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特集地軸2012年12月19日(水)

新しい?

 形容詞がお好きな方なのだろう。かつては「美しい国」。今度は「新しい国」。イメージ先行で中身が見えなかった前の文句と比べたら、少しは取っつきやすいかも▲
 と思ったら、それほど新しくない。次期首相の座が確実な自民党の安倍晋三総裁が、月刊誌「文芸春秋」1月号に「新しい国へ」の題で政権構想を起稿している。躍る文字は見覚えのあるものばかり▲
 たとえば経済政策だ。さも秘策があるぞと気を持たせたデフレ退治の主軸は、教科書レベルのような金融緩和である。物価上昇率の目標を定めるインフレターゲットの導入は20年ほど前から待望論があり、目新しさはない▲
 きのう安倍総裁はあらためて日銀に緩和を要請した。既に似たような策は施されているのに、腰の重い日銀を動かすと格好だけはつく。打つ手に困ると日銀悪玉論を広げ、公共工事に頼るのは政治家の悪い癖。新しくない▲
 お金をじゃぶじゃぶ回してインフレを起こせば景気がよくなるというのも本来は順序が逆の話。仮に景気が上向いても気前よく給料を上げてくれるか。新政権が財界との関係を見直せば新しいのだが▲
 肝心なのは金融緩和の効果を高める新しい工夫。出回るお金の量ほどに時間は有り余ってはいない。まして厳しい批判が猶予される「ハネムーン期間」などないと心得て。安倍総裁の権力との「再婚」は前途多難。

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