日銀が追加金融緩和に動いた。自民党の安倍晋三総裁が訴えた「物価目標」の導入も検討する。デフレや円高の克服には、強力な金融緩和が欠かせない。その知恵を絞るという判断を尊重したい。
日銀は前年比1%の消費者物価上昇率を、物価安定の「めど」と位置づけてきた。白川方明総裁は同日の記者会見で、2%の「目標」を求める安倍氏の意向も踏まえ、来年1月の次回会合までに見直しを検討する意向を表明した。
デフレと円高の克服に強い姿勢を示し、実体経済や市場心理の改善につなげるという点で、金融緩和の強化には意味がある。資産の購入を着実に進めるとともに、物価目標の詰めを急いでほしい。
政府・日銀はデフレ脱却への努力を確認する共同文書をまとめている。だが安倍氏はより強力な政策協定を結び、そこで物価目標を明示するよう求めている。
双方が連携を深めるのはいいが、日銀の独立性は尊重する必要がある。物価目標を盾にあまりに硬直的な金融緩和を迫ったり、具体的な緩和手法にまで注文をつけたりすることは慎むべきだ。
政府が国債の増発で防災関連などの公共事業をむやみに追加し、その尻ぬぐいを日銀に強要するのでも困る。日本の財政・金融政策への信認を損なわぬよう、細心の注意を払ってもらいたい。
日本経済の長期停滞は様々な要因が重なった結果だ。そこから抜け出すためには、総合的な政策対応が要る。日銀の強力な金融緩和だけでは、本格的な経済再生を望めないのは間違いない。
26日に発足する新政権の成長戦略も決定的に重要である。不要不急の公共事業をばらまくのでは、根本的な問題の解決にならない。個人や企業の活力を引き出す貿易・投資の自由化、法人減税、規制緩和などを柱に据えるべきだ。
安倍晋三、日銀、白川方明、円高、物価目標、金融緩和
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