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惨敗社民 衝撃大きく 東北、初の国会議員ゼロ
衆院選で、社民党は東北の比例代表ブロックと小選挙区で惨敗し、旧社会党時代を含め初めて東北選出の国会議員がゼロになった。歴史的敗北は、労働運動の低迷や党員の高齢化を背景にした党勢の衰退を象徴した。衝撃が広がる各県連や支持労組は、再起に向けた道筋を描きかねている。
<比例票が半分に>
「こんな結果になるとは思わなかった。有権者の反応は良かったのに…」。比例東北に立候補した党宮城県連代表の元衆院議員菅野哲雄氏(64)は、予想を超える大敗にぼうぜんとする。 比例東北の票は前回(2009年)の約31万6000票から約16万票に半減。得票率も半分に落ち込んだ。得票が3分の1に激減した民主党の票は第三極勢力にさらわれ、受け皿にはなり得なかった。 青森県を除く5県に擁立した5人の選挙区候補の惜敗率は31〜7%。今回初めて比例単独候補を2人立てたが、票は掘り起こせなかった。 党東北ブロック協議会議長を務める高橋啓介山形県議は「東北の比例票がなぜ半減したのかしっかり分析する。来年夏の参院選に向け、党勢回復を目指す」と力を込めるが、長年、党を支持する労組の疲労感は深い。 秋田県教職員組合の伊藤正通委員長は「社民党は脱原発を長年の看板政策として訴えてきたが、今回は同じ公約を掲げる政党が次々と現れ、埋没してしまった」と嘆く。 自治労岩手県本部の野中靖志書記長は、敗北と労組の衰退をだぶらせる。県本部の組合員は約7000人。地方公務員を削減する国の改革プランで10年前と比べ約2000人減った。野中書記長は「今後は青年層や子育て世代にも支持の輪を広げるべきだ」と労組一辺倒の限界を指摘した。
<人材育成できず>
旧社会党時代、党は総評を軸とした強固な支持基盤を武器に、常に一定の数を確保してきた。消費税導入の是非が争点になった1989年の参院選では東北の7議席中4議席を奪取した。 その後、党員の高齢化と、人材育成や集票を労組に頼り切る体質に何ら手を打てないまま、党はじり貧に追い込まれた。 党福島県連の加藤雅美代表は「社会党時代から党員の顔触れが変わっていない。若い人材の確保を模索したが、うまくいかなかった」と省みる。 旧社会党の衆院議員を1期務めた今村修氏(70)=旧青森1区=は「今の各県連の幹部は党の良い時代を体験しており、新たな支持層を開拓する意識の転換ができなかった」と厳しく指摘。「労組関係者ら身内とだけ付き合っていれば活動が内向きになる。積極的に一般市民と関わり、地域の課題に取り組むべきだ」と警鐘を鳴らした。
2012年12月22日土曜日
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