「もっとパーソナルで細かいグループ性をもったコミュニケーションツールが必要なんじゃないか」。11年の年明け、ネイバージャパンの社内では、人間関係を分析していたチームのレポートを基に、そんな議論がなされていた。そこへ3月11日の東日本大震災。身近な人とのコミュニケーション手段の重要性に焦点が当たり、「やるべきだ」と結論付けた。
ネイバージャパンは外資系といっても独自性が保たれている。韓国本社のサービスと整合性がなくてもよい。独断でプロジェクトが走り、社内からは各部署のエース級のエンジニアなど10人ほどがかき集められた。注目したのはスマホの普及速度。家族や高校時代の同級生など、親しい少人数のグループでチャットが楽しめる「スマホ向けのコミュニケーションツール」というコンセプトが固まり、4月末に開発を本格化させた。
■初心者に照準、スマホブームの波に乗る
国内のスマホの普及速度を見ると、スマホブームの大きな山が11年後半に訪れることは自明だった。その機をつかむには6月中にリリースしておく必要がある。残された開発期間はわずか1カ月半。舛田いわく「戦場のような」日々を経て、LINEは無事、リリースされた。
「フィーチャーフォン(従来の携帯電話)のメールに慣れている人や、お父さんに通話料で怒られちゃう若い女性でも、スマホに乗り換えた時にすっと入っていけるような、分かりやすい機能やシンプルな操作性を心がけた」。舛田はそう話す。
例を挙げると、煩わしい登録作業を省くため、電話番号を「ID」代わりとした。友達登録もスマホの電話帳を参照し、ユーザー登録済みの電話番号があれば友達リストに自動追加するようにした。
こうしてスマホ初心者への壁を徹底的に取り払うことで、LINEは9月中に100万人を達成する。じつはこの時点で無料通話機能は実装されていない。音声データを遅延なくやり取りするには高い技術力を要する。1カ月半はあまりに短い。まずは誰でも簡単に身近な人とのコミュニケーションが楽しめるアプリを出し、その上で「無料通話」という分かりやすい機能を後から追加する。この戦略が当たった。
■「ベッキーCM」広告代理店任せにせず
スマホを手にしたばかりの初心者向けに間口を広く取り、テキストでのコミュニケーションに慣れてもらう。10月に追加した無料通話機能は、これらユーザーが友達や家族に「LINEを使おうよ」と招待する、いいきっかけを与えた。ユーザー数は加速度的に伸び、10月中旬には300万人に。11月中旬からのテレビCMが、ユーザー増にさらなる拍車をかけた。
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