今、「モニカ病」なる病気が一部のネットユーザーの間で話題となっている。11月26日に『笑っていいとも!』の名物コーナー・テレフォンショッキングにゲスト出演したミュージシャンの星野源さん(31歳)が、この“奇病”を語ったことがきっかけだ。
星野さんによると、「モニカ病」は就寝の一番深い眠りのときに襲ってくるらしく、症状は肛門と男性器の間、いわゆる「アリの門渡(とわた)り」付近になんの前触れもなく突然、つったような激痛が走るのだという。
なすすべもなく、起き上がってウロウロするしかないほどの痛み……その苦しむ姿が、歌手・吉川晃司さんのデビュー曲『モニカ』を歌っているときの動きに似ているため、星野さんがこう命名したそうだ。吉川さんを敬愛しているという彼らしいネーミングだが、外科や肛門科に何度診てもらっても、彼は「異常なし」と診断されたという。
また、星野さんの話によると、以前に共演した某俳優も「オレも同じ症状がある」と告白。さらに、奥さま雑誌『クロワッサン』に執筆したエッセイでこの症状について書いたところ、読者の主婦から「私も『モニカ病』かも」という反応がいくつもあったという。モニカ病に悩んでいる人は、男女問わずけっこういるようなのだ。
当然ながら、医学界では「モニカ病」などという名の病気は存在しない。しかし、ネット上ではこの病気は「特発性肛門痛」ではないかという臆測が飛んでいる。
これについて、肛門の病気に詳しい寺田病院大腸肛門病センターの寺田俊明氏は「患者さんを見ない限り、正確に診断することはできませんので、星野さんが特発性肛門痛かどうかはわかりません」と前置きした上で、こう答える。
「肛門痛というのは肛門付近の痛みを伴う症状。また特発性とは原因がわからない病気のことを指します。つまり、原因がはっきりしない肛門痛のことを特発性肛門痛というのです。原因は不明ですが、ひとつはメンタル面の影響が考えられています。例えば、特発性肛門痛の症状が現れた患者さんに、(痛み止めの)麻酔のふりをして、ただの生理食塩水を打っても、痛みが止まることがあります」
仕事のプレッシャーや生活のストレスが、肛門に激痛を走らせることもあるということか……。
「また、お尻を冷やしたことで括約筋が緊張し、痙攣(けいれん)して痛みを引き起こしている可能性もあります。もともと括約筋の強さは人それぞれで、診察していても、肛門がまるでファイティングポーズをとっているかのように構えてしまっている人もいるんです。そういう方は、往々にして精神的にナイーブなタイプ。こういう人が、痙攣性の肛門痛にかかりやすいともいえます」(寺田氏)
思い当たる症状がある人は、まず専門医に相談したほうがいいだろう。
(取材・文/コバタカヒト、撮影/五十嵐和博)
■週刊プレイボーイ53号「現代の奇病『モニカ病』ってなんだ!?」より