Jリーグをもっと盛り上げなければと語る名古屋・GK楢崎=トヨタスポーツセンターで
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18年間で500試合を達成した楢崎の歩みは、そのままJリーグの歴史に重なる。激動のJ黎明(れいめい)期と現状、そして将来への展望を、どう見ているのか。
楢崎「今は代表選手とかメジャーな選手が海外に流出したりして、人気面でも頑張らなきゃいけない時期にきている。レベルの高い盛んなリーグと言われる中で長く出ていると思われたい。人気に陰りとか、動員が減ってるとか、ネガティブなニュースにならないように、なんとか盛り上げていかないと。そういうのはよく考えている」
楢崎は98年に、所属していた横浜フリューゲルスの消滅を経験した数少ない現役選手だ。選手として無力感にさいなまれた苦い経験は今も奥底に残る。だからこそ、景気の先行きが見えない昨今のリーグやクラブの運営には警鐘を鳴らす。
「Jリーグは最初はバブルと言われて華やかだったけど、オレが入団したころから数年はそうでもなかったし、チームの吸収合併の当事者になった。フリューゲルスのことは、企業の一存で決められた残念さがずっとある。地域密着という理念のもと、それぞれのクラブがあるイメージだったのに、当時はあまりにも簡単に決められてしまった。そこから一旦はだいぶ良い状態になったけど、またちょっと難しい時期がきている。まだまだスポンサーに頼らないといけない状況は変わらない。選手がどんどん海外に出て行く状況もある。浦和とか一時クラブとして唯一日本でうらやましい、目指したくなるようなクラブが出てきた。だけど、それも継続できなかったのは残念だった」
リーグ全体の観客数の伸び悩みは、グランパスも同様。有望選手の海外移籍による空洞化が叫ばれるなか、クラブが目指す方向性を楢崎は提言する。
「人気が個人に依存するようなスター選手をつくるのは日本は好きだし、クラブがっていうより、1人の選手が好きっていうだけだと、なかなか継続性が出てこない。クラブ自体の魅力をどんどん出していかないと」
「グランパス? うーん…闘莉王がいる(笑)。個人に依存してるじゃないかって? まあ、そう聞かれてなかなかシュッと答えが出ないのがいかんのでしょうね。オレらはもうちょっといいサッカーをすればとはいつも思うんやけどね。ただやっぱり結果は大事だし、しぶとく勝ち点を積み重ねられる強さ、ここ数年あったものは常に持っておかないと。それでいて内容も伴ってくれば。あとはスタジアムや練習場がもっとファンの身近にあればとは思いますね。変なパフォーマンスはいらないけど、やっぱりファンサービスは必要かな」
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