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【編集局デスク】

クリスマス余談

 この時期になると思い出すツリーがあります。一つはフィリピンの山奥で出くわしたホタルの木。一本の木に数万匹のホタルが集まり、夜通し点滅して光のショーを見せてくれました。

 もう一つは、ニューヨークの教会にあったクリスマスツリーです。飾りは、純白の折り鶴だけ。原爆犠牲者の祭壇に置かれていたと記憶しています。深い緑と白の対照が鮮やかで、礼拝に来た人々が立ちつくして見入っていました。

 二つとも、きらびやかな電飾や、圧倒するような大きさとは無縁です。ホタルの木は、人の力や知恵が到底及ばない自然そのもの。折り鶴ツリーは、失われた命に対する純粋で強い祈り。大震災があった去年の三月から、私たちが感じている価値と重なります。

 二十六日に誕生する政権は「まず、復興」を公約の先頭に掲げています。見栄えのいい公共工事や金額の大きさだけを誇ってほしくはありません。

 もうすぐやってくるサンタが愛されるのは、子どもの願いを知り、それぞれの成長の糧となるよう懸命に知恵を絞るからです。ぜいたくでなくても、胸の奥に灯がともるような贈り物。復旧、復興策にも、そんな心配りを期待します。

 (名古屋本社編集局次長・真能秀久)

 

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