地方部下窃盗隠避 磐田前署長を不起訴 静岡地検「内部の事件」2012.10.26 02:02

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部下窃盗隠避 磐田前署長を不起訴 静岡地検「内部の事件」

2012.10.26 02:02

 磐田署の松嶋勝巳前署長(58)が署員の窃盗や盗撮などの不祥事を隠蔽して犯人隠避容疑で書類送検された事件で、静岡地検は25日、部下の窃盗を隠した容疑について前署長を不起訴処分にしたと発表した。地検は理由について、窃盗が磐田署の内部で起きた事件であることを挙げたが、「身内に甘い処分」との県民からの批判が集まるのは必至といえそうだ。

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 事件は、平成22年5月中旬から23年2月26日までに、磐田署の20代の巡査2人と40代の警部補の計3人が、磐田署の同僚署員のテレビやゲーム機を盗む▽架空の寮費名目で署員から現金1万円を詐取▽磐田市内のパチンコ店で女性従業員のスカート内を盗撮しようとした-というもの。前署長ら当時の同署幹部5人は署員3人のこれらの不祥事を県警本部に報告せず、「一身上の都合」などとして依願退職させた。

 県警は4月26日に、前署長ら幹部5人を犯人隠避容疑で書類送検。さらに、不祥事を起こした3人についても窃盗、詐欺、盗撮容疑で書類送検した。

 前署長は「事件が公になることで、警察の威信が失墜することや署員の士気の低下を恐れた」と話しているという。

 地検は「容疑者、被害者とも警察官で内部的な事件。被害も比較的軽微だったことを踏まえ、悪質性の高い行為とはいえない」として、窃盗と詐欺については不起訴処分とし、不祥事を隠した前署長ら5人の犯人隠避容疑についても不起訴処分とした。

 ただ、盗撮行為を隠した犯人隠避容疑については「被害者の処罰感情も考慮し」、静岡区検が略式起訴した。静岡簡裁は罰金20万円の略式命令を出し、前署長は即日納付した。

 地検は書類送検後に追加捜査を進めていたが、結果的に不祥事の大半について不起訴処分を決定。不祥事への厳しい処罰を求める県民の期待に応えたと言いにくい結果となった。

 今回の処分について、元最高検検事の土本武司筑波大名誉教授(刑法)は「不起訴処分の判断は、刑事手続きとしては必ずしも不適当とはいえないが、検察官と地方の警察の間に『なあなあ』で済ますような関係がなかったか疑問は残る」と指摘している。

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