自衛隊ニュース Vol170 『まさかのUH-X疑惑』
2012年09月05日(水)
こんばんは martyakunです。
本日は自衛隊の不祥事に関連して、陸自のヘリコプターについて取り上げます。
毎日新聞様
『陸自ヘリ納入:防衛省側、談合関与か 川崎重など捜索』 2012年09月05日 15時00分(最終更新 09月05日 15時43分)
【陸上自衛隊へのヘリコプター納入を巡り、東京地検特捜部が4日、競売入札妨害(談合)容疑で防衛省の技術研究本部や受注したメーカーの川崎重工業など複数の関係先を一斉に家宅捜索したことが分かった。関係者によると、陸自の次期多用途ヘリコプターの開発に絡み談合が行われた上、同省職員も関与した疑いがあるという。特捜部は今後、押収した資料を分析し、同省やメーカー関係者から本格的な事情聴取に乗り出すとみられる。【山本将克、山田奈緒】
関係者によると、問題になっているのは、隊員や物資の輸送などに使われる陸自の「新多用途ヘリコプター(UH−X)」を巡る発注。UH−Xは、現在陸自が保有する「UH−1J」の後継機。防衛省が発注し、川崎重工業が今年3月、受注した。価格は1機約10億円と見込まれるという。
特捜部は4日、陸海空3自衛隊が使用する航空機や艦艇、戦車などの研究・開発を専門的に担う防衛省の技術研究本部などを捜索。川崎重工業も捜索した模様だ】
朝日新聞様
『陸自ヘリ談合疑惑、川崎重工も捜索 東京地検特捜部』 2012年9月5日15時42分
【陸上自衛隊のヘリコプターをめぐる不正疑惑で、東京地検特捜部は、川崎重工業(本社・神戸市)が今年3月に受注した次期多用途ヘリコプターの開発で談合があった疑いがあるとみて捜査を進めていることが、関係者の話で分かった。
特捜部は4日、東京・市谷の防衛省の技術研究本部や装備施設本部とともに、川崎重工業も家宅捜索。同省側が不正に関与した疑いも視野に入れて、押収資料の分析や関係者の事情聴取などを進めるとみられる。
関係者によると、捜索の対象とされたのは、陸自の次期多用途ヘリコプター「UH―X」の納入をめぐる疑惑。防衛省によると、技術研究本部が陸自の求める性能などをもとに仕様書を作成し、装備施設本部がメーカーからの提案書を評価して選考した結果、今年3月に川崎重工業と35億2800万円で随意契約を結んだという。昨年9月に企画競争が公示され、富士重工業(東京都新宿区)も提案書を出していた】
東京新聞様
『陸自ヘリ納入 不正疑惑 川重も捜索』 2012年9月5日
【
陸上自衛隊のヘリコプターをめぐる不正納入疑惑で、東京地検特捜部が四日、ヘリの製造・開発を手掛ける川崎重工業を捜索していたことが、同社への取材で分かった。同社は次期多用途ヘリ「UH−X」の開発を防衛省から受注しており、特捜部は受注をめぐり不正があった可能性があるとみて捜査している。
次期多用途ヘリは隊員や物資の輸送などに使われる予定。川崎重工業のほか富士重工業も手を挙げたが、防衛省は両社の技術提案書を比較するなどして発注先を川崎重工業に決めた。
今年三月、基本設計費だけで三十五億円の契約を締結。百三十機ある現行機の後継機として、一機あたり十億円程度で量産される見通しで、総事業費は数千億円に上るとみられる。
防衛省の捜索先は、ヘリや戦車など装備品の調達業務を担当する装備施設本部と、装備品の研究や開発を担う技術研究本部。特捜部は競売入札妨害や官製談合などの疑いがあるとみて、同省やメーカーの担当者から事情聴取を進める。
川崎重工業広報部は取材に「捜査には全面協力しているが、捜査中なので詳細はコメントできない」としている】
読売新聞様
『ヘリ開発で官製談合容疑、防衛省と川崎重工捜索』 2012年9月5日17時27分
【防衛省が発注したヘリコプター開発事業を巡って官製談合が行われていた疑いが強まったとして、東京地検特捜部が4日に東京・市ヶ谷の防衛省と川崎重工業(東京都港区)を官製談合防止法違反容疑で捜索したことがわかった。
特捜部は、事業を発注した同省技術研究本部に所属していた陸自の佐官級幹部らが談合に関与したとみて、幹部らの事情聴取を進めている。今後、押収資料を分析し、談合の実態解明を図る。
同省関係者によると、捜索を受けたのは装備品の研究開発などを担当する「技術研究本部」。同本部が今年3月、川崎重工業と契約した新多用途ヘリコプター(UH―X)の開発事業に談合の疑いが浮上している。
