▽イラク戦争支持「おおむね適切」…外務省が検証(読売)
上記は日本の外交の話ですが、ここではアメリカの話をしたいと思います。
「イラク戦争は間違った戦争」
「ありもしない大量破壊兵器疑惑をでっち上げてアメリカが戦争を起こした」
というような言説がありますが、ひとつ大きく間違っているのは、アメリカは大量破壊兵器疑惑をでっち上げたわけではないということです。インテリジェンスの不備から、大量破壊兵器があるとの誤情報を間違って信じてしまったのです。
アメリカにそう思わせた大きな原因のひとつは、サダム・フセインの情報隠しです。他にもインテリジェンスの問題点は多々あったことは事実ですが、大筋としては、サダムが自ら招いたことであり、最大の責任はサダムにあります。
ただ、米軍のイラク侵攻では、政権内のいわゆるネオコン派の中と、おそらくブッシュ大統領本人に、大量破壊兵器云々とは直接関係なく、とにかくサダムを排除しておきたいという動機があったものと推測されます。
その点だけで言えば、イラク国民の多くにも期待感はありました。イラク人はとにかく長い年月、サダムという暴君の犠牲になってきましたから、多くの国民が、米軍がバグダッドを占領したときは喜んでいました。開戦の口実となった大量破壊兵器疑惑は誤情報でしたが、イラク戦争そのものを間違いとは、イラク人も含めてその瞬間は考えていなかったわけです。
したがって、イラク戦争が間違った戦争とはいうことにはなりません。イラク戦争の問題は、戦後統治にあります。
他国に侵攻して政権を打倒し、占領した以上、アメリカにも治安維持・秩序回復の責務は当然あります。そんな戦後統治で、アメリカは残念ながら、「バース党員追放」と「駐留軍の漸増」という致命的な戦術ミスを犯しました。
しかし、何もアメリカが自ら、戦後イラクをあれほどの無法地帯にしたわけではありません。最大の責任は、宗派抗争に明け暮れるイラク人の政治指導者たちにあります。
- 2012/12/22(土) 20:39:36|
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「でっち上げ」ではなく「誤情報を信じた」という黒井様の見解には、少し違和感があります。
アメリカの情報機関は、「イラクには大量破壊兵器はない」という情報をあげていたのではないでしょうか?
それを、テネット長官ら上層部が、「イラク戦争を開始したいブッシュ政権」の(インテリジェンスサイクルでいう「顧客」の)意向に沿うように捻じ曲げた、私はそう理解していました。
「聞きたいことしか聞かない」ブッシュ政権は、戦争開始の理由をもっと突き詰めるべきだった。少なくとも、結果として間違った情報を元に戦争を始めたことについては、非難されても仕方ないでしょう。
ちなみに、サダム・フセインに責任があるのは、当然のことだと思います。
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- 2012/12/22(土) 21:32:08 |
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