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AS同盟仙台基地壊滅外伝2
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 わたしの名は鐘崎マコ。中学二年生。アンチショッカー同盟日本支部東北分室の外部構成員の一人だ。ただし「外部構成員」と言ってもわたしの場合、ショッカーに殺された両親の代わりに同盟が後見人を引き受けた、「ショッカー遺児」のような立場で、同盟の経済的援助を受けながら姉と二人で暮らしている。
 そんなわたしが平日の昼に同盟の秘密基地に来ているのは、臨時の「援助」の申請のためだ。今朝先生から、あまり楽とは言えない生活の中、ついつい滞納していた給食費の清算を迫られた。困ったわたしはとりあえず、昼休みに学校を抜け出し、学校の近くにあるこの基地まで相談に来たのだ。放課後だと遅くまで部活があり、基地への出入りが不自由な時間になってしまう。相談するなら今のうちなのだ。
 基地には夜勤明けの姉もいる。だが薄給の姉にこの事実はどうしても隠しておきたかった。わたしは姉に会わないようにしながら、まっすぐ会計部へ向かった。

 わたしが会計部の窓口まで来たとき、恐ろしい館内放送が流れた。
「基地内の諸君。本館はただ今よりゲルショッカーの制圧下に入った。無駄な抵抗はやめ、おとなしく我が組織に服従を誓うのだ」
 放送と同時に窓口の中では信じられない光景が展開された。四人いた職員の内の男性一人、女性一人がそれぞれ他の二人の後ろに立つと、突如衣服を脱ぎ捨て、半透明の皮膚をもつ怪人に変貌し、職員に襲いかかったのだ。

 目の前に広がる光景は様々の意味で衝撃的だった。見慣れた職員がショッカー怪人(そう。ゲルショッカー怪人というよりは…)のような姿に変わり、他の職員を襲い始めたこと。それが何より恐ろしかったことは言うまでもない。だがそれに劣らずわたしは、成人男性の奇怪な形の性器や、「男女の交わり」というもの、さらには「男同士の交わり」というものを初めて目の当たりにしてしまったことに、激しく動揺した。
 仲良しの、気さくな美代川花子さんが半透明の皮膚をもつ怪人に変わり、下半身をむき出しにされた田中という職員の上にまたがり、その男性器を自分の内部に収め、激しく上下運動をしている。体がしびれているらしい田中さんに、ミヨさんはまったくいつも通りの笑顔を絶やさず、楽しそうな口調で話しかけている、
「田中君。もうじき君も生まれ変わるよ。偉大なるゲルショッカーの、そしてその一員たる優秀な改造人間、ホヤスズメバチ様の忠実な僕にね!」
 ミヨさんのいつも通りの気さくで楽しそうな話し方と、その話の内容とのギャップの大きさが、そこで行われている行為そのものに劣らず恐ろしかった。かつてのミヨさんの、ゲルショッカーへの激しい怒りの心を知っているだけに、その恐ろしさはつのった。
 その横ではスポーツマンタイプのがっしりした高橋さんが、高橋さんの先輩で、どちらかというとひ弱なタイプの斎藤さんが変身した怪物に襲われていた。変身した斎藤さんは、その小さな体からは想像できないような力で高橋さんを押し倒し、ズボンと下着を引きずり下ろすと、股間についている半透明の性器の中央の穴を大きく広げ、その中に高橋さんの性器をすっぽりとかぶせた。そしてミヨさんと同じく激しく腰を揺すり始めた。二人の男性を一本の棒が繋いでいる。やがて中の棒の肌色が徐々に半透明に変わっていった。
 わたしは好きこのんでこのような恐ろしい光景を観察していたわけではない。衝撃のあまり腰が抜け、窓口の前の長椅子にぺたりと座ったまま動けなくなってしまったのである。
 早く逃げなければ、と思う焦りがかえって体をこわばらせ、立ち上がることを不可能にしていた。気づくとお尻の下がじっとり生温かくなっている。おしっこを漏らしたらしい。その事実の情けなさと恥ずかしさがまたわたしの足から力を奪っていた。
 早く逃げなければいけない。斎藤さんの怪人は早くも動きを止め、満足そうに自分の性器から高橋さんの性器を引き抜いた。犠牲者だったはずの高橋さんがゆっくり立ち上がり、わたしの方を向いてにったりと笑った。そしてすごい早さで窓口のカウンターを乗り越え、長椅子で腰を抜かしているわたしの前に立ち、わたしの両肩をぐいとつかんだ。
「い、いやあああああああ!」
 わたしの絶叫は何の役にもたたなかった。わたしは長椅子の上に押し倒され、セーラー服のスカートをまくり上げられ、猫の絵の入った可愛らしいパンツを引きずり下ろされた。そして怪人は、もうさっきまでの赤黒い色ではなく、半透明の怪人の体の一部に変わってしまっている棒を固く変化させて、わたしの大事な部分に押しつけようとしてきた。
「ぐえ…」
 そのとき、怪人の体が静止し、その場に倒れた。廊下には姉の笹子がパラライザーを持って立っていた。
「マコ、逃げるわよ!」
姉さんに引きずられるようにしてわたしはどうにか体を動かし、必死の思いで駆け出した。怪人がスカートの裾をきつく握りしめていたため、スカートが破けて下に落ちた、わたしは下半身に何も着けない状態で逃げねばならなくなった。

