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韓国に初めての女性大統領が誕生する。与党セヌリ党の朴槿恵(パククネ)氏だ。大統領選で民主統合党の文在寅(ムンジェイン)氏を下した。父親の朴正熙(パクチョンヒ)・元大統領[記事全文]
関西電力の大飯原発3、4号機はこの夏、暫定的な安全基準で再稼働した。福島第一原発での事故の教訓を踏まえた安全基準ができない段階での運転再開はおかしいと、再稼働手続きの取[記事全文]
韓国に初めての女性大統領が誕生する。与党セヌリ党の朴槿恵(パククネ)氏だ。大統領選で民主統合党の文在寅(ムンジェイン)氏を下した。
父親の朴正熙(パクチョンヒ)・元大統領は強権政治の一方で、朝鮮戦争で荒廃した国を立て直した。その娘という圧倒的な知名度がある。国会議員や党トップとしての手堅い政治実績も評価された。
有権者が求めたのは「安定の中での変化」だった。
サムスン電子の躍進などで元気に見える韓国だが、いま大きな岐路に立っている。
現職の李明博(イミョンバク)大統領は、経済成長を重視し、サムスンや現代といった財閥に配慮した政策を取った。だが、成長の果実は国民に行き渡らなかった。
強すぎる財閥のために中小企業は不公正な競争にさらされ、低賃金の非正規雇用が多い。大卒者も厳しい就職難だ。
日本を上回る早さで少子高齢化が進むが、年金をはじめとする社会保障はぜいじゃくだ。格差感は強まる一方だった。
朴氏は現政権と距離を置き、財閥偏重を正して生活の質の向上を図る「経済民主化」や福祉の拡充を訴え、選挙戦では中道路線を取った。
就任後は、成長を保ちつつ、輸出に過度に依存するいびつな経済構造を改め、国内の底上げを図ることが急務となる。輸出のためのウォン安を正せば、輸入品が安くなり、国民は生活改善を実感できるようになる。
北朝鮮との関係では、李氏の強硬路線は改善に結びつかなかったとの判断から、対話路線を掲げる。02年に平壌を訪れ、故金正日(キムジョンイル)総書記と会談した経験もある。北朝鮮が弾道ミサイル発射などで揺さぶりを強めているいま、日米と外交の歩調を合わせることが重要だ。
日本との関係は今年、李氏の竹島上陸や天皇訪韓に関する発言で大きく冷え込んだ。日韓で新政権が誕生する今こそ、改善に踏み出すべきだ。
むろん、楽観はできない。朴氏も領土や歴史の問題では日本に厳しい姿勢を示してきた。きのうの会見でも、「正しい歴史認識が土台」と語っている。
韓国では、次の首相になる自民党の安倍晋三総裁の歴史認識などに懸念が出ている。
だが、日韓が協力することが大切なことは、苦難の歴史を通して、両国の人々はわかっている。互いに刺激し合うような行動は控えるべきだ。
安倍氏は、日米同盟の重視を前面に押し出している。同じく米国と同盟を結ぶ韓国もあわせ3カ国の連携は、東アジア安定の基本になる。
関西電力の大飯原発3、4号機はこの夏、暫定的な安全基準で再稼働した。
福島第一原発での事故の教訓を踏まえた安全基準ができない段階での運転再開はおかしいと、再稼働手続きの取り消しを大阪、京都、滋賀3府県の住民が訴えたが、大阪地裁は門前払いにした。
野田政権が再稼働を認めたのを受け、大飯原発は定期検査を終えて、本格稼働した。
そこで住民側は、政府が交付した定期検査終了証の取り消しを求める行政訴訟をおこした。
だが、終了証がなくても原子炉を動かせる仕組みになっており、地裁は行政訴訟の対象ではないとの判断を示したのだ。
定期検査は電気事業法に基づく技術基準に適合するかどうかを調べる。13カ月に一度の実施が義務づけられている。原子炉本体から発電機の部品にいたるまで、数万にわたる項目を点検する。再稼働の前、大飯原発は定期検査に入っていた。
裁判で国側は、安全問題に深入りせず、こう主張した。
定期検査では、機器などの点検を済ませたあと、原子炉を再起動して安全を確認する「調整運転」に入る。その後、終了証が交付され、出力をあげて「営業運転」に移る。
「調整運転」でも、終了証交付後の「営業運転」と同じように電力供給できる。終了証が再稼働のゴーサインではない。
そもそも定期検査には、原子炉の初運転前の検査のように安全性を確認して「合格」とする概念はなく、終了証は検査が終わったことの通知にすぎない。
判決はこうした主張を認めた形だ。なんとも釈然としない判断だが、はからずもこの裁判で、安全神話に立脚した電力会社頼みの定期検査であることが浮きぼりになった。
定期検査は電力会社が主体で、国は検査内容に不備がないかを点検する仕組みだ。
機器類の点検が終われば原子炉を再起動でき、検査終了証は実は名ばかりだ。
国はこんな再稼働手続きでも、福島第一原発事故を経験した私たち国民に、安全だと胸をはるのだろうか。
原子力規制委員会は、新しい安全基準を来年7月ごろにまとめる。
新基準に基づいて再稼働の審査に入る方針だが、定期検査での安全確認の仕組みの改革も不可欠だろう。
安全点検がほとんど事業者まかせの態勢では、新基準ができても、とても安心できるものではない。