東京都知事選に圧勝した猪瀬直樹氏が18日、正式に就任した。有権者は石原慎太郎前知事の路線継承を選択したといえる。
猪瀬氏は石原前知事の後継指名を受けて立候補したうえ、自民党や公明党、日本維新の会などが支持・支援したことで選挙戦を終始優位に進めた。この5年半にわたって都の副知事を務めており、その実績やメディアを通じた知名度の高さも圧勝の一因だろう。
これで石原前知事を引き継いで夏季五輪の招致などに取り組むことになるが、都知事の交代は13年ぶりだ。新銀行東京をどうするのかなども含めて、まず都政全般を総点検してほしい。
副知事としての猪瀬氏はエネルギー政策や震災対応など特定の分野を中心に担当してきた。知事になったのだから、様々な政策課題への目配りが必要になる。
東京は日本経済の最大のエンジンだ。国際競争が激しくなるなかで東京の活力をどう高めるのかが、新知事の重要な仕事になる。
都は現在、特区制度を活用した外資系企業の誘致や交通基盤の整備などに取り組んでいる。こうした施策と同時に、新産業の育成に向けて起業の支援などにもっと力を入れるべきだろう。
東京では今後、急速な高齢化が進む。首都直下型地震への備えも十分ではない。都民の安全・安心を守ることも知事の責務だ。
猪瀬氏が取り組んでいる地下鉄の一元化にも注目したい。現在、都内には都営地下鉄と東京メトロという2つの地下鉄があるために乗り継ぎが不便だったり、料金が割高になったりしている。
こうした点はさらに改善してほしいが、都営地下鉄は巨額の累積赤字を抱えている。経営一元化に時間がかかるのはやむを得ない。
猪瀬氏は国のハローワークの機能を東京に移管させることを公約に掲げている。地方分権の課題のひとつだ。さらに民間への開放も進めたい。日本最大の自治体のトップとして、分権の旗振り役になることを期待したい。
猪瀬直樹、石原慎太郎、新銀行東京、知事、東京メトロ
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