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東通原発 最終的な判断の行方は
12月21日 5時49分

東通原発 最終的な判断の行方は
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青森県の東通原子力発電所の断層について、国の原子力規制委員会の専門家会議は、「断層が活断層の可能性がある」という見解をまとめました。
専門家会議は来週、東北電力から話を聞く予定ですが、見解どおりに最終的な判断をすれば、東通原発は当面、運転が再開できなくなる可能性があります。

原子力規制委員会の島崎邦彦委員と専門家の合わせて5人は20日の会議で、東通原発で調査した敷地を南北に走る断層や地層のずれを中心に評価しました。
会議では、断層について「活断層の可能性が否定できない」といった意見で一致したほか、地層のずれの原因については「東北電力が主張する、地層の一部が水を吸って膨らむ現象で説明するのは難しい」といった否定的な意見が相次ぎました。
そして島崎委員が、「『活断層でない』という主張は受け入れがたい」と述べて、「断層が活断層の可能性がある」という見解をまとめました。
専門家会議は、今月26日に東北電力から話を聞いて最終的な判断をする予定で、見解どおりに「断層が活断層の可能性がある」と判断されると、今月10日の敦賀原発に次いで2例目となります。
東通原発では、活断層の可能性を指摘された断層はいずれも、真上に原子炉などの重要施設はないとされていますが、敷地に活断層があると、東北電力は耐震対策の見直しを迫られることになり、当面、運転が再開できなくなる可能性があります。
これに対して東北電力の千釜章土木建築部長は、専門家会議の見解について、「活断層という指摘は受け入れられない。敷地内にある断層はいずれも活動性がないと考えている。次回の会議で、会社としての考えを主張して専門家の方々と議論したい」と話しています。

専門家の発言

20日の会議で、断層の周辺で見つかった地層の“ずれ”について、変動地形学が専門の専修大学の熊木洋太教授は、「断層のようなものが動いた影響を受けたと思われる地形が敷地の中で多数確認できた」と述べました。
また、変動地形学が専門で千葉大学大学院理学研究科の金田平太郎准教授は“ずれ”について「地層の一部が水を吸って膨らむ現象「膨潤」は可能性としてあってもいいが、その現象のみですべてのずれを説明することは難しい」と述べるなど、東北電力の主張を否定する意見が相次ぎました。
一方、東通原発の敷地を走る断層について、地質学が専門の産業技術総合研究所の粟田泰夫主任研究員は、「敷地全体にかなり広い範囲で系統的に続いていて、活断層の可能性を否定するのは、ほぼ不可能だ」と述べたほか、ほかの専門家からも「活断層と判断される」といった意見が相次ぎました。
さらに、地質学が専門の東京大学地震研究所の佐藤比呂志教授は、「特に下北半島周辺は地震を起こす断層が多く、重要な原子力施設があるので敷地外も含めた広域的な評価が必要だ」と述べ、東通原発の沖合にある長さ84キロの海底断層など広い範囲での調査の必要性を指摘しました。
最後に島崎邦彦委員は、「『活断層でない』という東北電力の主張は到底受け入れがたい。その点では、ある程度の共通認識ができたと思う」と述べて5人全員の意見が「活断層の可能性がある」という意見で一致したという見解を示しました。
会議のあと島崎委員は、「東北電力に対しては活断層という目で見てもらい、足りないデータを補ってもらいたい。東北電力の主張についても聞きたいと思う」と述べ、次回の会議で東北電力から話を聞く考えを示しました。

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