王者・小関桃(30)=青木=が挑戦者・花形冴美(28)=花形=に3−0の判定勝ちで国内女子最多となる9度目の防衛に成功した。“ピンクのサウスポー”の異名を持つ王者は序盤から的確にパンチを当て、1人のジャッジが6ポイント差をつける完勝だった。これで元WBA世界ライトフライ級王者具志堅用高氏が持つ国内最多記録、13度の防衛がうっすらと見えてきた。
小関が“ノロウイルス禍”を克服して、前人未到の9度目の防衛を果たした。控室に戻ると、こう告白した。「実は、ノロウイルスにかかって、ギリギリで間に合ったんです」
2日前の夜中だった。感染症にならないように神経質なくらい手洗いなどに努めていた小関を腹痛が襲い、下痢、嘔吐(おうと)、目まいに見舞われた。安静に努め、この日朝、症状は奇跡的に回復した。
「今朝、便もやっと普通に戻った。ノロにかかるのが、あと1日遅かったら、アウトだったかも。勝てて良かった」
試合では、ガムシャラに突っ込んでくる花形の突進を冷静にさばいた。時にラフファイトに付き合うシーンも見られたが「セコンドに怒られた。ボクシングを心掛けた」と基本に忠実なボクシングでポイントを確実に稼いだ。
国内女子最多の防衛を果たして、具志堅用高氏が持つ13度防衛の記録も見えてきたが、「きょうのリングに立てたことが良かった。記録のことは考えられない」と謙虚にポツリ。ノロにも負けなかった小関の防衛記録は簡単に途切れそうもない。 (竹下陽二)
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