「この様子じゃ出口は全部封鎖されているわね」
私を連れ、物陰に隠れながら姉が言った。
「どうするの?…どうなるの?」
「大丈夫。地下一階の資料室があるでしょ。あの部屋に、妙に壁の薄そうなところがあったの。一度こっそり壁板を外してみたら、中に戦時中の防空壕だか抜け穴だかの入り口があった。こういう事態もあると思ったから、念のため誰にも教えず元に戻しておいたんだけどね」
 姉さんはやはりすごい、と素直に感心した。そしてわたしたちはうまく怪人たちの目を逃れ、資料室にたどり着くことができた。
「念のため鍵をかけておきましょう」
そう言うと姉は常駐職員に支給される各部屋共通の鍵を取り出し、施錠した。基地内の部屋は予算の関係なのか、安全上密室を作りにくくしているのか、すべて旧式の、鍵穴から外が見えるタイプの扉になっている。しかも鍵は、部屋の内側からも鍵を使って閉めるタイプだ。
「怪人に破られたらひとたまりもないけれど、時間稼ぎにはなるわ。あなたは外を見張っていて。わたしは壁板を外すから」
 姉の言葉に従い、わたしは鍵穴から外を覗き始めた。後ろでは、壁板を外す音ではなく、衣ずれのような音がした。そして、ぴちゃり、ぴちゃりという足音が近づいてきた。そして何かが後ろからしがみついてきた。むき出しのお尻に、なま温かくてぬるぬるした皮膚が押し当てられた。
「いや!何?お姉ちゃん!」
その「何か」はわたしの耳元で小さくこうささやいた。
「アナタハ、ワタシガ改造シテアゲル」
 …姉の声だった。
 その「何か」はわたしを扉に押しつけつつ、そのぬるぬるした手をセーラー服の下から背中にのばし、ブラジャーのホックを外した。そして両手を前に回すと、わたしの、最近急に大きくなったおっぱいをわしづかみにした。そしてぬるぬるする粘液をおっぱいに一杯塗りつけて、粘土でもこねるようにゆっくりと回し始めた。わたしはまた恐怖で全身がしびれた。だが、温かく湿った手のひらにおっぱいを包まれている内に、恐怖とは違うしびれが少しずつ膨れ上がってくるのを止められなかった。
「麻痺剤は使わず、ゆっくりていねいに改造してあげるね。その方が改造細胞がよく馴染んで、強く立派な怪人になれるのよ」
「…お姉ちゃん!?ねえ、お姉ちゃんなの?」
「そうよ。昨日の昼間に寄生を受け、夜勤の時間には肉体の改造と脳改造が完了したわ。今の私は自分の判断でゲルショッカーの任務を遂行する怪人候補。成績次第では再改造を受けてちゃんとした怪人になることもできる。
 本当は、高橋君の邪魔もしちゃいけなかったんだ。でもね、姉として、あんなやつにあなたの大事なものを奪わせるのは忍びなかったの。新規改造体の一人くらい麻痺しても戦力に影響はない。あのくらいは、お許しが出るはずよ」
 怪人になってしまった姉の舌が私の耳を舐め回した。舌の形も変わってしまったのか、細く、そして熱い触手が耳の穴の奥までぬるりと入った。触手の別の部分は首筋と肩をぬるぬると撫で回した。くすぐったい感覚が、いつもとはまるで違う効果を体に与えた。笑いがこみあげたり、体が硬くなったりするのではなく、逆に力は抜け、体の奥のどこかにじわりとした何かが溢れてくる感じがした。
 左手は指で乳首をつまみ、もてあそび始めた。さきほどの「くすぐったさ」とよく似た、しかしもっと強烈な感覚が生じた。そして。その感覚は、刺激されている乳首から、体のある一部分へびりびりと走り抜けた。姉だった怪人はわたしのそんな感覚を見抜いているかのように、右手を私の足の間の大事な部分に運んだ。
「わかるかしら?これはあなたから出てきたのよ」
 怪人はわたしの手を掴み、まだ、姉や死んだ母よりも薄く柔らかい毛をかきわけて、私の指を、「割れ目」部分の一番下にあてがった。あまり触ったことのないその部分には、怪人の体から出ているのよりも濃くてねばつく粘液がひとしずく浮かんでいた。
「愛液っていうの。これからまだまだいっぱい出てくるわ。これはね、本当は人間の女性の体がおちんちんを欲しがっているときに、あそこが痛くならないように分泌されるものなの。でも今日はね、おちんちんじゃなくて、あなたを偉大なるゲルショッカーの一員に作りかえるための改造細胞を入れるときに、これが役立つのよ」
 そう言いながらかつての姉は自分の指をわたしの「割れ目」の下にあて、軽く中に差し入れながら、ゆっくりと上に移動させた。そして指が一番上に来る前に、今度は下におろした。そうして上下運動をゆっくりと何度も始めた。わたし自身初めて経験する分泌物が量を増し、太ももに垂れ始めたのを感じた。怪人の指にはやがて上下運動の他に
左右の動きも混ざり、割れ目の内側にある薄い唇みたいな部分の表と裏を左右順々に、ていねいにたどった。さらに怪人は親指と人差し指と中指を使って、両側の「唇」をくっつけて、こすりあわせた。くちゃ、くちゃ、くちゃという音と共にわたしの体はしびれ、もう「くすぐったい」とははっきり異なると分かる感じ、一度知ってしまったらもう一生忘れられないだろう感覚、生まれて初めて知る快感が、粘液の溢れと共にどんどん増していくのを感じていた。しかしその快感はどこかもどかしく、気持ちいい半面、何か物足りず、あそこにむずむずする欲求がつのってきた。

