問題を抱えた児童・生徒の家庭は、人間関係が「めちゃくちゃ」であることが多い。その背景には、親世代、あるいはその前の世代からの貧困の連鎖がある。児童・生徒だけを指導すれば、問題が解決するわけではない。さまざまな意味での支援が必要だ。支援の内容は、福祉・子育て支援・不登校問題に対する支援・学力向上……など多岐にわたる。しかし、多くの自治体で、それらの支援は、いわゆる「縦割り」になっている。連携して機能する仕組みにはなっていない。
平田さんが現在住む町では、自治体も町も小さいために、連携が「ある程度できている」という。自治体が小さいので、「横のつながりがしっかりしている」のだそうだ。困窮家庭の子どもの支援では、保健・福祉・不登校など教育面での支援・虐待の可能性があれば児童相談所などを含めた支援体制が必要だが、現在住む町の役場では、それらの窓口が同じフロアにある。必要があれば、すぐ、近くにいる担当者につなぐことができる。
一方、平田さんが指導員の仕事をしていた北海道の中都市では、子育て支援はその市の教育委員会が行なっていたが、児童相談所は札幌市にあり、連携を取ろうにも取れない体制だったそうだ。
今は人生の休憩時間
「つなぐ」人になりたい
平田さんは今後について、
「組織の中で仕事をするのは、自分には厳しいと思います」
という。精神疾患のこと、年齢のこと、職歴のブランクのこと。生活保護を利用した時期があることも、再度の就労に対して、決して有利には働かないだろう。
今は、仕事というより、「つなげる」役割を担う人間になりたいと思っている。報酬を得る仕事にすることは、今のところは考えていない。困っている人と支援を「つなげる」。支援と支援を「つなげる」。グチや悩みに黙って耳を傾ける。「そういうことができたらいいのかなあ」と、なんとなく考えている。