「柳ケ瀬を応援してくれる人はみんな仲間やよ」とメッセージを送るやなな=岐阜市の柳ケ瀬商店街で
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今回の衆院選の岐阜1区。岐阜市の柳ケ瀬商店街に異変が起きている。人気のゆるキャラ「やなな」に、どの陣営からもお呼びがかかっていないのだ。過去の選挙では引っ張りだこだったこともあるのだが…。
「やななを呼ぶなんて、うちでは話題にも上っていません」と民主前職の柴橋正直さん(33)の陣営。三年前の前回衆院選では街頭演説にわざわざ招いたが、今回は予定がないという。
やななは来年三月の引退を宣言しているため、レイム・ダック(死に体)の政治家のように影響力が既に低下した? 柴橋さんの秘書は「そうではない」と否定する。
同様に前回衆院選でやななを街宣活動に呼んだ自民前職の野田聖子さん(52)の陣営が「人気にあやかるのがためらわれるんですよ」と、候補者たちの複雑な心情を説明した。
「面白いアイデアではありますね」と一笑に付すのは、未来前職の笠原多見子さん(47)の陣営。「必要ない。政策で勝負する」と言い切るのは、共産新人の鈴木正典さん(49)の陣営。
朝日大法学部の三田清教授(64)=行政学=は「負けそうな候補はとにかく政策を訴えなければならないので、ゆとりがない。勝てそうな候補はゆるキャラなんか呼ばなくても大丈夫という雰囲気なのでは」と推測している。
やなな自身は筆談で「気を使っているのかな」とコメントした。県から昨年十月に「ときどき商工労働部長」に任命された公職の身。たとえ頼まれたって特定の候補を応援するわけにはいかない、のかもしれない。
(佐久間博康)
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