日本政府観光局が２１日発表した１１月の訪日外国人旅行者数（推計）は前年同月比１７．６％増の６４万８６００人で、１１月としては過去２番目の多さだった。ただ、訪日中国人数は、４３．６％減の５万２０００人で、東日本大震災直後を下回り、国内で新型インフルエンザが流行した０９年６月（約３万７０００人）以来の低水準に落ち込んだ。尖閣諸島を巡る日中関係の悪化以降、団体旅行の減少が続いている。

　訪日中国人は１０月に続き２カ月連続の２ケタ減。昨年１１月は訪日中国人が震災後初めて前年同月比で増加に転じ、今年７月には初めて２０万人を超えたが、今年９月以降は低調となっている。

　一方、格安航空会社（ＬＣＣ）の相次ぐ参入を背景に、台湾やインドなどアジアの６カ国・地域からの訪日数が１１月として過去最高を更新。同月の訪日外国人全体は震災発生前の１０年と比較しても２．２％増加した。

　観光庁の井手憲文（のりふみ）長官は「訪日中国人はすぐ回復する状況ではない。訪日客全体はほぼ震災前のレベルに戻ってきた」と話している。【宇田川恵】