幹細胞治療:福岡の医院、来日韓国人に投与 研究段階、月500人に 法規制なく
毎日新聞 2012年12月22日 東京朝刊
日本人向けの幹細胞投与も、美容分野を中心に広がっている。全国展開する「聖心美容外科」(東京都港区など)は、豊胸などを望む来院者に、本人の脂肪から取り出した幹細胞を脂肪と混ぜて体内に戻す「再生医療」を約500例実施。「安全性、有効性は確認し、学会発表もしている」(広報担当)という。
こうした動きに厚労省や日本再生医療学会は懸念を強めている。同学会は11年3月に声明を出し「科学的根拠が低く安全を考慮しない幹細胞を用いた医療行為に関与しない」ことを会員に求めた。該当するとみられる医療機関をインターネットで複数確認、厚労省にも報告した。厚労省の荒木裕人・再生医療研究推進室長は「再生医療には国民の期待が高い。安全性が確保されないものが広がれば、再生医療全体に悪い影響を及ぼす」と話す。【再生医療取材班】
==============
■ことば
◇幹細胞治療
体の失われた機能の修復を目指す再生医療の一つ。組織や臓器の細胞になる幹細胞の投与などがある。国内では人の体内にある幹細胞を使った臨床研究が進むが、白血病治療の「造血幹細胞移植」以外は普及していない。山中伸弥・京都大教授が体細胞から作った人工多能性幹細胞(iPS細胞)は自然には存在しない。体内の幹細胞と異なり、あらゆる細胞になるが臨床応用はまだだ。