このヘリコプターは、隊員や物資の輸送に使用されるもので、同本部は昨年9月、陸自が現在使用している型の後継機の開発を公告。応募してきた同社と富士重工業(新宿区)の提案書を審査し、川崎重工業に計約280億円で委託する契約を結んだ。開発期間は7年で、陸自は将来的に180機の調達を予定している。幹部らはこの契約で不正を行った疑いがある】
以下紙面より抜粋
【川崎重工業は自社ウェブサイトで、量産している陸自向け観測ヘリコプターを改造する事で開発コストを低減できるとし、受注については「豊富な実績と技術力・信頼性が高く評価された」と記している】
◆陸上自衛隊が導入したヘリコプターで今も現役なのは以下の10機種の筈(^^;)
ついでですから、生産企業と導入数(予定も含む)、分かった単価を書いておきます(とはいえ、間違っている可能性大なので、参考程度にして下さい。写真提供はJGSDFです)
「要人輸送ヘリコプター」 EC-225LP ターボメカ様 4機
「観測ヘリコプター」 OH-6D 川崎重工様 193機
「観測ヘリコプター」 OH-1 川崎重工様 38機 19億円
「対戦車ヘリコプター」 AH-1S 富士重工様 90機
「戦闘ヘリコプター」 AH-64D 富士重工様 12機 52億円
「輸送ヘリコプター」 CH-47J 川崎重工様 34機
「輸送ヘリコプター」 CH-47JA 川崎重工様 54機 52.5億(62億)
「多用途ヘリコプター」 UH-1H 富士重工様 133機
「多用途ヘリコプター」 UH-1J 富士重工様 130機 12億円
「多用途ヘリコプター」 UH-60JA 三菱重工業様 37機 37億円(39億)
◆生産メーカー別に列記します。
ターボメカ様
EC-225LP 4機 計4機
川崎重工様
OH-6D 193機
CH-47J 34機
CH-47JA 54機
OH-1 38機(試作機含む) 計319機
富士重工様
AH-1S 90機
AH-64D 12機
UH-1H 133機
UH-1J 130機 計365機
三菱重工業様
UH-60JA 37機 計37機
◆以下、martyakunの雑感です。
@こうやって整理すると、陸自のヘリは川崎重工様と富士重工様が2代巨頭ですね(^^;)
AUH-X原型機のOH-1単価が19億円なのに、改設計で10億円に収まる予感がしないのは内緒です。
B生産されたUH-1H/UH-1Jの機数から考えて、UH-X計画の規模が掴めます。
かなり大規模な更新計画です。
Cもし、UH-X計画が仕切り直しになった場合、漁夫の利を得るのは富士重工様になります(多分、^^;)。
まあ、AH-64D生産打ち切り後のゴタゴタが、UH-Xで川崎重工様に有利に働いた様な気もしないでもないです(^^;)
DUH-1Jは現場の受けも良いと、何かで読んだ気がします。
まあ、一種、枯れた機種なので完成度も高いのでしょうね。
正直なところ、単価10億円は厳しいですが、UH-1Jの単価12億円を少し上回る価格の14億円なら、結構いい機体を開発出来そうな気もしないでもありません(それでもUH-60JAの4割程度だし^^;)。
Eちなみに、『防衛省 平成24年度予算の概要』の該当項目です。
○ 新多用途ヘリコプター(継続・開発・陸幕要求)
現有陸自UH−1Jの後継として師団・旅団飛行隊、方面ヘリコプター隊等に装備し、空中機動、航空輸送等の各種任務に使用
F多分、TRDIの目論見としては
OH-1 → UH-X → AH-X(AOH-X?)の流れが有ったのでしょうが、今回の件で目論見はご破算でしょう。
G取り得る手段は富士重工様のUH-X案採用しか無い様に思えますが、どうなるのかは、しばらくは様子見です。
Hあっと驚く結果になったりして(悪い意味か良い意味かは知りませんが^^)
でも、単価19億円のOH-1を原型機にしながら、出力向上型のエンジンを双発にしたKHI様案って、どっちにしろ成り立たないと思っていた事は内緒です。
まあ、もし達成出来れば、とんでもない成功例になったんですがね(^^;)
【20120907追記
続報を公開しました
≪自衛隊ニュース Vol171 『UH-X不正受注疑惑 続報』 2012年09月07日(金)≫ 】
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2012-09-05 21:05
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