「何でうまくいかないんだろう……。ごめんね、長く話しちゃって……」。ベッキーが泣きながら話すCMが昨秋から大量投下された。舛田は「通常、ネイバーはテレビCMなどのマスプロモーションはしない。でも踏み切ったのはスマホ移行が大きく進む11年の年末商戦期こそ最大のチャンスだと思ったから」と振り返る。
キャスティング、ストーリー、メッセージ。CM要素のほぼすべてを、広告代理店の博報堂任せにはせず、ネイバー側で決めた。ロゴの位置を1ピクセル単位で指定するなど編集作業にも細かく口を出した。インパクト大のCMはもくろみ通り、大量の新規ユーザーをもたらす。ただし、ここまでは国内の話。1500万人の半分以上は、ベッキーが届かない海の向こうにいる。
■中東に加え、シンガポールを起点に東アジアで浸透
メニュー表示などの言語は日本語、英語、韓国語から選択でき、テキストメッセージの言語はユーザーが選択できる。だが舛田が「当初は海外ユーザーはイメージしていなかった」と話すように、目標の数字も国内のみの設定だった。ところが昨年8月、異変が起こる。サウジアラビア、カタール、クウェートといった中東各国で、LINEがいきなりはやりだしたのだ。
中東各国のアップストアで無料アプリの1位になるなど一気にユーザーが増えた背景を、舛田は「中東はもともとコミュニケーションアプリのニーズが高く、新しいアプリが出ると必ず試す習慣があるようだ」と話す。サポートにアラビア語のメールが舞い込み、「何だこれ、読めないよ」と混乱しているうちに、香港や台湾など東アジアのランキングでも目立ち始めた。きっかけはシンガポールでのランキング浮上。「華僑のネットワークが東アジアにLINEを広めたのではないか」と舛田は推測する。
さらに10月に追加した無料通話機能が海外での普及にはずみをつけた。だが、すでにスマホ向けの無料通話アプリでは老舗のスカイプはじめ、米国の「Viber」などいくつかでそろっていた。なぜ最後発のLINEがここまで、世界的にヒットしたのか。舛田は2つの要因を見立てる。
■スマホの流儀でシンプルに、人気の「スタンプ機能」
1つ目は「スマホならではのニーズに応え、シンプルさを追求した」こと。例えばパソコン向けから始まったスカイプは、スマホアプリでもパソコンの流儀を踏襲しており、相手がログインしていなければ「発信」できない。だがLINEは、相手と友達関係であれば、相手がLINEを起動していなくとも発信でき、相手も「プッシュ通知」により着信できる。スカイプのように「まずLINEを立ち上げて……」などとわざわざ連絡する必要はない。
大きめのイラスト1つをタッチするだけの簡潔なコミュニケーション、「スタンプ機能」の存在も大きい。LINEではテキストと組み合わせる「絵文字」とは別に、自分の感情を端的に表現できるような大きめのイラストが充実している。それ単体だけでコミュニケーションを交わせるという分かりやすさや気楽さが、ユーザーの心をつかんだ。絶賛する海外メディアもあるほどだ。
スカイプ、エバーノート、7notes、LINE、フェイスブック、VoIP、ネイバージャパン、ツイッター、NHN Japan、mixi、mobage、ジャストシステム、ソニー、MetaMoji、アップル、iPhone、iPad、iOS、Android、アンドロイド
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