就労への焦りはないのだろうか? 40代でも厳しい就労は、50代になれば、さらに厳しくなる。筆者がそう問いかけると、平田さんは、
「今まで、20歳で短大を卒業してからずっと、20年以上仕事をしてきました。今は人生の休憩時間で、ちゃんと休まないとダメなんだと思っています」
と答えた。たぶん、平田さんは正しい。焦っても、良いことは何もない。
今、平田さんの住む小さな町の自治体は、社会福祉士を雇用しようとしている。平田さんは、
「どういう人が来るんだろう? 若い人かな? 経験を積んだ人かな?」
と、期待を膨らませている。いずれにしても、社会福祉士資格を持ったソーシャルワーカーが来れば、小さな町の福祉をめぐる連携は、さらに緊密になるに違いない。
政治がどうなろうが、政権党がどの党になろうが、福祉が必要でなくなることはない。より良く機能し、福祉を必要とする人々の多様なニーズを満たし、多様な形の「自立」を実現するための福祉が、これからも、より一層求められることだけは間違いない。
次回は、学術研究の立場から見た現在の生活保護制度とその問題点について、若い研究者の意見を中心に紹介する。生活保護費とは、いったい何なのだろうか?
<お知らせ>
本連載は、大幅な加筆を行った後、2013年2月、日本評論社より書籍「生活保護のリアル」として刊行する予定です。どうぞ、書籍版にもご期待ください。