地方配分増を評価 京滋の首長 消費増税法成立
消費税率を10%まで引き上げることを柱とした社会保障と税の一体改革関連法が10日、成立した。税率引き上げによる増収分は地方にも配分され、京滋の自治体も取り分が増える。京都府の山田啓二知事をはじめ首長たちは消費増税を「評価したい」と前向きに受け止めた。
現行税率5%のうち、1%分は地方消費税だ。さらに1・18%分が国から地方交付税として配分されており、事実上の地方分は計2・18%。税率が10%に引き上げられた場合、地方消費税と地方交付税分を合わせると3・72%が地方に回るため、消費税関連の地方の取り分は単純計算で約1・7倍となる。府財政課によると、増収分はこれまで単独事業で行ってきた乳幼児や障害者の医療費助成、予防接種などの財源に充てるため、こうした政策を安定的に続けられるメリットがあるという。
山田知事は10日、消費増税について「財政安定化の観点から評価したい」と述べた。京都市の門川大作市長は「社会保障制度を維持していくには国、地方を通じて安定的な財源を確保することが極めて重要。重い決断をされた」と評価した。
滋賀県は、消費税率10%の場合、消費税関連の税収全体が本年度当初予算比275億円増の504億円と試算している。嘉田由紀子知事は「全国で税源の偏りが小さく、税収が安定的な地方税体系の構築に資する」と消費税増税に理解を示した上で、「地方分については自由度の高い活用を担保してほしい」と求めた。
ただ、地方自治体の首長が消費税をめぐり積極的に発言しないことに、「地方は法案成立に努力せず、いいとこ取りだけした」との批判もある。これに対し、山田知事は「国権の最高機関である国会の議論に地方が圧力を加えるのが筋なのか。法案には国と地方が合意しており、しっかり見守るのが地方の立場だ」と反論した。
【 2012年08月10日 23時20分 】