2012.12.21 05:05

10円で刑務所送り…賽銭泥棒に実刑1年(2/3ページ)

 10円でも1億円でも人さまの金を盗めば、同じ罪。10円玉1枚を盗んだことで、1人の男の人生が大きく変わってしまった。

 20日に大阪地裁で開かれた鶴原被告に対する控訴審の判決公判で、的場裁判長は懲役1年8月(求刑懲役2年6月)とした9月の一審和歌山地裁判決を「10円の窃盗でこの量刑は重すぎる」と破棄。

 その上で「犯意を否認しているので動機は不明だが、10円とはいえ現金であり、利欲的な動機といえる。刑事責任は軽視できない」として、懲役1年の実刑判決をあらためて言い渡した。鶴原被告はこの判決文を、驚くくことなく淡々とした表情で聞いていた。

 事件は今年5月13日午後0時15分ごろに起きた。鶴原被告は、金剛峯寺の奥の院にある「織田信長供養塔」付近の無縁地蔵の前に供えられた賽銭10円をかばんに入れた。これを同寺の男性職員に見つかり、和歌山県警橋本署に窃盗の疑いで現行犯逮捕された。

 逮捕当時、かばんに2003円分の硬貨を所持していたといい、鶴原被告は「賽銭遊びで、かばんの中に硬貨を出し入れしていた。自分の金もある」と話していたという。その後の同署の調べにも「賽銭で遊んでいただけ」と供述し、容疑を否認していた。

 弁護側は一審段階から鶴原被告の供述をもとに無罪の主張を続けていた。これに対し、的場裁判長は判決理由で「弁解は不合理で、信用できない」と窃盗の故意を認定した。

 判決後、弁護側からのコメントはなかった。

 金剛峯寺は高野山真言宗総本山で、奥の院は空海入定(にゅうじょう)の地とされている。

 参道に沿って10万基以上の石塔が並んでおり、織田信長のほか、明智光秀、赤穂四十七士、親鸞、初代市川團十郎、俳優の鶴田浩二らの墓碑や供養塔がある。

 たかが10円、されど10円。読者のみなさんも、くれぐれも気をつけましょう。

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