| ||
電話連絡があってから、段ボールを抱えた職員約20人が県庁に現れるまで、時間にしてわずか5分。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)手続きは、最後まで不意打ちの形で進められた。市民、専門家は「またか」と怒り、あきれ返った。
「これから補正後の評価書を持っていきます」。18日午後3時25分ごろ、県環境政策課に、沖縄防衛局の田中利則企画部長から突然、一本の電話が入った。
そのわずか5分後。同局の職員約20人が姿を現し、「お持ちしました」と1人1箱の段ボール箱を運び込み、静かに立ち去った。 「本当にあっという間だった」。搬入の様子をあぜんと見守った担当者。「昨年末のごたごたを繰り返さないため、夜はないだろうとみていたが、連絡の5分後とは急すぎる。国の事務方は新政権に気を使い、この時期にしたのではないか」と推測した。
一方で、机に積まれた補正評価書を前に「これから埋め立て申請がくる。(評価書の)内容にしっかり目を通したい」、別の職員も「知事意見が反映されているかを照らし合わせる。膨大な量だが、淡々と仕事をするだけだ」と語った。
名護市役所には午後4時前、沖縄防衛局の職員2人が段ボール1箱をテーブルの上に置いたという。直前に市広報渉外課に電話があり、岸本康孝課長が仲宗根勤企画部長に報告している間のできごとだった。身分証を提示し「補正後の評価書です」と伝えたという。
仲宗根部長は「事務的には中身を確認し、市の考えを県に提出したい。ただ評価書段階で県知事から埋め立て分404件、飛行場分175件の意見が出るなど、環境影響評価の体をなしていない。補正しても生活環境や自然環境の保全がはかられるとは考えられない」と話した。
宜野座村役場では沖縄防衛局から連絡の入った約10分後、同局職員2人が段ボールを運び込んだ。
沖縄防衛局報道室には、報道各社から取材が殺到したが、この日は補正評価書の内容を明らかにせず、説明会を19日に設定。県政記者クラブがこの対応に抗議した。
「姑息だ」「官僚主導」
市民団体から批判続出
「姑息(こそく)なやり方だ」「政権交代のはざまに、官僚主導で提出するのは許せない」。総選挙直後を狙った上、県への連絡もわずか5分前という「奇襲」の補正評価書搬入。昨年末に評価書搬入を阻もうと県庁に集まった県民からは、沖縄防衛局の対応に批判が相次いだ。
「県民の反対を恐れた姑息なやり方。自民圧勝という選挙結果に乗じて、官僚が知事に政治的な圧力をかける狙いでは」。昨年12月末、午前4時という常識外れの時間に防衛局長らが評価書を搬入するのを目撃した沖縄平和運動センターの山城博治事務局長(60)は憤る。「補正は一度きりだから内容はどうでもいい、やっちまえ、というつもりだったはず」と怒りを新たにした。
同じ時期に評価書搬入を阻止するため県庁で座り込んだ「沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団」運営委員で建築家の真喜志好一さん(69)は「政権が交代しようとする時に、前政権でまとめた補正評価書を提出すること自体、日本が官僚主導の国だと露呈しているようなもの」と語り「新政権は補正評価書に責任を持てるのか」と疑問を呈した。
当時ツイッターで県庁への結集を呼び掛けた、市民団体「オキュパイ普天間」メンバーの平良夏芽さん(50)は「防衛局が動くときはいつも堂々としていない。悪事を自認しているかのようだ」と批判。「県民一丸となって卑劣な行動をはね返したい」と語った。