だ

 就労への焦りはないのだろうか? 40代でも厳しい就労は、50代になれば、さらに厳しくなる。筆者がそう問いかけると、平田さんは、

 「今まで、20歳で短大を卒業してからずっと、20年以上仕事をしてきました。今は人生の休憩時間で、ちゃんと休まないとダメなんだと思っています」

 と答えた。たぶん、平田さんは正しい。焦っても、良いことは何もない。

 今、平田さんの住む小さな町の自治体は、社会福祉士を雇用しようとしている。平田さんは、

 「どういう人が来るんだろう? 若い人かな? 経験を積んだ人かな?」

 と、期待を膨らませている。いずれにしても、社会福祉士資格を持ったソーシャルワーカーが来れば、小さな町の福祉をめぐる連携は、さらに緊密になるに違いない。

 政治がどうなろうが、政権党がどの党になろうが、福祉が必要でなくなることはない。より良く機能し、福祉を必要とする人々の多様なニーズを満たし、多様な形の「自立」を実現するための福祉が、これからも、より一層求められることだけは間違いない。

 次回は、学術研究の立場から見た現在の生活保護制度とその問題点について、若い研究者の意見を中心に紹介する。生活保護費とは、いったい何なのだろうか?

<お知らせ>

 本連載は、大幅な加筆を行った後、2013年2月、日本評論社より書籍「生活保護のリアル」として刊行する予定です。どうぞ、書籍版にもご期待ください。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、2匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル みわよしこ

急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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