お姉ちゃんと僕
2012-12-15 Sat 06:22

「あれっ、鍵、閉め忘れた……?」
ちょっと胸がドキドキする。
そのまま玄関を開けると、見慣れないハイヒールが並んでいた。
そして僕は思い出した。
「そっか、お姉ちゃん来るの今日だっけ」
それを思い出した途端、胸に日だまりのような暖かさが生まれた。

「ただいまぁ~」
「お帰りなさ~い」
姿は見えないが、久しぶりに家で聞くお姉ちゃんの声だ。お姉ちゃんはニコニ
コしながら奥から歩いてきた。
「由美子お姉ちゃん……」
僕は靴を脱ぐと、お姉ちゃんと居間に入った。
「あれっ? サトシちゃん、また大っきくなったぁ?」
「そう?」
「うん、こないだ見た時より大っきくなってる……」
そうは言っても、それでもまだお姉ちゃんの方が大きい。お姉ちゃんは学生時
代バレーボールをやってて、そのせいか身長が170センチ以上ある。
僕はまだ165センチもないと思う……。
だからお姉ちゃんを小さい頃から、いや今でも下から見上げているのだ。
「どんどん大人になっていくんだねぇ」
「そりゃまぁね……、15歳ですから」
「サトシちゃん、15歳だっけ……?」
「うん」
「そっか、もう15かぁ……。あたしが今のサトシちゃんの歳の時に、サトシ
ちゃんが生まれたんだよ」
「へぇ~」
「大っきくなるはずだねぇ」
「15歳ともなれば当然ですよ、当然」
「でもあの部屋を見ると、まだまだ子供だけどね」
「えっ? なんで?」
持ち上げといて、"ストン" と落とされたこの気分。
「一体幾つあるの? あのフィギュア。数える気にもならないわ」
「いいじゃん、別に……」
「怒るとそうやってスグ唇尖らして……。小っちゃい頃から変わってないんだ
から、もう……」
「なにそれ……、いいっしょ別に」
と言った僕の唇は、悔しいけど尖っていた。


「ポセイドン、急げ、急げ急げポセイドン。逃げられるぞ……」
僕はようやく追い詰めたモンスターに逃げられそうな、ポセイドンにイライラ
していた。ポセイドンは僕とパーティーを組んでいる仲間の1人だ。
彼の役目はいつも、「愚者の鐘」を使ってモンスターを追い立てたり、時に袋
小路に追い詰めたりすることだ。
「愚者の鐘」は、あらゆるモンスターの嫌いな音を出す。
そしてモンスターにトドメを刺すのが僕、「セイント」の役目だ。 
この間のジャングル戦では、上手くチラノを追い立てたのに、今日の「ポセイ
ドン」はなんだか鈍くさい。
「サトシちゃん、サトシちゃん、ご飯食べないの?」
1階からお姉ちゃんの声がした。時計の針はもう9時を刺している。
「チッ、ポセイドン、今日はここまでだ。続きはまた明日……」

僕はまるで勉強をしていたような顔をして、食堂へと向かった。

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