芸能人ブログの罪と罰

今週の話題 ~法律はこう斬る! 2012年12月19日 更新

 「ワールドオークション」というペニーオークションサイトで、詐欺を行ったとしてサイト運営者が逮捕された事件。ペニーオークションの仕組みに改めて注目が集まっただけでなく、多くの芸能人がサイト運営者から金銭を受け取り、サイトの宣伝をしていたことでも話題となっています。今回は、このニュースに法律の視点から斬り込みます。

 まず、ペニーオークションの仕組みについておさらいします。ペニーオークションも、通常のオークションと同様、最高額で入札した人に購入の権利が与えられますが、大きく異なるのは、入札にあたり手数料を運営者に支払う必要があることです。入札ごとに手数料がかかるうえ、入札できなかった場合にも手数料を支払わなければならないため、利用者の費用負担が大きくなりがちであるといえます。
今回の事件では、運営側が一般利用者に落札させる意思がないにもかかわらず、ペニーオークションを開催し、サクラボット(自動で入札を行うロボット)を利用することで、一般利用者に落札をさせず、手数料だけを支払わせるという手口で金銭をだまし取ったとされています。
すべてのペニーオークションが違法というわけではありませんが、オークション利用者が増えれば増えるほど、運営側に手数料収入が入るため、運営側が不正の誘惑にかられやすい仕組みであるといえ、利用者は仕組みを理解したうえで、注意深く利用する必要があるといえます。

 上記のように、ペニーオークションは、利用者(入札者)が多ければ多いほど、運営側が儲かる仕組みですから、集客にも力が入ります。今回の事件では、タレントのほしのあきさんが、実際には利用していないにもかかわらず、「お友達から教えてもらったワールドオークションってサイトでお買い物してみたよ」「1080円で落札したの」などと謝礼をもらって自身のブログに書き込んだとして、謝罪したほか、同様の書き込みをした多くの芸能人が謝罪、釈明をしています。
芸能人等がブログを使って商品・サービスを勧める場合、そこに報酬等が介在しない限り、法律上の問題となることは通常ありません。しかし、報酬を得て、他の商品・サービスよりも優れているかのような書き込みをしたときには、景品表示法上、問題が生じるおそれがあります(優良誤認表示景品表示法4条1項1号)。

 日本では、今回のようなブログの書き込みについて、「この記事は広告主から報酬を受けて書いています」というような注意を記載する必要はありませんが、米国では、2009年10月に連邦取引委員会(FTC)が推奨広告・証言広告に関するガイドラインを改訂し、商品やサービスの推奨者マーケッター・広告者との間に報酬の授受や商品の無償提供等の重大なつながり(material connection)があるにもかかわらず、そのような事実について明記しなかったときは、処罰される可能性があります。

 ブログやSNSの書き込みが売り上げに直結する時代だからこそ、その真偽を問う厳しい目が必要であるといえそうです。

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credit:アクセス解析|Ameba (アメーバ)_20091025 / smashmedia

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