セシウム:光らせて存在示す薬品を物質・材料研が開発
毎日新聞 2012年12月20日 23時11分(最終更新 12月20日 23時22分)
物質・材料研究機構(茨城県つくば市)は20日、紫外線を当てると、放射性セシウムがある場所を青緑色に光らせて示す薬品を開発したと発表した。放射性セシウムがある場所を目で確認でき、東京電力福島第1原発事故で汚染された土壌の除染作業の効率化にも役立つと期待される。
ニトロベンゼンなど市販の3種類の薬品を混ぜて開発した。薬品の分子は、鎖状につながり、セシウムイオンを取り込んで反応する。
研究チームは、ろ紙の上にまいたセシウム粒子に、アルコールで薄めた薬品を噴霧。紫外線を当てると、セシウムのある場所だけが青緑色に光って見えることを確認した。ミリメートル単位まで特定でき、土壌1キロあたりの放射性セシウム濃度が1000ベクレル程度まで見える。今後、企業と協力し、さらに低い濃度のセシウムが見えるカメラの開発を目指す。
実験段階では薬品は1グラム約2万円かかるが、大量生産すれば同数十円になるという。同機構の森泰蔵研究員は「今まで汚染が分からなかった場所を把握でき、除染費用も大幅に削減できる」と話している。【安味伸一】