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2012年10月30日 (火)

日本101位、「開発途上国」並み

スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが24日、2012年版「男女格差報告」を発表した。日本は調査対象135ヶ国中101位となり、前年より順位を3つ下げた。報告は女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析して数値化したものである。101位とは、日本の男女間格差が深刻な程度にまで進んでいる、ということなのだろう。

これで思い出したことがある。少し古くなるが、私の手元に国連開発計画(UNDP)が発行した「人間開発報告書2004年版」がある。ここは毎年、人間開発指数(HDI)の測定値を公表している。HDIとは、出生時平均余命、成人識字率、初・中・高等教育総就学率、一人当たりGDPの数値に基づき算出された数値である。「1」に近いほど先進国、ゼロに近づくほど開発途上国、と評価される。このデータは貧困削減の具体策を構築する目的などに活用されている。


私は2003年から2ヶ年、ODA関連でマラウィへ赴任した。最初のうちは特に気にも留めなかったのだが、しばらく経つと、この国は貧しいようでもあり豊かなようでもある、何とも奇妙な国だなあという思いが湧いてきた。近隣諸国と比べ、「マラウィのポジション(貧しさのレベル)は一体どの位なんだろか」という事が知りたくなって、妻からの手配で標題のリポートをマラウィへ郵送してもらった。今度の「男女格差報告」とは若干切り口は異なるが、面白いので紹介しておく。

2004年版のHDIでは、トップテンは上位からノルウィー、スウェーデン、オーストラリア、カナダ、オランダ、ベルギー、アイスランド、アメリカ、日本、アイルランドだった。この年、統計に載った国の数は177ヶ国である。ビリからのトップテンはシエラレオネ、ニジール、ブルキナファソ、マリ、ブルンジ、ギニア・ビサウ、モザンビーク、エチオピア、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国であった。更に、チャド、アンゴラと続いて私が赴任していたマラウィはビリから13番目である。日本にとって、ここに並べたいわゆる下位チーム、これらの国はほとんど馴染みがない。が、すべてアフリカの諸国である、この点は注目すべきだ。ついでに言えば、その先もザンビア、コートジボアール、タンザニア・・・・とアフリカ勢が続く。要するに、2004年版のHDIでは上位は北欧勢、下位はアフリカ勢であった。因みに、当時の日本が上位9位につけているのはGDPの高さが貢献している理由による。

さて、UNDPの報告書にはHDI指数の他、更に細分化された指数がある。冒頭の「男女格差報告」にもっとも近いと考えられる指数に「ジェンダー開発指数(GDI)」が挙げられる。これによれば日本は38位なのだ。人間開発高位国の中では突出して低い数字だ。最新データではどうかという点は気になるが、マラウィより日本の方が女性議員数の割合が少ない、等の実態を考慮すれば当然だろう。だから、「男女格差報告」にある135ヶ国中101位というのは概ね正しい。


日本の女性は優秀である。これは事実だ。にも拘らず、いろんなレベルで女性活用が進んでいないのは「日本の社会システムに問題がある」、と私はみる。日本経済が下降線をたどる中、才ある女性人材をどんどん登用することで、何とか日本復活の足掛かりにできないものか。女性総理大臣が登場しても、今以上に経済が悪化することはない。”メンツ”にこだわる男同士がこぶしを振り上げたまま尖閣で対峙している、こんな状況よりよほどマシだと思うがいかがか。

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