 わたしは湧き上がる快感と欲望の海に飲み込まれまいと、なんとか気持ちを集中させ、か細い声で、姉だった筈の生き物に話しかけた。
「ねえ…お姉ちゃん…目を覚まして!元の…優しい…お姉ちゃんに…戻って…」
「いやねえ。ちょっと変わってしまったけど、わたしは笹子のままよ。あなたの優しい姉さんだよ。高橋のやつからあなたを守ってあげた。そして今はあなたを偉大なるゲルショッカーの一員に加えるための儀式をしている。全部あなたのためよ。…さて、じらすのはもう終わりにするね」
 そう言うと「姉」は今まで故意に触れていなかった割れ目の一番上の器官にそっと指で触れ、その表面で、はじめはゆっくり、やがて速さを増して指を動かし始めた。わたしの無意識が待望していた強烈な快感が全身を走り、穴の一番奥からどろりと何かがしみ出たのを感じた。わたしはわけの分からない声をあげていた。もう話を続けることは不可能だった。
「準備完了ね。改造を始めるわ」
 怪人は力の抜けた私を抱えてしゃがみ、私を離さずに、赤ん坊を寝かせるように私を仰向けに寝かせた、そしてセーラー服を胸の上までまくり上げると、両肩をつかみ、両足で私の足を押さえながら、わたしの体の上に自分の体を移動させた。
 仰向けの顔の真上に怪人の顔があった。わたしは初めて人間ではなくなった姉の姿を見ていた。その全身は半透明の皮膚で覆われ、皮膚の下の血管や筋肉が透けて見えるグロテスクな姿になっている。髪は細長い出水管に置き換わり、おっぱいの先も同様に、乳首ではなく、出水管に変わっていた。但し顔の皮膚だけは、やはり半透明であるが、濃い乳白色に覆われ、色と質感以外は人間の名残りを多くとどめていた。瞳の色や、耳の形や、歯や舌や、その他細かい部分はやっぱり人間ではないのだけど。
 紛れようもない姉の顔と奇怪な肉体を同時に見たわたしは、姉が怪人に改造されてしまった、という悲しい事実を、文字通り正面から直視せざるをえなかった。同時に、間もなく自分自身が同じような恐ろしい怪物に身も心も改造されてしまう、というとてつもない恐怖が改めて湧き上がり、わたしは何度目かの悲鳴を上げて、姉に懇願した。
「やだよ!お姉ちゃんやめて!怪人になんかなりたくないよ!ねえ!お願い!わたしはゲルショッカーの仲間になんかなりたくない!」
「誰でも最初は怖い。そして抵抗する。でも改造が終われば何もかも変わるわ。すぐ終わるし、痛くも何ともない。むしろさっきの何倍も気持ちいいの!」
 わたしは怯える気持ちを振り払ってなんとか姉の目を覚まさせようとした。
「ねえ思い出して!ゲルショッカーはわたしたちの敵だよ!お父さんやお母さんの仇なんだよ!」
「何を言っているの?お父さんとお母さんを殺したは仮面ライダーじゃないの。ゲルショッカーはあいつを倒してくれるわたしたちの味方よ」
「騙されてる!思い出を書きかえられちゃってる!殺したのは怪人だよ!ライダーなんてあの場にはいなかったよ!」
「…そうだったかしら。そういえばそんな気もするわね。…ということは、お父さんとお母さんはゲルショッカーの敵だったのよ。死んで当たり前。…そんな人たちが親だったなんて、ぞっとするわね」
 わたしの心を絶望が覆った。姉はもう、一生ゲルショッカーの奴隷として生きていく改造人間になってしまった。そしてわたしももうじきそうなってしまうのだ。――いやだ。絶対いやだ。お父さんやお母さんのことをこんな風に思うようになるなんていやだ!ゲルショッカーめ!許さない!私から両親を奪った!そしてあんなに親思いだった姉ちゃんをこんな風に変えてしまった。わたしは絶対に許さない。そして、わたしだけは 脳改造に負けない!
 ――わたしの心に一つの決意が生まれた。

