Vol.1
瀬田龍一(1998年日本代表チームキャプテン)

「圧勝へのプロローグ」

このコーナーはラクロス人からラクロス人へとバトンを繋ぐリレー・エッセイです。

 ワールドカップ緒戦のスコットランド戦前夜、僕の気持ちは思ったより落ち着いていた。とにかく結果を出すこと。それが僕ら日本代表に与えられた使命だった。しかし、自分の中では現地入りしてから、そういうプレッシャーはなくなっていた。キャプテンとして、自分に与えられた役割は、‘どんな相手、どんな状況でも、全力で走り、パスし、シュートを決める’、そのことだけを考えていた。チームメイトは、経験豊かな選手が集まっていたので、僕はチームに勢いをつけること、つまり自分が最高のプレーをすることだけに集中することが出来た。
  そのスコットランド戦に10対7で勝利するとチームは俄然勢いづいた。その後、レッドディビジョンで全勝し、勢いに乗ったままイラコイ戦を迎える。結果は12対9で惜敗。日本代表はベストを尽くした。チームとして、組織力、技術面で最高のパフォーマンスを見せたが、それでもイラコイは一枚上手だった。この一戦で、個人的には精神的な強さがいかに重要かということが分かった。ワールドカップでは、全てのチームが誇りと自信を持って、闘争心を剥き出しにしてプレーする。勝つことに対する執着心がチームの力、個人の力を大きく左右する。このことを僕は身を持って感じた。
  次回のワールドカップでは、日本代表は技術、精神力、全ての面で圧勝できるチームにならなくてはいけない。もちろん、僕もより上を目指し頑張っていくつもりだ。

 

瀬田龍一プロフィール
 1977年8月6日生まれ。
 172cm/66kg/B型。慶應義塾大学所属。
 ’96U19日本代表、’98日本代表共にキャプテンを務める。日本の若きエース。

 


スペシャル・インタビュー)

Q:ワールドカップという舞台に立ってみて,一番感じたことは?
A:今までのどんな大会とも違うプレッシャーと誇り。

Q:一番印象深いシーンは?
A:緒戦のスコットランド戦後のウイニングラン。

Q:大会中、ベストのパフォーマンスは出来ましたか ?
A:調子はベストだったし、スランプは感じなかった。

Q:イラコイ戦後のドイツ戦、スコットランド戦について、コメントはありますか?
A:全ての照準をイラコイ戦にあてていたので、イラコイ戦の敗北が想像以上にチームを消
  耗させた。どちらも負けてはいけない試合だったし、あの時のコンディションでも勝て
  る相手だった。どんな状況でも、激しい闘争心と自信を持って戦える精神的な強さが足
  りなかったと思う。

Q:世界の選手で気になった選手はいましたか?
A:マーク・ミロンとライアン・ウェイド(共にUSA)。二人とも体格は日本人と変わらな
  いのに、スピード、パワー、ゲーム感覚、全てにおいて最高のものを持っていた。

Q:最後にあなたの夢は?
A:夢はふたつ。世界レベルで圧倒的な力を発揮できるプレーヤーになること。そして、自
  分のプレーを見た人に、ラクロスの夢と可能性を感じてもらえるプレーヤーになること。

 

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1999.4.18 copyright reserved by Japan Lacrosse Association