この国と原発:第1部・翻弄される自治体/2 新設計画30年、交付金頼みの上関町

毎日新聞 2011年08月20日 東京朝刊

 ◇「白紙」の未来図なく

 今月1日朝、瀬戸内海に面する山口県上関町の町役場は、全町民3555人を対象とした一律2万円の地域振興券を受け取る町民で混雑した。振興券の原資は、同町で原発建設を計画している中国電力からの寄付金だ。

 振興券配布は昨年からで、前回は町民の97・4%が受け取った。町民からは「苦しい中、助かります」と率直な声も聞かれた。

祝島で毎週月曜日夕方に行われている反原発のデモ。港からは原発建設予定地(左奥)が目と鼻の先だ=山口県上関町の祝島で7月11日、加古信志撮影
祝島で毎週月曜日夕方に行われている反原発のデモ。港からは原発建設予定地(左奥)が目と鼻の先だ=山口県上関町の祝島で7月11日、加古信志撮影

 上関原発は現在、原子炉設置の許可申請が出ている全国唯一の新設原発だ。電源3法交付金は調査段階から交付されるため、町は「図上の原発」で潤ってきた。交付金は84〜10年度に計約45億円。中国電力からの寄付(07年以降約24億円)も流れ込み、11年度一般会計当初予算では、「原発マネー」が14億円で歳入の3分の1を占める。

 原発計画は82年、町側が手を挙げる形で始まった。一般企業の誘致を試みたが、「平地が少なく、水もない。交通の便も悪く、原発しか来てくれなかった」と推進派の中心組織「上関町まちづくり連絡協議会」事務局の古泉直紀さん(53)。以来、推進派と反対派が約30年間、町を二分して激しく対立してきた。8回の町長選はいずれも推進派が当選。計画は徐々に進み、来年にも本格着工という段階で東日本大震災が起きた。

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