「それじゃ、始めるわよ」
 舌なめずりしながら、「姉」が私の上に覆いかぶさった。「姉」の変形した乳首が口を開き、わたしの乳首をすっぽり覆った。さっきの何倍もの強烈な快感が乳首からあそこに走り、あそこからすごい勢いで「愛液」が流れ出た。わたしは快感の海に溺れそうだった。
 しかしわたしの怒りと憎しみの火は消えなかった。わたしはかすみそうになる目をしっかり開いて姉をにらみつけた。姉はわたしの目を見てうれしそうに言った。
「いい目ね。そういう目の持ち主は優秀な怪人になれるって、ホヤスズメバチ様
が言ってたわ」
 ――ホヤスズメバチ。それが姉たちを改造したゲルショッカー怪人の名なのだろう。わたしは怒りを新たにした。だが、わたしへの快楽の強要も激しさを増していた。「姉」のあそこから伸びた半透明の白い棒の先端が、とうとうわたしのあそこに押し当てられ、ゆっくりと中に入り始めたのだ。
「この改造細胞の固まりが奥まで入れば、あなたはわたしたちの仲間になるのよ」
 増大する恐怖を、わたしはなんとか憎しみの力で封じ込めようとしていた。

 改造細胞の先端がとうとうわたしの大事な部分の穴の中に入ってしまった。先ほどの指の刺激とはまた違う摩擦が、穴の上端の器官に独特の快感を与えた。そしてその快感は摩擦が終わった後も繰り返され、しかも刺激の強さは増大した。「姉」は先端が入った段階で一度挿入を止め、腰を回し始めた。棒の先が、穴の上端の感じやすい部分を、内側から刺激した。快楽の波状攻撃にわたしの意識はもう少しで奪われそうになった。さっきより薄い「愛液」がまるでおしっこのように噴出したのを感じた。
「快楽刺激は順調ね。もうじき『声』が聞こえるようになるからね」
そう言いながら姉は挿入を再開した。
「膜だけには麻酔を効かせてあるわ。痛くならないようにね」
そう言って姉は力を入れて腰を動かし、改造細胞を一番奥まで一気に到達させた。処女膜、と言われる部分が破れたこと、あそこの中のぴったりふさがっていた部分に道ができたことが感じ取れた。だが『姉』の言う麻酔が効いたのか、痛みはなく、傷の治りかけのような、あるいは歯医者さんで歯を抜いた後の麻酔の切れかけのときのような、むずむずする痛がゆさが広がっただけだった。その痛がゆさが、すでに送り込まれている激しい快感に微妙な陰影を添え、快感はさらに深く強くなり、わたしの心を奪う意地悪な誘惑は勢いを増した。
「さあ奥まで入ったわ。『声』は聞こえた?」
 わたしはもう半分閉じたかけた目で『姉』を見つめ、首を振ると、姉はあのミヨさんのように腰を前後に動かし始めた。ミヨさんのけだもののような姿が姉に重なり、わたしはぞくりとした。そして強烈な快感が襲った。
「いやあ!やめて!やだ!やだ!おかしくなっちゃうよ!!」
