危険水位を超えた慰安婦問題を巡る対日謀略宣伝(5)
「請求人たち[元慰安婦ら・西岡補以下同]が日本国に対して持っている日本軍慰安婦としての賠償請求権が『大韓民国と日本国間の財産及び請求権に関する問題解決と経済協力に関する協定』第2条第1項によって消滅したかどうかに関する韓・日両国間の解釈上の紛争を上の協定第3条が定める手続きに従って解決しないでいる被請求人[韓国政府]の不作為は違憲であることを確認する」
という判決を下した。
判決には九人の裁判官の名前が記されているが、そのうち一人については「退任により署名捺印不可能」とされているので事実上、八人の裁判官がくだした決定と言える。
そのうち三人から「憲法違反ではない」という少数意見が出されている。その理由は、協定3条は韓国政府に対して外交交渉や仲裁委員会での解決努力を義務づける規定ではなく、締約国同士がそのような行動を取ることを認め合っているに過ぎないので、外交裁量権の範囲であり憲法審査は自制すべきだとしている。
しかし、少数意見でも以下の見るようなゆがんだ事実認識は共通している。
判決文の理由を具体的に紹介しよう。理由の記述は
「1、事件の概要と審判対象」
「2、当事者の主張」
「3、この事件の背景」
「4、適法要件に対する判断」
「5、本案に対する判断」
「6、結論」
「7、裁判官趙デヒョンの引用補充意見」
「8、裁判官李カング、裁判官閔ヒョンギ、裁判官李ドンフプの反対意見」に分かれている。
「1、事件の概要と審判対象」の冒頭で「請求人は日帝によって強制的に動員され性的虐待を受け慰安婦としての生活を強要された『日本軍慰安婦被害者』だ」と強制動員と慰安婦生活強要という事実に反する記述が出てくる。このような事実認識が裁判の前提として全く疑いもなく設定されていることに問題の深刻さと日本外交の失策が反映している。
「2、当事者の主張」の中の韓国政府の主張は「政府の外交行為は広い裁量が認められる」「請求人の福祉のために力の限り努力しており、国際社会にこの問題を持続的に提起してきた」「紛争解決手段の選択は国家が国益を考慮して判断する問題で、具体的な外交措置をとらなければならない法的義務があるとは言えない」などであり、「3、この事件の背景」に書かれている事実認識については争っていない。