経団連が2013年の春闘に向けて経営側の交渉指針を示す「経営労働政策委員会(経労委)報告」の最終案が20日、明らかになった。円高や電力不足など経営環境の悪化を理由にベースアップ(ベア)を「協議の余地はない」とし、定期昇給(定昇)も「聖域にすべきではない」と実質的な賃下げも辞さない姿勢を表明した。衆院選で圧勝した自民党は企業の活力を引き出し、賃金上昇による景気浮揚を狙うが、企業の賃金抑制姿勢が強まれば消費を萎縮(いしゅく)させ、今後の景気回復に水を差す恐れもある。
最終案では、デフレの長期化や過度の円高で企業の経営環境が悪化しているため「企業の存続と雇用の維持を最優先する」と強調。賃金体系全体を引き上げるベアはもちろん、深刻な経営状況の企業では定昇も「延期や凍結を協議せざるを得ない場合もある」と指摘。定昇の延期・凍結の可能性に言及した昨年より態度を硬化させた。
一方、連合も同日、東京都内のホテルで中央委員会を開き、賃金をめぐる春の労使交渉は事実上のスタートを切った。連合は「賃上げや労働条件改善のために1%の配分を求める」ことを決定。