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【グラニュース】


楢崎正剛 500試合出場達成記念インタビュー(上)

2012年12月18日 紙面から

笑顔でインタビューに応じる楢崎=トヨタスポーツセンターで(今泉慶太撮影)

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 今年11月、名古屋グランパスの元日本代表GK楢崎正剛(36)が、史上2人目、GKとしては初となるJ1通算500試合出場を達成した。積み上げてきた偉大な数字の陰にあった努力や葛藤、そして18年間でさまざまな歴史の一部を担ってきたJリーグへの思い。グランパスの守護神が本音を語った記念インタビューを、全3回で掲載する。第1回は、長く現役を続けるために下した大きな決断と、意識する“あの人”の存在について−。 (構成・宮崎厚志)

 リーグ戦だけでなくナビスコ杯、天皇杯、ACL、さらに国際Aマッチなどを加えると、楢崎が経験した試合数は優に700を超える。ただ記録は目的ではなく、あくまでも足跡。常に目前の試合のことだけを考えてきた楢崎にとっては、偉業の実感は湧きづらいのかもしれない。

 楢崎「記録の価値は…わからないね。長くやって、ここまできた。みんな喜んでくれたりとか、すごいと言われるのはうれしい。300、400は何人かいるけど、500を達成した人が伊東輝悦さん(甲府)しかいない。でも達成感とは違う。タイトルじゃないし、チームでの優勝のほうが達成感や喜びはある」

 順風満帆ではなかった。度重なる故障を乗り越えてきた。今季も6月末に左膝を手術。選手としての転機が、その直後に訪れていた。常に納得いくまで練習することでパフォーマンスを維持してきたが、首脳陣は楢崎に練習量を減らすことを求めた。

 「自分との折り合いですか。それは簡単につきました(笑)。監督が『36歳にもなったら、そんなハードトレーニングはいらない』と。みんなでGK練習してても『高木と西村にやらせてお前はストレッチだけしとけばいいんだ』って言われるんですよ。オレは練習したいのに。それをあまり認めたくはないけど、選手寿命に関わってくるし、コントロールするすべも知らなきゃいけないし。ケガを機に冷静な考えを持てて、うまくやれるようになった。20代でやってきたことをする必要はない。違う自分の体へのアプローチだった」

 36歳まで現役を続けたストイコビッチ監督が楢崎に練習量の減少を求めたのは、これが初めてではなかった。ただ、過去の楢崎には譲れないものがあった。その考えを変えたのは、もう1人の“レジェンド”の存在だった。

 「ここ2年くらいそうやって言われてたりしてたけど、でもやっぱり自分のスタイルがある。試合でこれだけやるために練習でもこれだけやらないとって、常にそうやってきたから。でもまあ、今年ちょっと監督と向き合って話したときにやっぱり監督は経験者だし、説得力もあった。それに喜熨斗(きのし)フィジカルコーチもそういうアドバイスをくれた。喜熨斗さんはオフにカズさんのことも見ているんで、いい見本として僕も参考にさせてもらってる」

 三浦知良(横浜FC)。楢崎を超える800試合近い公式戦を経験し、45歳にして新たな挑戦を続ける生ける伝説だ。楢崎も尊敬する人物と公言している。

 「カズさんもすごい練習するタイプだった。喜熨斗さんに見てもらい始める時期が今の僕くらいの時期で『練習の質とか量を見直さなきゃやっていけないよ』ってカズさんに言ったらしい。ちょっと似た状況というか、なかなか40近くまでやる人は少ないし、そういうアドバイスを聞くことも少ない。喜熨斗さんや(契約メーカーが同じ)プーマの人にいろいろ聞いて、貴重な情報を得ています」

 1月恒例のグアム自主トレではカズと同じ施設を使うことも多い。ただ楢崎は長く現役を続けるためのアドバイスを本人に直接聞くことはないという。言葉ではなく姿勢や生き様から学ぶこと。それは、楢崎自身が後輩たちに求めるものでもあるからだ。

 【楢崎正剛(ならざき・せいごう)】 1976(昭和51)年4月15日生まれの36歳。奈良県出身。187センチ、80キロ。奈良育英高から95年、横浜F入り。98年に横浜Fの消滅に伴い99年、グランパスに移籍。2001年から現在まで主将を務める。J1初優勝した10年、GKとして初めてJリーグMVP。日本代表では98年W杯フランス大会から4大会連続参加。唯一出場した02年日韓大会では、日本のW杯初勝利、初の16強入りに貢献した。家族は妻と2男。

 

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