宿泊防災訓練:都立高、あすから全校で 帰宅困難に備え、共助意識高める
毎日新聞 2012年04月26日 東京夕刊
東京都内の全日制都立高など179校が27日から順次、宿泊を伴う防災訓練を実施する。災害時、すべての都立学校は都の「帰宅支援ステーション」になり、大半は避難所にも指定されている。生徒が自宅に戻れなくなった時に学校で一夜を明かす「自助」に加え、避難拠点で支援の担い手になる「共助」の意識を高めるのが狙い。都道府県単位では全国初の試みという。
都教育委員会によると、東日本大震災では電車の不通などで都立高の生徒8440人が帰宅できなくなった。また開放された体育館などに集まった帰宅困難者らの対応に少なくとも350人の生徒が残り、水や毛布、マットの配布、休憩場所の案内に当たった。
都教委はこの経緯を踏まえ、高校生には通常の避難訓練に加え、体育館での宿泊体験が必要と判断。1学年以上の生徒が放課後から翌朝まで校内に滞在する新たな訓練を12年度中に実施するよう、全校に求めていた。
内容は各校の裁量で▽地域住民も参加する避難所の設置・運営▽備蓄しているアルファ米や乾パンなどの食事▽警察官や消防隊員による講義と実演−−などを計画。備蓄食料は今年度、全校で更新する予定だ。
27〜28日には、第1弾として23区内の2校と多摩地区の1校で訓練がある。都教委の担当者は「地域に貢献できる人材育成にもつながれば」と期待を込める。【柳澤一男】