酔った客に抱きついて財布を盗んだとして、大阪府警は１８日、住所不定、無職、志津田（しつた）邦博容疑者（６３）を窃盗容疑で逮捕、起訴したと発表した。府警によると、約３０年前から全国各地の繁華街で「抱きつきスリ」を繰り返し、生計を立てていたという。忘年会シーズンで飲酒の機会が増えるため、府警は「楽しいお酒になるように、むやみに近づいてくる人にはご注意を」と呼びかけている。

　逮捕容疑は１１月３０日午後１１時４５分ごろ、大阪市中央区東心斎橋２の雑居ビルのエレベーター内で、堺市の会社員男性（４５）から現金約３万４０００円入りの財布を抜き取ったとしている。容疑を認めているという。酔客の後をつけるような不審な行動が警戒中の捜査員の目に留まり、職務質問したことから逮捕につながった。

　府警によると、志津田被告は客引きを装い、「うちの店どうですか」と男性の肩に左手をかけ、右手で後ろポケットから財布を瞬時に盗んだという。服を着せたマネキンに鈴を付け、気づかれないように盗む練習を続けていた。実況見分でスリを再現した際、被害者役の捜査員も気づかなかったほど。志津田被告は「正面から堂々と近づいた方が怪しまれない。５秒あればできる」と供述しているという。【村上正】