中国共産党は18日、広東省トップの省党委員会書記に胡春華・前内モンゴル自治区党委書記(49)を任命した。胡氏は習近平総書記らに続く「第6世代」の筆頭格だ。改革開放政策で全国に先駆けて発展した広東省は、従来型産業の競争力低下などの課題にも最初に直面することになった。胡氏は「課題先進地域」で指導者としての力量を試される。
胡氏と同世代の対抗馬の孫政才氏(49)は11月に内陸開発の中心である重慶市党委書記に就任した。それぞれ重要地域を任され競い合う構図だ。
中央の要職に転じる見通しの前任の汪洋氏(57)は広東省の産業の高度化やサービス業への構造転換を促した。人件費上昇に伴う労働集約型産業の競争力低下に対応するためだ。市場原理を重視し、競争力を失った約8万社に淘汰や業態転換を促す一方、税制などの優遇措置を設けた地域を設定し、海外や香港の先進企業誘致に乗り出した。
しかし、企業誘致はまだ始まったばかりで、各地で重点を置く産業が重複するなどちぐはぐさも目立っている。例えば金融業の集積・発展を目指すのは深セン市だけでなく、広州、仏山、東莞の周辺各市も計画している。
富士通総研の柯隆主席研究員は「中国では上海や天津も金融センターを目指している。多数の金融の中心をつくるのは無理だ」と指摘。胡氏はまだ道半ばの汪氏の改革の仕上げの役割を担うことになる。
就任後最初の地方視察で11日まで広東省を訪問した習総書記は、税制優遇や人民元規制の緩和で金融機関を誘致する深セン市前海などを訪れた。中山大学の林江教授は「汪氏の指導への支持を意味する」と解説。胡氏も汪氏の路線を踏襲することになりそうだ。
広東省には日本からトヨタ自動車など自動車大手3社と電機大手各社がそろって進出。汪氏は「日本企業の先進技術はまさに広東省に欠けているものだ」と新技術の導入を期待し、日本企業も日産自動車とホンダが電気自動車(EV)の開発拠点とするといった形で期待にこたえてきた。
胡氏も内モンゴル時代に「日本の技術や人材、管理手法はいずれも中国より優れている」と日本企業を評価。広東省でも構造改革の担い手として期待するのは確実だ。
広東省はトウ小平氏の改革開放政策により、1980年代から全国に先駆けて経済発展を遂げた。このため、深セン市などでは製造業の人件費が国内最高水準に上昇。土地開発などに絡む地方幹部の腐敗もはびこり、権利意識の高まった住民の抗議活動も絶えない。
胡氏と同じ共産主義青年団(共青団)系の指導者の間では胡氏の広東省赴任に「経歴に傷がつく」と反対論もあったとされる。ただ、広東省が向き合うのは、同省の後を追って発展している中国各地にもいずれ迫る課題。次期最高指導者の候補として、どのような結果を残すのかに注目が集まる。(広州=桑原健)
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