腰の動きと共に、体のあちこちに散らばっていた様々な快感が一つに混ぜ合わされて、一気に脳を直撃した。――だめだ。こんなことされたら、もうこらえきれなくなってしまう。わたしの中で何かが破裂する。それが破裂したら、このわたし、鐘崎マコはどこにもいなくなってしまう。そんな生々しい予感があった。…ああ、やめて。これ以上気持ちよくしないで。お願い。お姉ちゃん!お願い!!
 わたしはとろけそうな脳で、父と母、そして死んだ弟の顔を思い浮かべ、家族への思いだけは奪われてなるものか、という必死の抵抗を続けた。
「お母さん!お父さん!それにカー坊!お姉ちゃんを助けて!」
 わたしの中で、快楽の波とゲルショッカーへの憎しみとの、激しいぶつかり合いが続いた。

 ――そのときだ。頭の中に声が響いた。人事部長の広瀬葉子さんの声だった。
<<なかなかの精神力ね。このままホヤ人間にしてしまうのはもったいないわ。笹子さん。できる範囲で改造細胞の増殖を停止させて。わたしが向かいます>>
 「姉」はどこか残念そうな顔で腰の動きを止め、しばらくじっとしていた。あそこの中にちくちくした痛みが生じた。それが治まると「姉」はゆっくりと改造細胞を抜いた。そして改造細胞をホヤの入出水管のように変形している、自分のあそこの中に収納した。
 快楽の波が徐々に引き、わたしの心には煮えたぎるゲルショッカーへの怒りだけが残り、やがて少しずつ冷静な思考力も戻ってきた。間もなく、扉の鍵を回す音がして、人影が部屋の中に入ってきた。広瀬さんだった。
「広瀬さん?あなたがホヤスズメバチなのね?ゲルショッカーに改造されて、基地を襲った!みんなを元に戻して!お姉ちゃんも!!」
「うふふ。恐怖心をあおるためにわざとこの姿で来たんだけど、あんまり意味がなかったみたいね。とても賢い子ね。好みよ!」
 そう言いながら広瀬さんはハチとホヤを合体させたような怪人に変身した。
「ピュピュピュー!その通り。わたしがホヤスズメバチ。ゲルショッカーの
偉大な力で生まれ変わり、この基地の壊滅作戦を担当させて頂いているわ」
 そう言いながら怪人はロッカーに向かい、鍵を開け一つのファイルを抜き取った。
「こんなもの無くとも脳改造に支障はないんだけど、あなたの気持ちに敬意を払うわ」
 謎めいた言葉を残すとホヤスズメバチはファイルをわたしの頭の横に置き、「姉」に押さえつけられたままのわたしの横にしゃがみ、姉に目で指示を出した。姉はわたしから離れ、部屋の奥で直立不動の姿勢をとった。
「あなたも、もうしばらくここにいなさい」
そう姉に言いながら、怪人はあそこから何本もの触手を出してわたしの手足を拘束した。
「まずはさっきの続きをしましょう。お楽しみはその後よ」

