韓国大統領選で保守系の与党セヌリ党の朴槿恵候補が当選した。韓国で初の女性大統領となる。李明博政権下で冷え込んだ日韓関係の改善に向け、その外交手腕に期待したい。
朴氏は革新系の最大野党、民主統合党の文在寅候補との事実上の一騎打ちを制した。同じ与党ながら不人気な李政権の成長重視の路線と距離を置き、社会の貧富の格差是正や福祉の充実を訴えたことが勝因となったようだ。
女性といっても国会議員の当選回数は5回で、韓国ではベテランだ。故朴正熙元大統領の長女として知名度は抜群に高く、父親のファーストレディー役を担ったこともある。有権者は政治家としての豊富な経験と安定感に、国の将来を託した面もあるだろう。
来年2月末から5年の任期を務める。課題は山積みだ。経済は減速し、強みの輸出もウォン安の修正などで鈍化している。半面、国民の間で格差社会への不満が募っており、「勝ち組」とされる財閥系企業への批判が特に根強い。
格差是正を公約した以上、一定の財閥規制に踏み込まざるを得ないだろう。ただ輸出をけん引する財閥を過度に追い詰めれば、経済全体を失速させかねない。難しいかじ取りを迫られる。
長距離弾道ミサイルの発射などで挑発を続ける北朝鮮への対応も欠かせない。朴氏は南北対話の必要性は認めつつ、核・ミサイル開発には厳しい姿勢で臨むとしている。こうした立場を新政権で堅持し、日米との連携を軸に強い圧力を北朝鮮にかけていくべきだ。
当然、李大統領の竹島訪問などで冷え切った日韓の関係改善も急務だ。朴氏は「信頼」を外交の基本に据え、周辺国との関係を発展させるという。日本を「重要な友好国」とし、本交渉が長らく中断している日韓の経済連携協定(EPA)の締結にも前向きだ。
一方で日韓間には、竹島の領有権や旧日本軍の従軍慰安婦問題が横たわる。朴氏も「なにより日本の正しい歴史認識が必要」と述べている。指導者の交代で、領土や歴史認識をめぐる対立が直ちに薄まるとみるのは早計だろう。
それでも日韓でともに新政権が誕生するのは、外交を仕切り直す好機といえる。日韓は主要な貿易相手国で、北朝鮮の核問題など安全保障分野でも協力すべき隣国だ。新しい指導者の間で信頼を築き、難局を乗り越えてほしい。
李明博、朴槿恵、韓国、朴正熙
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