「やってみないと分からないと思いながら、始めましたね。えーっと思うんですけどアップストアで123カ国。ここ(オフィス)にいながらにして、全世界へ出荷できることになりました。まだアドレナリンが回っているんですけれど、今日も先ほどまで外国人記者クラブで製品の説明をしておりました」……。
昨年9月、浮川は自社のPRに活用しているユーストリームの放送で、興奮気味にそう語った。浮川らが外国人記者に英語で紹介したソフトは、スマホ・アンドロイド端末向けの手書き文字入力ソフト「7notes」。すでにこの時点でiPad向けの7notes英語版は、21カ国で有料アプリランキングの10位以内に入る実績を上げており、計123カ国への販路拡大を機に外国人記者へアピールしたというわけだ。
タッチパネルが標準搭載のスマホやタブレット端末では、手書き文字入力関連のメモアプリが重宝されている。だが浮川らはそれらに飽きたらず、新手のソフトを開発した。筆記体だろうがブロック体だろうが、手書きで書いた文字を次々とテキスト文字に変換してくれる。手書き文字とテキスト文字を混在させてメモに残す「交ぜ書き」もでき、後から手書き文字をテキスト文字に変換することも可能だ。
■エバーノートCEOも称賛
浮川がジャストシステムを去り、出直しとなるMetaMoji(メタモジ、東京・港)を起業したのは09年10月。当初は、妻であり技術者の浮川初子など20人ほどのメンバーでウェブサービスの開発をしていた。ところが10年5月に国内で発売された「iPad」の登場を機にすべて投げうち、すべてのリソースを7notesの開発に振り向けた。
iPadの登場で「ジャストシステム時代から取り組んできた手書き入力の世界が、いよいよ実現できる」と衝撃を受けた浮川。11年2月に発売したiPad向けの7notes日本語版を皮切りに、iPhone版、アンドロイド版と、シリーズ製品を次々にアップストアやアンドロイドマーケットに投入した。アップストアの「仕事効率化」などのカテゴリーでは常にランキング上位を維持している。そして11年夏、浮川は英語版を投入し、海外に打って出た。
「7notesは日本語版でも英語版でも、人間の筆跡を学習してどんどん賢くなり、テキスト文字への変換効率を上げていく。そういうシカケを作った。キーボードは誰でも早く打てる。でも、もっとクールな入力システムがある。日本からでもアイデアが出せるんだということを、世界に見せつけたい」
パソコン向け日本語変換という極めてドメスティックな世界に生きてきた浮川は今、そう語る。「言ってはいけない契約になっている」とし海外でのダウンロード数などを明かさないが、7notesが国内のみならず海外でも注目されていることは間違いない。世界で1600万人以上のユーザーを抱えるクラウド型の情報管理サービス「Evernote(エバーノート)」を運営する米エバーノートも、7notesを称賛する企業の1つだ。
エバーノート最高経営責任者(CEO)のフィル・リービンは、「7notesは日本以外の市場でもポテンシャルがすごくある。初めてiPadで使った時、自然だなと思った。エバーノートは写真や音楽を含め、あらゆるデータをなるべく自然にクラウドへ保存できるよう努力している。7notesはテキストの取り込みの手段として、エバーノートのユーザーにとっても非常に価値がある」と評価。「メタモジとのパートナー関係をより強固にしていきたい」と語った。
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