 ホヤスズメバチは股の間から伸びた触手はそのままにしながら立ち上がり、どこか切なそうな顔で空を見上げた。ブルブルっとその体が震えると、左腕のホヤの外皮、それに右手と両腕の装甲がぱっかり開き、オレンジ色の軟体部分が姿を見せた。お腹の皮膚もさっきまでの固そうな質感から、「姉」や「ミヨさん」たちと同じぬるぬるした軟体に変質していった。
 次に怪人は触手でわたしを立たせるとわたしに密着し、ぎゅっと抱きしめた。生温かい、いや、むしろ熱い軟体の感触がわたしの体の前面と肩の周りを圧迫した。さらに背中の装甲が伸びてわたしの体全体を覆った。わたしは怪人本体と共にホヤの殻に閉じこめられ、全身が熱い軟体にぴったりと包まれた。
「お姉さんの処理は適切よ。あなたみたいに性感の未発達な子に、高橋君がしようとしたような強引な改造を施しても、洗脳がうまくいかない可能性がある。ゆっくりていねいに導いてあげないと、改造素体の心は開かれないわ」
 そう言いながら、ホヤスズメバチはわたしにからみついていた触手をにゅるにゅると動かし、どうやって知ったのか、わたしの体の「感じる」部分にいやらしい刺激を送り始めた。わたしはたまらず体をくねらせ、変な声を上げていた。自分でもこらえることができなかった。
 やがて触手だけでなく、全身の熱い肉がくにゅくにゅと動き始め、人間の指や性器には不可能な、微妙な刺激を、全身の「感じる部分」に与え始めた。
 わたしは両親の顔を思い浮かべ、遠のきそうになる意識を何とかこらえた。
「まだまだよ。これからが本番」
 ホヤスズメバチは立ったままわたしの体を浮かせ、軟体部でわたしの両足を掴むと、強引にそれを押し開いた。そして再び、わたしのあそこに触手が挿入され始めた。わたしの中に猛烈に何かが流れ込み、わたしは絶叫した。
「これが脳改造よ!さあ、わたしを楽しませてね」

 触手と共に、わたしの薄れそうになる意識に、さっきよりも強烈な快楽に乗せて、邪悪な誘惑が送り込まれていた。満たしてはいけない欲望、求めてはならない快楽。そんなおぞましいものばかりが心に浮かび、わたしの心の中で、自らの居場所を求めうごめきあった。わたしは自分自身の心がどんどんおぞましく危険な生き物のそれに変わっていくのを抑えられなかった。何より、それらの恐ろしい欲望を自分自身が心から求めている、というはっきりした自覚が伴っているのが恐ろしかった。
「いやあああああ!やだ!こんなのいやだ!助けて!お母さん!」
 …だめだ。こんな醜い心の娘、もうお母さんもお父さんも愛してはくれない…
「ゲルショッカーにすがりなさい!ゲルショッカーはそんなあなたを心から受け入れ、その危険な衝動に正しい使い道を与えてくれるわ!」
 怪人の言葉を待つまでもなく、わたしは自分の魂が救われる唯一の道がゲルショッカーへの忠誠しかないことを本能的に知らされていた。
「でもだめ!だってゲルショッカーは…」
「強い子。見込んだ通りね。でもね。あなたのその一途な思いが、お姉さんの心からご両親への愛を奪ったのよ。それを自覚なさい!」
 怪人の触手の動きは停止し、祖母のような厳しい叱責がわたしを打った。
「わたしや、わたしの可愛い改造ホヤが施す脳改造はとても強力。一度根付いたゲルショッカーへの忠誠心はまず消えない。それを消すのは、ゆで卵を生卵に戻す以上に難しいの。だからお姉さんはゲルショッカーへの忠誠心とご両親への愛情を両立させるために、無意識に記憶を書き換えたのね。でもあなたは、そうやって生き延びたお姉さんの愛情を消してしまった!」
 怪人の言葉は理不尽なものだと理性では分かった。脳改造さえなければそもそもそんなことは起きなかったのだ。…しかし、感情の上では、自分が取り返しのつかない過ちを犯してしまった、という後悔が消しがたく迫ってきた。わたしがあんなことを言いさえしなければ、お姉ちゃんはお母さんやお父さんを愛し続けていたのだ。あんなことを言いさえしなければ…

