古賀伸明会長は「デフレの原因は賃金の下落だ」と語り、「現場の生産性が上がっても総人件費を増やさないことが成長の足を引っ張っている」と賃上げの必要性を強調した。
今年の労使交渉の最大の焦点は定昇実施の有無だ。賃下げも視野に入れる経営側と賃金の底上げを求める労働側の乖離(かいり)は大きい。正規・非正規間の賃金格差問題もある。労働側は「すべての労働者の処遇改善」を求めるが、経営側は業績に応じた「賞与・一時金で反映すべき」と企業内最低賃金の協定化や水準引き上げに消極的だ。
総人件費の扱いも論点だ。企業に65歳までの雇用を義務づける来年4月の「改正高年齢者雇用安定法」施行をにらみ、経営側は現役世代の賃金を抑制して給与原資を確保する「賃金カーブの見直し」に言及したが、労働側は生活水準の低下に歯止めをかけるため「賃金カーブ維持」の立場を崩していない。(早坂礼子)