比例で当選し支援者と握手をかわす菅前首相
１９８０年の初当選から１０期連続で守ってきた不動の“地盤”（現東京１８区）で敗れた菅直人前首相（６６）は、民主が比例で獲得した最後の３議席目に滑り込み、首の皮一枚で生き残った。現行制度では、首相経験者として初の小選挙区敗北→復活当選となった。
１７日に日付が変わる頃、小選挙区の敗戦が確実になってから、復活が決まる午前３時頃まで約３時間。府中市の事務所に姿を見せず、引きこもって惜敗率を計算し続けていたという。同３時半過ぎに支援者の拍手で迎えられた時は、憔悴（しょうすい）し切っていた。
「残念ながら小選挙区で勝ち上がることができませんでした。比例の最後の最後で議席を頂いた。『原発ゼロ』をぜひ実現してくれ、という全国の皆さんの執念が勝たせてくれた。この１議席はこれまでの議席以上に大変重いものだと感じています」。笑顔は見せたが、声はかすれ、１３日の選挙カー事故で１２針縫合した傷を隠す不自然な整髪が、悲壮感を増幅させた。
伸子夫人（６７）は「あきらめない、しつこい当選」と評した。今選挙では、他候補の応援には出向かずに「原発ゼロは私の使命」と訴え続けた。対応の是非はともかく、「３・１１原発事故に直面した総理」という、ただ一人の“肩書”を掲げ「語り部」を自称し、議員活動を続行する。