「…ふ、ふ、ふ。ごめんなさい。いいこと教えてあげる。あなたもお姉さんも、ご両親への愛情を捨てる必要はないの。だって、ご両親を殺した本当の犯人はショッカーじゃない。他でもない『同盟』なのよ。しかも、『同盟』は弟の和幸くんの仇でもあるのよ」
 わたしは心に驚きと共に一筋の希望が湧きあがるのを感じた。
「うそ…。どういうこと?」
「ご両親は当時のショッカーの依頼により強化型改造細胞の研究を進めていた。ご両親はショッカーの理想に賛同してはいなかったけれど、その研究をやめる気はなかった。なぜなら、研究の完成は同時に、和幸君の病の特効薬の完成を意味していたから。危険な研究を阻止しようとした『同盟』は非常手段に出たわ。ご両親とショッカーの双方に偽の情報を流し、ショッカーに、ご両親がショッカーを裏切り、研究を全て破棄したという嘘を信じ込ませた。結果ご両親はショッカー怪人に裏切り者として殺され、一ヶ月後に和幸君も病で後を追ったの」
「…うそでしょ?作り話よ…」
「本当よ。ほら」
 ホヤスズメバチは用意していたファイルを開き、わたしに見せた。ファイルにはそっけないが間違いなく、怪人の証言の裏付けが記載されていた。
<<…鐘崎博士夫妻の謀殺に成功。強化型改造細胞開発計画を阻止。>>
「わかったでしょ?あなたの敵は『同盟』とそれに協力する仮面ライダー。そしてあなたの居場所はゲルショッカー。あなたの仲間は、ゲルショッカーへの改心を果たした、この基地のみんなよ!」
「ああ!ならばわたしは、ゲルショッカーを信じていいのね?」

 いつのまにかあそこへの脳改造刺激が再開していた。迷いが消えたわたしは、心に流れ込んでくる様々な変化をすべて従順に受け入れ、暖かいホヤスズメバチ様の殻の中に抱かれ、赤ちゃんのように安らいだ。やがて心に深く根付いたすてきな欲望たちが、しきりにわたしの心に甘い誘惑を投げかけ始めた。ゲルショッカーに従っていれば、この子たちみんなを満足させられるんだ。それを想像してわたしはくっくと笑った。
 後ろからは姉の嗚咽が聞こえてきた。
「うっ…うっ…ホヤスズメバチ様、ありがとうございます。あやうく、両親への愛情を失ってしまうところでした…」
「感謝するほどのことではないわ。誤った認識や、アンビバレントな感情は、改造人間の精神統合を弱め、能力の劣化につながる。わたしはこの基地のゲルショッカー構成員の能力を最大に引き出したいだけ」
 クールにそう言いながらも、その慈母のような微笑みは、このお方がわたしたちの幸せを最大限に考えてくれていることをはっきり示していた。
「さあマコさん。あなたの脳改造は完了した。次は肉体の改造の番。夕方までにお迎えが来るはずよ」
 そう言ってホヤスズメバチ様は次の現場へ向かっていった。わたしの胸は躍った。
 わたしの体はうっすらとオレンジがかり、ところどころにオレンジ色の線が走っていた。脳改造維持のための最低限の改造組織の浸透がなされているということだった。わたしはホヤスズメバチ様の肉体の一部を組み込んで戴いたことに強く感謝していた。

 ――数時間後。わたしはさっきまでと同じく、下半身は裸、上半身はセーラー服を胸の上までまくり上げている、という姿で、ゲルショッカー本部の改造手術台の上にいた。生まれ変わる自分の姿を見たい、というわたしの希望で、麻酔なしの手術が始まるところだった。
 わたしは目をこらして見ていた。ホヤスズメバチ様お墨付きの精神力で痛みに耐えながら。お腹にメスが入れられ、人工臓器や内蔵兵器が埋め込まれる様子を。両腕と両足が切り開かれ、人工骨格と改造組織の移植が行われる様子を。体に繋がれたチューブに様々な薬剤が流し込まれ、肌の色が変わり、肌に様々な突起や文様が刻まれていく様子を。中学二年の未熟で弱々しい肉体が、人間をはるかに超えた強靱で美しい肉体に変形されていく様子を。痛みが走るたび、わたしの喜びは増し、使命感は強まっていった。

 翌朝、わたしは新調したスカートをはき、基地を出て直接学校に行く準備をしていた。前日の件は姉がうまく話をしてくれた。
「それではホヤスズメバチ様、行ってきます」
「『様』はいいのよ。同じ怪人じゃない!あなたはあなたの作戦に専念なさい」
「そうします。手始めに同じ『ショッカー遺児』の阿部さんを狙うわ。拉致して、まずはわたしの改造手術の8ミリフィルムをたっぷり見せてあげるの。強い恐怖の感情は、やがて絶対的な忠誠心と改造される喜びに変わる。それを見るのが楽しみなの。わかる?」
「わかるわ!すてきね。頑張ってね」
 わたしは生まれ変わった自分の新しい使命に胸を弾ませて学校へ向かった。
<了>
(2007/11/3「おにゃのこ改造 BYアダルト9」に投稿)

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