「卒原発カリキュラム」骨子

卒原発とは?
「卒原発」とは、スローガン的に即時原発ゼロをいうのでなく、また、遠い未来の原発ゼロを適当に言うのでもなく、『原発稼働ゼロから原発完全ゼロへの現実的なカリキュラム』を修了するという意味です。
日本未来の党は、現在が実質的に「原発稼働ゼロ」であるという現実から出発して、「エネルギーシフト」という未来に向けた助走と離陸を経て、どんなに遅くとも10年後には完全に原発から卒業するためのカリキュラムを、皆さまとともにつくって参ります。以下は、そのための骨子です。

卒原発の二段階
「卒原発」は次の二段階で進めます。

(1)未来への助走期~原発稼働ゼロの混乱と危機からの離陸に向けて
実質的に「原発稼働ゼロ」の現在からおよそ3年間は、卒原発の前提環境をつくるとともに、卒原発を可能にする仕組み作りと電力システム改革の道筋をつける、「未来への助走期」となります。
(2)未来(エネルギーシフト)への離陸期
「助走期」のあとは、加速度的に「未来へのエネルギーシフト」をする、最長7年間の「離陸期」となります。「助走期」で整えた前提環境に基づく着実な廃炉と電力システム改革をさらに進めます。
未来への助走期
当面の3年間は、原発と電力システムの大混乱期であり、それを円滑に乗り切り、卒原発と新しいエネルギー未来への離陸に向けた政策集中期間とする。原発をなくし、電気料金の値上がりを抑制し、再生可能エネルギーの普及を可能にする経済社会システムを設計する。

(1)前提環境の整備
~動かさない、造らない、ゴミを増やさない、値切らない~
1.大飯原発は即時に稼働停止する(他の原発再稼働も認めない)。
2.大間等の建設中を含む原発新増設を禁止する。
3.高速増殖炉もんじゅと六カ所再処理工場は即時に廃止する。余剰プルトニウムは不動化処分にする。
4.核拡散と原発リスク拡大を促す原子力輸出を禁止する。
5.使用済み核燃料の総量規制を実施し100年間の乾式貯蔵場所の社会的合意をつくる。
6.原子力損害賠償金額を大幅に引き上げる(最低20兆円規模にする)。
7.世界最高水準の放射性物質・廃棄物規制体制の確立と安全基準の改訂・適用。
8.各原子炉の危険度総合評価の実施とランク付けに沿った廃炉計画を策定し実施体制を構築する(炉の寿命は最長でも40年)。

(2)電力システム改革の断行
発送電分離を含む電力システム改革を断行し、競争による電気料金の引き下げ、再生可能エネルギーの普及、新しいエネルギー産業の創造の基盤をつくる。

(3)電力危機への対処
電気料金値上げや電力経営危機への当面の対処として、電力会社に値上げ相当の差額分を交付国債で給付する。国債発行費用は、送電料に上乗せして回収する。その額は、発送電分離等を通じて見込まれる電気料金の低下分で相殺する。安定的で公平な料金回収が見込まれる送電料に。

(4)東京電力の法的整理
東京電力株式会社は、現在の実質国有化を見直し、法的整理(破綻処理)して3分割する(グッド=電力供給・バッド=損害賠償・ワースト=福島原発事故処理)。合理化努力を怠り、賠償が不十分で経営責任・貸手責任を問わないまま、事故のツケを税金と電気料金値上げという国民負担に転嫁し続ける状態に終止符を打つ。

(5)国の責任で損害賠償と被ばく防護
国が直轄して福島第一原発からの放射能汚染の拡大を防ぎ、一人ひとりの被ばく防護と生活再建を最優先しつつ、行政区画により差別的取扱をすることなく、福島県を中心とする損害賠償や被ばく防護(避難の権利保障、除染、健康管理)に責任をもって対応する。

(6)震災復興のための震災がれき処理
震災復興のために被災地のガレキ処理が重要かつ不可欠だが、全国各地の国民に不安を与えている現状の広域処理は見直す。放射能汚染の拡散リスクを最小化することを最優先した上で、廃棄物処理の原則(3R=減らす・再利用・リサイクル)や化学物質・重金属汚染のリスクを慎重に見極めながら、柔軟に多様な処理方法を適用しつつ、迅速に進める。

(7)廃炉地域経済シフトプログラム
原発停止及び廃炉に伴う原発立地地域の雇用や経済への影響緩和と活性化のための地域経済シフトプログラムを実施する。

(8)廃炉・廃止に伴う財政支援措置
過渡期の混乱を避けるため、発送電分離を含む電力システム改革を前提に、原発廃炉や六カ所再処理工場の廃止措置に伴う財政支援措置を実施する。
未来(エネルギーシフト)への離陸期
当面数年間の混乱期を乗り越えた後には、公正な競争による電力・エネルギー市場の形成を通して、地域分散ネットワーク型のエネルギーシフトを加速させます。
(1)着実な廃炉の推進と使用済み核燃料の乾式中間貯蔵を実施する。
(2)開かれた競争的な電力・エネルギー市場の確立を通じて電気料金を低下させる。
(3)節電発電所の普及拡大とエネルギー効率化を進める。無理のない節電・省エネがむしろ経済・経営に良い環境をもたらす仕組みを整備する。
(4)天然ガスなどの分散型発電・コジェネレーションの普及促進を通じ、石油・石炭への依存度を減らす。
(5)地域分散型の再生可能エネルギーの飛躍的な普及環境により、内発的・創造的なエネルギー産業を創発し地域の雇用拡大と経済の活性化を図る。
飯田 てつなり 日本未来の党 代表代行

1959 年山口県生まれ。
京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修士課程修了
東京大学先端科学技術センター博士課程修了
ルンド大学(スウェーデン)環境エネルギーシステム研究所 客員研究員
現在、認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長。原子力産業や安全規制に従事後、「原子力ムラ」を脱出して北欧での研究活動や非営利活動を経てISEPを設立し現職。持続可能なエネルギー政策の実現を目指し、提言・活動を行っている。多くの国や地方自治体の審議会委員を務め、世界中に幅広いネットワークを持ち、特に3.11以降、世論をリードするエネルギー戦略を打ち出す。孫正義氏に付託されて、「自然エネルギー財団」設立の中心を担った。また2012年1月から6月15日まで、大阪府、大阪市特別顧問に就任し、エネルギー戦略会議で議論をリードした。2012年7月の山口県知事選挙に挑戦し、保守王国を脅かした。『エネルギー進化論』(ちくま新書)など著書多数。
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