どうすれば安全安心:怖〜い飲酒トラブル 要は適量、知って守る

毎日新聞 2012年12月20日 東京夕刊

純アルコール20グラムを含む酒の量
純アルコール20グラムを含む酒の量

 忘年会シーズンは最終盤。いくら楽しくても続けば苦となり、悪酔いや二日酔いをすれば体調を崩す。だが「もう勘弁して」と思いつつ、断れない飲み会も少なくない。事と次第によっては、酒のトラブルで仕事を失う落とし穴が待ち受ける。今回は「酒にご用心」の巻。【戸田栄】

 ◇理性を無力化、本能出す/混ぜ飲み、問題は全体量/食べて吸収速度抑制

 司法解剖された不審死の遺体についての怖いデータがある。自過失死(溺死、凍死、転倒・転落死など)の約8割▽交通事故死者の約6割▽他殺の約5割▽自殺の4割以上の遺体から、アルコールが検出されたというのだ(「東邦大法医学教室解剖例におけるアルコール検出率1978年3月〜81年7月」による)。

 この資料を示したのは、アルコール関連問題の医療で知られる国立病院機構久里浜医療センターの木村充・精神科診療部長だ。「アルコールには中枢神経(脳や脊髄(せきずい))の働きを抑制してマヒさせる作用があります。人間は本能を理性で抑制して暮らしていますが、アルコールは理性の部分をまずマヒさせるので、トラブルを招きがちなのです」

 詳しくメカニズムを説明すると、脳は外側から順に、理性や視覚・聴覚といった感覚、言葉を操る機能などを持つ大脳新皮質▽人間の生理的欲求や情動を担う大脳辺縁系▽呼吸や脈拍など生命維持をつかさどる脳幹で形成されている。アルコールは外側から効いていき、ほろ酔い期以後、まずは理性を無力化していく。深酔いすると、攻撃性、性欲といった本能があらわになる。このため暴力行為やちかんといった行為を引き起こすことがあり、警戒心が薄れて事件や事故に遭う確率も高くなるという。さらに泥酔期以後は、脳幹の生命維持機能が阻害される危機的状態となり、呼吸困難や意識喪失を引き起こし命を奪うことがある。

 実は記者には、酒のトラブルで職を失ったり、休職を余儀なくされたりした知人がいる。その一人は学生時代から穏やかな人柄で、酒で乱れたのは見たことがない。木村部長に聞いてみると、「一般的には普段の性格の延長線上で本能が出てきます。しかし、時に病的酩酊(めいてい)といって、全く予想もしない行為に出ることがある。飲み過ぎると、何が起きてもおかしくないのです」。背筋が凍る話ではないか。

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