2012年12月19日

「フランクフルトの強さは本物か?」ドイツ・ブンデスリーガ第17節 ヴォルフスブルク-フランクフルト

マガト監督解任で長谷部が先発復帰、そこからチームも復活基調にあるヴォルフスブルクと、乾の復調に呼応して上位の座を固めつつあるフランクフルトという注目の対決だったが、前半16分のジョズエの一発退場によってあっさりと勝負はついてしまった。

とは言え、フランクフルトはアウェイでありながら同数だった時間帯でも優位に試合を進めており、ヴォルフスブルクが1人少なくなってからはほぼ完璧に試合を支配するなど、総合的なチーム力という意味でもヴォルフスブルクよりも上位にいる証明をしていたと言える。

そしてそれは乾のおかげ・・・と言いたいところだけど、どちらかと言うと他の選手の成長ぶりが素晴らしい。11得点と絶好調のマイヤーを筆頭に、得点は決められないけど高いフィジカルで基点として機能しているオセアン、縦横無尽の働きを見せるボランチのシュヴェクラー、ローデのコンビといったセンターラインが非常にしっかりしており、だからこそ乾やアイグナーといったテクニシャンが安心してプレイ出来ている。

乾については、この試合ではリスタートからの早い攻撃から2点目を決めて、時折鋭いドリブルで相手ゴールに迫る場面はあったものの、やはり彼の悪い癖であるイージーなミス、無理な突破のミスが後半に目立ち、まだまだ集中力の持続には課題があることを露呈してしまった。しかし、そこでもオツィプカという極めてボールキープ力が高い左SBがガッチリ乾をカバーしてくれているのがフランクフルトの強みである。

しかも以前であれば、マイヤー頼みでやたらと中央突破ばかり狙う攻撃で、乾がいくらサイドでフリーになっても全くボールに触れず、トップ下まで移動してやっと攻撃参加が出来たバリエーションの狭さはどこかに吹っ飛び、ウイングとSBのコンビネーション有り、セカンドボールを拾っての波状攻撃有りと、どこからでも攻撃を仕掛けられる柔軟さを身に付けているのだから、若いチームというのは恐ろしい。

まあ、逆に言うと今は全てが上手く運んでいるとも言えるわけで、どこかの調子が落ちると一気に歯車が狂って勝てなくなるのも若いチームの欠点なので、このままCL出場権を取れるとは思えないけど、何とかELまではたどり着いて、乾には豊富な経験を積んでもらいたいところである。

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2012年12月18日

「サンパウロはお祭り騒ぎ」FIFAクラブW杯決勝 コリンチャンス-チェルシー

試合後に、チェルシーのルーカス・ピアゾンが「ブラジル人だけが本気だった」と発言して物議を醸し出しているが、さすがにチェルシーとて負けていいとは思わなかっただろうが、勝利への執念という意味ではコリンチャンスに及ばなかった事が、運をつかめなかった理由の1つである事は確かだろう。

チェルシーは、前半にあった3度の決定機のうち、1つでもモノにしていれば後は守ってカウンター狙いで逃げ切れたのかもしれないが、結局そこで決められない事に対して、さらに畳み掛けて運の無さを実力で覆す姿勢が感じられなかったのはとても残念だった。

1つ例を挙げると、SBの攻撃参加の少なさ。もともと、リヴァプールでも4バックのラインディフェンスを駆使してSBの攻撃に頼らない監督ではあったが、コリンチャンスの2列目がエメルソンとダニーロというベテランを揃えていただけに、SBの上がりで彼らを引きつけ、疲弊される手段は取れたはずだ。しかし、ようやくSBが試合に出てきたのは点を取られてからで、それまではサイドはアザールとモーゼスの単発のみの攻撃で、みすみす試合のペースを自ら落ち着かせてしまっていた。

失点場面でも、チェルシーはカバーリングが全ての局面で後手後手に回り、最後のゲレーロのヘディングに対しても、ゴールマウスの中に3人も入っていながら誰も詰めることが出来なかったように、失点を喫した時間帯は明らかに選手の集中力が落ちていて、コンディション面で万全には程遠かったように見えた。疲れた体を動かすのは最終的に気持ちが物を言うので、結果論ではあるがランパートの代わりにダビド・ルイス、そしてオスカルの先発起用をすべきだったのではないか。

ただ、そういうエクスキューズがあったとは言え、コリンチャンスの戦いが見事であった事は間違いない。Jリーグじゃあまり守備をしなかったエメルソンやダニーロは献身的に体を投げ出し、1対1の局面では確実性のあるボールキープにトリッキーなテクニックを交え、最後までチェルシーに対してペースを握らせなかった。決してフロックではなく、世界一にふさわしいチームであり、彼らの中にJ経験者がいるという事は、我々にとっても誇りである。

日本に大挙して訪れたサポーターはもちろん、そして地球の裏側にいる本国1500万人のサポーターにとっても眠れない1日になったはずだろう。おめでとう、コリンチャンス!

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2012年12月16日

「これがカテゴリーの違い」天皇杯4回戦 ジェフ千葉-福島ユナイテッド

こういう試合を見ていていつも思い出すのは、かつて中田がいたころのペルージャが来日してセレッソと行った親善試合の事である。

その時のセレッソは、時差ボケと観光気分で動きが悪いペルージャに対し、森島率いる攻撃陣が攻めに攻め立てて何度も決定的なチャンスを作るのだが得点だけがどうにも決まらず、逆にペルージャは数少ないチャンスをしっかりモノにして終わってみれば0-2にの完敗になってしまった。

中田とラパイッチを除けば、オリーヴェやブッキ、メッリなど、Jの選手と比べてもさほど上手いと思えない選手ばかりだったのだが、ボールを持てばプレスをかけられても落ち着いてキープし、味方の動き出しにミドルパスをきっちり合わせて少ないタッチから得点を生み出していた。

この試合での福島と千葉の差はまさにそれで、福島の選手はテクニックこそJのレベルに負けない選手が揃っていたのだが、パスを回しても回しても、最後のところで余裕が無くなってミスになるか、千葉の要所を抑えた守備を交わせずに決定機が作れない。しかし千葉の選手は、福島の守備の人数が揃っている中をビシッとパスを通してくる。

そしてもう1つの違いはパスの距離。福島のパスはDFのクリア以外は距離が短く、常に近くにいる選手同士でパスが行われていたのに対し、千葉はパスを出すにしてももう1人分遠くにいる味方にパスを出したり、サイドチェンジを交えるなど、1本のパスで稼ぐ距離が相対的に長い。その方が、相手守備を余計に動かす事になるので、攻撃をするスペースを作り出しやすくなるのだ。

サッカーにおける強さとは、単純な選手のテクニックよりも、そういう判断力や経験、スキルによるものが大きく、それがチームが戦っているカテゴリーの差のだなと、改めてペルージャ戦の時に感じた思いを反芻させられた試合であった。

でも、福島は良い物を持っていると感じたのも確か。これがJFLのベテランチームではなく、今期地域決勝大会を勝ち抜いてJFLへと昇格したばかりのチームなのだから、日本のサッカーレベルの向上も改めて実感する事が出来て嬉しい試合でもあった。是非、福島にはJリーグにまでたどり着いてもらいたい。

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