韓国:暗殺、自殺… 歴代大統領、哀れな末路
毎日新聞 2012年12月19日 19時35分(最終更新 12月19日 20時21分)
【ソウル西脇真一】韓国の歴代大統領は「建国の父」といわれる李承晩(イ・スンマン)氏の時代から亡命や暗殺、本人や家族の逮捕など哀れな末路をたどってきた。
1948年の建国で就任した初代大統領の李承晩氏は、60年の大統領選での不正に学生らが反発。大規模デモが発生して辞任した。結局、李承晩氏は妻とともにハワイ亡命に追い込まれた。
朴槿恵(パク・クネ)氏(60)の父、朴正熙(パク・チョンヒ)氏は陸軍少将だった61年、クーデターで実権を掌握。大統領となった後、開発独裁で経済成長を実現させた。しかし、74年の在日朝鮮人による暗殺未遂事件で陸英修(ユク・ヨンス)夫人が流れ弾に当たり死亡。本人も79年に側近の中央情報部長に暗殺された。
同年、保安司令官だった全斗煥(チョン・ドゥファン)氏は「粛軍クーデター」で実権を握り、翌年には大統領に就任。しかし、退任から7年後の95年、同クーデターの反乱首謀容疑で逮捕された。80年の光州事件での責任も問われ、無期懲役が確定した。
88年に大統領に就任した盧泰愚(ノ・テウ)氏も秘密政治資金の存在が明らかになり、退任後の95年に収賄容疑で逮捕された。光州事件の責任も問われ、懲役17年が確定した。しかし、両大統領は97年に特赦を受けた。
次の金泳三(キム・ヨンサム)氏は大統領在職中の97年、次男が知人の会社社長らから不正に金を受け取ったなどとして逮捕された。また、金大中(キム・デジュン)氏も息子2人が02年、金銭授受容疑で相次いで逮捕された。
一方、文在寅(ムン・ジェイン)氏(59)が最側近として仕えた盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏は大統領職を退いた後の09年、収賄容疑で検察の事情聴取を受け、自殺した。
さらに、現職の李明博(イ・ミョンバク)大統領も今年7月、国会副議長や韓日議連会長を歴任した実力者の兄が、不正資金を受け取った疑いで逮捕。また、長男も脱税の疑いで国税庁に通報されている。
強大な権力が集中する韓国大統領には、家族も含めさまざまな誘惑の魔の手が伸びるといわれる。